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【7月24日第一巻発売!】毒父に物資扱いで戦地に送られた転生治癒師、無自覚チートでなんでも癒しちゃいます  作者: 藤なごみ


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第三百三十七話 複雑な中で奉仕活動が終了

 奉仕活動自体は、予定通り夕方まで行われた。


「罪のない子どもを食い物にするなんて。しかも、聖職者がやっているんですよね……」


 治療を手伝ってくれたアリシアさんも、今回の事件を聞いて何とも言えない表情をしていた。

 聖職者を含めた面々を捕まえるのは一部の人のみ知らされており、アリシアさんも知らされていた一人だ。


「犯罪組織にとって利用価値のない子どもを、奉仕活動の時に出していたみたいです」

「利用価値のないって、本当に残酷な扱いを受けていたんですね……」


 アリシアさんだけでなく、ナッシュさん達もやるせない思いになっていた。

 ナッシュさんは子を持つ親なだけに、保護された子どもの気持ちを思っていた。


 シュイン、メキメキメキ!

 ドスーン!


 スラム街にある朽ちた建物は、中の確認を終えたところからスラちゃんが解体し始めていた。

 このスラム街は王都の中でも特に治安が悪いので、問題になりそうな建物は早めに撤去することになった。

 僕も手伝おうとスラちゃんに言ったのだが、スラちゃんは一匹で対応すると言った。

 スラちゃんも、今回の事件にかなり心を痛めていた。

 なお、捕まった聖職者以外にもう一人シスターも捕まったため、教会の運営に支障をきたすことに。

 更に複数個所の教会で聖職者が捕まったため、大教会から交代で聖職者が派遣される事になった。

 こうして何とか奉仕活動を終え、僕達はスラム街から王城へと向かったのだった。


「諸君には、辛い対応を任せ申し訳ない」


 王城に到着すると、僕達は玉座の間に呼ばれた。

 今回の対応について、陛下から直々に話をする事になったのだ。

 確かに大変な対応だったけど、遅かれ早かれ誰かが行わないといけない作戦だ。


「陛下、この度は教会がいい訳のしようもない不祥事を起こし、大変申し訳ありません」

「サイオン枢機卿の謝罪を受け入れよう。とはいえ、王都内の巡回をもう少し増やしていれば早く発覚しただろう。まさに、痛恨の極みだ」


 サイオン枢機卿の謝罪に、陛下も難しい表情で答えた。

 何にせよ、今回は色々なところが巧妙に隠されていた。

 犯罪者の摘発と尋問から得られた情報がなければ、事件発覚はもっと遅かったはずだ。


「事件の真相解明と共に、被害に遭った孤児のケアも進めないとならない。ある程度は教会に任せるが、国も支援をする」

「過分な対応、ありがとうございます」


 今回保護した孤児が多いので、一気に大教会の孤児院の空きが埋まってしまった。

 新しい孤児院の建設も急がれるが、場合によっては保護した孤児を信頼できる領地の孤児院へ移す事も考えなければならない。

 教会も事件の責任を重く感じているが、全て背負うのは無理だ。

 上の者と担当者が話し合って、何とか良い方向に持っていければと思った。

 取り敢えず話はこれで終わり、今日はもう遅いので解散となった。


「私も簡単に話を聞いたけど、今回はちょっと難しい案件ね。【蒼の治癒師】様が奉仕活動をするというのを全面に出したから、軍も動けたのもあるわ」


 屋敷に戻って夕食時にあれこれ話したが、クリスも少し難しい表情をしていた。

 何にせよ、お金に目が眩まなければこんな事件は起きなかった。

 それに、自分が都落ちしたという劣等感があったのかもしれない。

 あの年配の聖職者は、スラム街の住人に向けた優しい聖職者という顔と、子どもを売りさばく非道な聖職者の二つの顔をしていた。


「対応したのが、ケンとお兄様で良かったと思うわ。他の人が対応していたら、その聖職者を思わず殺しかねないわ」

「僕もそう思ったよ。サイオン枢機卿様でさえ、怒りを抑えるのに必死だったよ」

「私でも、その聖職者を殴り飛ばしたかもしれないわ。何にせよ、相当の厳罰になるのは避けられないわね」


 人身売買は禁じられていて、特に子どもの人身売買は厳禁だ。

 聖職者であろうが、重罪は重罪だ。

 サイオン枢機卿曰く、捕まった聖職者は破門になって通常の裁判を受ける予定だ。

 僕がうーんと唸っていると、クリスが僕の肩をポンと軽く叩いた。


「ケン、難しい対応をしたのだから今日はゆっくりと休む事が大切よ。休む事も、仕事の一つよ」


 確かに、これ以上考えても仕方がない。

 それに、治療で魔力もそこそこ使ったので疲労感もあった。

 今日は、お風呂にゆっくり浸かって体を休めよう。


「「「一緒にお風呂入る!」」」


 すると、アイちゃん達も元気よく手を上げた。

 この子達も大変な目に遭ったが、こうして元気に育っていた。

 願わくば、保護された子ども達が健やかに成長して欲しいと思ったのだった。

読んでいただき、誠にありがとうございます

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