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【7月24日第一巻発売!】毒父に物資扱いで戦地に送られた転生治癒師、無自覚チートでなんでも癒しちゃいます  作者: 藤なごみ


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第二百九十八話 ライアン皇子のスライム探し

「う、うーん……」

「すー、すー」


 帝国滞在も二日目に入った。

 僕は昨夜の歓迎の晩餐会でもの凄く疲れてしまい、客室に戻って着替えをすると直ぐに眠ってしまった。

 自分の噂話を目の前で聞かされ、ずっと愛想笑いをしていたのだから仕方ないだろう。

 スラちゃんとクリスは貴族令嬢と僕を題材に楽しくお喋りしていて、チビスライム達は護衛を兼ねてライアンちゃんの側にいた。

 ヘルナンデス様とルーカス様も最後まで皇帝陛下の側にいたし、結局誰も僕を助けてくれなかった。

 でも、流石に一晩ぐっすりと寝れば元気にもなる。

 さて、そろそろクリスとスラちゃん達を起こさないとね。


「「皆様、おはようございます」」

「おはよー!」


 朝食は、皇族の方々と一緒に食べることになっている。

 専用の食堂に向かうと、皇帝陛下と皇妃様、ビクトリア皇女様と元気に挨拶をしたライアンちゃんがいた。

 ヘルナンデス様とルーカス様も席についており、僕達も急いで席についた。


「では、食事にしよう。そうそう、今日は軍の施設に行く予定になっているが、その前に少しライアンに付き合って欲しい」


 おや?

 むしゃむしゃとパンを食べる皇帝陛下から、ある事を頼まれたぞ。

 確かに軍の施設に向かうには時間があるが、ライアンちゃんからのお願いっていったいなんだろうか。

 どうやらスラちゃんは知っているみたいだけど、僕とクリスは何も知らない。

 ヘルナンデス様とルーカス様もライアンちゃんのやりたい事を知っているみたいだが、こちらも苦笑しているだけだ。

 うーん何だろうと思いながら、僕は朝食を食べたのだった。


「スライムを探すよ!」


 朝食を食べ終えると、ライアンちゃんは満面の笑みで僕にそういったのだ。

 どうやら、スラちゃん達と接している内に、自分だけのスライムが欲しくなった様だ。

 お城の庭に大きな池があり、そこでスライムを探すという。

 皇妃様も一緒についてくれるそうだが、苦笑している姿が印象的だ。


「ライアン、お兄ちゃん達は一時間したらお出かけするのよ。だから、しっかりと時間を区切ってやりましょうね」

「はい!」


 皇妃様の注意に、ライアンちゃんも元気よく返事をした。

 早速食堂から庭に移動するのだが、ヘルナンデス様とルーカス様は簡単な打ち合わせをするという。

 僕も打ち合わせに参加しなくて良いのかと思ったが、皇族と仲良くなるのも大切なお仕事だと言ってくれた。


「ふんふんふーん!」


 ライアンちゃんは、スラちゃんを抱きながら張り切って先頭を歩いていた。

 そして、程なくしてお城にある大きな池に到着した。

 テニスコート位あるとても大きな池で、何と橋までかかっていた。

 数多くの鳥が周囲におり、池の中にも沢山の魚が泳いでいた。

 すると、スラちゃんがライアンちゃんの腕の中からぴょーんと池の端に飛び降りた。

 チビスライム達も池の端に集まり、スラちゃんと触手をフリフリしながら何かをしていた。


 バチャン!


 すると、白色の小さなスライムが池からぴょーんと飛び上がった。

 スラちゃん達と何か話をしているが、チビスライム達よりも小さなスライムだ。


「わあ!」


 いきなり目の前に現れた新しいスライムに、ライアンちゃんは目を爛々に輝かせながらしゃがみ込んで見ていた。

 すると、アクアちゃんが小さなスライムと魔力循環をしたりしていた。


 フリフリ。


「この小さなスライムが、ライアンちゃんのお友達になるよ。水魔法に加えて、回復魔法も使えるんだよ」

「わあ、わあ!」


 僕がスラちゃんの話を通訳して説明すると、ライアンちゃんはますます嬉しそうな表情に変わった。

 そして、アクアちゃん達から色々と教えてもらった小さなスライムは、ぴょーんとライアンちゃんの方にジャンプした。

 ライアンちゃんも小さなスライムをうまく両手に乗せて、とてもご満悦な表情だ。


「ライアンちゃん、そのスライムに名前をつけてあげないとね」

「えっとね、まんまるだからマルちゃん!」


 ライアンちゃんが小さなスライムに名前をつけると、マルちゃんもふにふにと震えていた。

 池について僅か五分しか経っていないが、それでもいい結果になって良かった。


「ライアン、良かったわね。お友達を、キチンと育てるのよ」

「うん!」


 皇女様に言われて、ライアンちゃんも元気よく返事をした。

 マルちゃんは、早速ライアンの頭の上に乗っていた。


「このスライムは回復魔法が使えるので、奉仕活動の時にも活躍すると思います。今はまだ簡単な怪我や病気しか治療できませんが、そのうちドンドンと腕を上げていくはずです」

「そんな良いスライムを見つけてくれて、本当にありがとう。負傷兵などへの慰問でも、このスライムは活躍しそうだわ」


 皇妃様も、僕の説明を聞いてとても喜んでいた。

 治療ができるという事は、兵や住民にとっても皇族に対する感情が全く違う。

 きっと、ライアンちゃんも張り切るはずだ。

 あっという間に目的を達成したので、僕達はお城の庭から元の部屋へと戻った。


「おとーさま、スライム見つけたよ! マルちゃんだよ、治療できるよ!」

「おお、そうか。それは良かったな」


 ちょうど会議室から出てきた皇帝陛下に、ライアンちゃんは満面の笑みで頭の上に乗せたマルちゃんを見せていた。

 皇帝陛下も、思わずニコリとしながら息子の頭を撫でていた。

 すると、皇帝陛下はこんな事を言ってきたのだ。


「なら、午後に負傷兵への慰問を予定しているが、ライアンにも頑張ってもらわないとな」

「頑張るよ!」


 皇帝陛下からやり甲斐のある仕事を頼まれ、ライアンちゃんもマルちゃんもやる気満々だ。

 軍の施設見学がいつ終わるか次第だけど、もしかしたら僕達もライアンちゃんを手伝うかもしれない。

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