第二十八話 大変な後始末と停戦交渉参加者選定
結果的に、二時間もかからずに帝国軍陣地を占拠することができた。
帝国軍の陣地内にいた兵も、僕とスラちゃんの放った魔法の大音響と地震のような振動で恐慌状態にあったらしい。
そのため、帝国軍指揮官などもほぼ無抵抗で捕縛された。
うう、何だかかなり申し訳ない……
王都から帝国の帝都に帝国軍陣地占拠の連絡を入れてもらい、当面は王国軍が管理をする事になった。
なお、オーフレア様とローリー様も前線で大暴れしたらしく、結局魔法は使わずに素手と鈍器の様な杖で戦ったらしい。
うーん、オーフレア様とローリー様が宮廷魔導師らしいところを殆ど見ないまま戦闘が終わってしまった。
「はあ……疲れました……」
そんな中、僕とスラちゃんは食堂のテーブルに突っ伏してへんにゃりとしていた。
結局王国軍の負傷者は十人程度で重傷者もおらず、殆どの時間を僕とスラちゃんの魔法で吹き飛んだ帝国兵の治療に充てていた。
捕虜なので丁重に扱わないといけないし、それこそ粗末に扱ったら国際問題にもなる。
因みに、王都から帝国の帝都に連絡した際、捕虜は全員治療したと付け加えておいたらしい。
もちろん、帝国への牽制も含んでいる。
「それだけ、ケン君とスラちゃんの治療が素晴らしいのもある。何にせよ、後は帝国側の出方次第だ」
ヘルナンデス様も、大きな山を越えたと安堵の表情だ。
まだやることはあるが、今すぐ帝国に大きな戦いを起こすだけの力はないということにもなる。
「後は、帝国が誰を停戦協議に出してくるかだ。出席者について、王国は私とルーカスは確定だ。ゴードンは前線基地の指揮があるので不参加だ」
「オーフレア様とローリー様も参加するんですか?」
「参加するとなれば、オーフレアの方が良いだろう。オーフレアは、見た目によらず頭も切れる」
ヘルナンデス様の言い分も、何となく分かった。
確かに、オーフレア様は口は悪いがとにかく頭は切れた。
時々、余計なことを言ってローリー様に鈍器の様な杖でぶん殴られていたけど。
そして、ヘルナンデス様はこんなことも言ってきた。
「場合によっては、ケン君にも停戦協議に参加してもらう。治療はほぼないし、将来のための勉強だ」
「ええ!? 僕は軍人じゃないですよ!」
「停戦協議は、軍人かどうかは関係ない。ケン君は貴族の子弟だし、立場的にも何も問題はない」
ヘルナンデス様が良い笑顔で言っているが、この分だと僕が停戦協議に参加するのは必須っぽい。
治療という仕事が何もないのはいいことなんだけど、その仕事はとても荷が重い。
僕とスラちゃんは、思わずトホホとなってしまったのだった。
「何にせよ、帝国側からの連絡待ちだ。ケン君とスラちゃんも、夕食を食べたらゆっくりとするがよい」
「そうします……もう、眠くて眠くて……」
「ケン君も、まだ六歳の子どもだもんな。それにしては、大活躍をしたがな」
機嫌よく笑うヘルナンデス様に手を振って、僕とスラちゃんは食堂を後にした。
そういえば、今朝はかなり早く起きたんだっけ。
そう思いながら、僕はスラちゃんを頭の上に乗せながらフラフラと歩いていた。
「ケン君、流石に危ないわよ」
「あと少しだから頑張ってね」
途中で、セレナさんとユリアさんが僕の手を引いてくれてとっても助かった。
何とか兵舎に到着すると、魔法袋から寝袋を取り出して直ぐに潜り込んでしまったのだった。
因みに、ねむねむな僕の姿を見て、流石に生活魔法で体を綺麗にしてくれという兵は誰もいなかったのだった。
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