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【7月24日第一巻発売!】毒父に物資扱いで戦地に送られた転生治癒師、無自覚チートでなんでも癒しちゃいます  作者: 藤なごみ


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第二百九十六話 ビクトリア皇女様の婚約者

 クリスに回復魔法などをかけて何とか元気になってもらい、お互いに歓迎の晩餐会用の服に着替えた。

 クリスも、僕とスラちゃんに手伝ってもらいながら何とか着替え終えた。

 たまにアイちゃん達の髪の毛をセットしていたから、クリスの髪のセットはその経験がうまく生きた。

 我ながら、中々の出来だ。


 コンコン。


「失礼します、そろそろ歓迎の晩餐会のお時間になります」

「あっ、はーい」


 使用人が僕達を呼び、クリスが返事をした。

 廊下に出ると、ヘルナンデス様とルーカス様も晩餐会用の服に着替え終えて準備万端だ。

 アクアちゃん達も、いつでもオッケーだとアピールしていた。


「では、会場へと向かおう。皇帝一家も、先に向かったという」


 ヘルナンデス様を先頭に、晩餐会会場へと向かった。

 ヘルナンデス様も以前使用したことのある場所らしく、迷う事なく会場となる大部屋に到着した。


「王城の大部屋と、何だか作りが似ているね」

「うーん、そう言われてみれば確かにそうかも……」


 会場となる大部屋に足を踏み入れると、何となくそんな気がした。

 そして、皇妃様、ビクトリア皇女様、ライアンちゃんが、僕達を出迎えてくれた。


「申し訳ありません。陛下は、まだ会議の最中でして……」

「急に多くの貴族への対応が発生したのだ。こればかりは致し方ないでしょう」

「そう言って頂けると、本当に助かります」


 皇妃様が深々と頭を下げたが、謁見の間の件もあるし忙しいのは予測できた。

 それに、皇妃様が対応してくれるのだから僕達としては何も問題はない。


「それでは、こちらの額縁に王国からの手土産を飾って下さい」


 皇妃様が指示した先には、見事な装飾が施された大きな額縁がテーブルクロスが敷かれたテーブルの上に設置されていた。

 僕は、アイテムボックスから王国の手土産の大粒のルビーがあしらわれたネックレスとブローチを魔法袋から取り出した。

 僕からネックレスとブローチを受け取った近衛騎士が、慎重に額縁へと飾った。


「これは、とても素晴らしいものですわ。まさに、逸品と言えるものです」

「こんな素晴らしいものを頂けるなんて。本当に感謝しますわ」


 見事な作りのネックレスとブローチに、皇妃様とビクトリア皇女様は感嘆の声を上げた。

 ライアンちゃんも、スラちゃんを抱きしめながらニコニコしていた。


「本当に素晴らしいものを頂き、感謝申し上げます」

「両国の友好の証として、こうして受け取って頂き私も感無量です」


 再び頭を下げた皇妃様に、ヘルナンデス様もニコリとしながら答えた。

 歓迎の晩餐会でも目玉になるはずだし、今回の帝国訪問における王国の本気さも示す事ができる。

 勿論とても高価なものなので、専属の近衛騎士が厳重に警備することになった。


「では、時間まで座って待っていましょう」

「どうぞ、こちらにお越しください」

「こっちだよー」


 皇妃様、ビクトリア皇女様、ライアンちゃんに案内され、僕達は皇族一家が使用すると思われる席についた。

 出された水を口にし、ちょっとしたブレイクタイムだ。

 すると、いきなり皇女様がこんなことを言ってきたのだ。


「先に謝っておきます。帝国の貴族令嬢も、【蒼の治癒師】様に興味津々でして。その、色々と質問される可能性がございます」


 うん、何となく想像がついた。

 そういえば、学園生も僕の事で色々と質問してきたっけ。

 すると、ビクトリア皇女様も申し訳なさそうに話してきた。


「その、ケンの事を私が周囲に話したのもあるかもしれません。勿論、悪い事は一言も言っていません。というか、悪いという事自体ないですけど」


 ビクトリア皇女様とは、講和条約や教会で奉仕活動で一緒だった。

 短い期間だけど、僕の人となりが分かったのかもしれない。

 それに、僕に関する様々な噂もある。

 うーん、どんな質問が来るのかその時にならないと分からないなあ。


「最初は、皇帝陛下と色々話す事になるだろう。その後は、帝国貴族から挨拶を受ける。必然的に、質問タイムをする時間は少ないだろう」


 ヘルナンデス様が現実的な話をしてきた。

 沢山の人から挨拶を受けるのって、いつも疲れるんだよなあ。

 これには、クリスもスラちゃんもげんなりとしていた。


 ざわざわ。


 そうこうしている内に、少しづつ帝国の貴族が集まり始めた。

 皇妃様と一緒にいるのもあり、僕達に挨拶をする貴族はいなかった。

 そんな中、一組の貴族夫婦ととても背の高い銀髪短髪の美青年が僕達に近づいて来た。

 どうやらこの貴族家が僕達のところに来るのは、事前に決まっていた様だ。

 すると、ビクトリア皇女様がこの貴族家を紹介した。


「皆さま、紹介いたしますわ。ジュドー公爵夫妻と私の婚約者であるピエールです」


 おお、ビクトリア皇女様の婚約相手なんだ。

 だから、わざわざ晩餐会が始まる前に僕達に紹介しに来たんだ。


「ジュドー公爵家のピエールと申します。皆さまのお噂は、常々聞いておりました。結婚式は明後日行われますが、どうぞよろしくお願いいたします」

「こちらこそ、わざわざ挨拶頂きかたじけない。我々も、貴殿とビクトリア皇女殿下の結婚式を楽しみにしている」


 僕達を代表して、ヘルナンデス様がピエール様と挨拶をした。

 礼儀正しい好青年って、まさにピエール様の事を言うのだろう。

 勿論、スラちゃんチェックでもバッチリだ。


「皆さま、後ほど改めてご挨拶に参ります。その際には、どうぞよろしくお願いいたします」


 ジュドー公爵も、腰の低いナイスミドルだ。

 ビクトリア皇女様は、とてもいい貴族家と縁を結ぶことが出来たんだ。

 どんな相手なのかちょっと気になっていたけど、とても良い人で本当に良かった。

読んでいただき、誠にありがとうございます

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