第二十六話 バレバレの行動
ところが翌朝、帝国側がとっても分かりやすい行動を取っていたのだ。
それは、朝の訓練を終えて司令官室で改めて帝国への対策を話し合っていた時だった。
「失礼します。監視を行なっていた兵より、帝国側で兵が慌ただしく動いているとの報告がありました」
「「「「「「……」」」」」」
まさか帝国側がバレバレの行動を取るとは思わず、僕たちは思わず固まってしまった。
昨日スラちゃんが偵察した結果を裏付ける結果となったのだが、何で帝国側はそんな行動を取るのだろうか。
ルーカス様もヘルナンデス様も、帝国側の動きはおかしいと思っていた。
「何にせよ、これで我々も行動を起こすことができる。第二戦闘配備を敷く」
ゴードン様も、直ぐに方針を決めた。
そして、いつでも戦闘が起こる可能性があるという周知を前線基地内に行った。
これにより、前線基地はかなりピリピリすることになった。
更に、麓の軍事基地からも応援を呼ぶことになった。
因みに第二戦闘配備になると食事も交代制になり、僕とスラちゃんはルーカス様たちと一緒に食事を取ることになった。
「報告いたします。帝国側にて武器と思われる物を用意しているのを確認いたしました」
「報告ご苦労。引き続き、抜かりなく偵察を続けるように」
「はっ」
その後も帝国軍の動きは活発化し、逐一報告がなされた。
麓から応援に来た兵も、直ぐに何かが起きると予想していた。
「この分なら、一両日中に何かが起こるのは間違いないわね。私も、双眼鏡を借りて異変を確認したわ」
「ローリー様から引き続き前線基地の防衛を指示されているけど、酷いことにならなければいいわ」
セレナさんとユリアさんも僕と一緒に食事をする組だったのだが、最初の奇襲みたいなことが起きなければと思っていた。
とはいえ奇襲だったらスラちゃんが分かるそうで、今は兵の巡回も増やしているから大丈夫だという。
王国側も、帝国が陽動作戦を使う可能性を読んでいた。
「何かあれば、ケン君が全部治療する。命さえあれば助けられる。これは、非常に大きなことだ」
「兵といえども、やはり死は恐怖でしかない。大怪我から死ぬものも沢山いる。その危険性も減るのだから、安心度が全く違う」
ヘルナンデス様とルーカス様も、奇襲を受けた時と状況が違うと言っていた。
重傷者への治療も全て終えて、全員が原隊に復帰していた。
僕とスラちゃんも、やるべきことをやっただけだ。
それで、元気になってくれるならとてもありがたかった。
残念ながら、治療する前に亡くなってしまった兵もいた。
死者を生き返らせる魔法はなく、僕とスラちゃんでもどうしようもない。
多くの兵が、怪我なく無事に前線基地に戻ってくるのを祈るばかりだった。
「そうか、やはり戦闘は避けられないか」
そして、この日の夕方もスラちゃんが帝国軍陣地に潜入して情報を集めた。
可能な限りの武器を揃え、明日朝戦闘を始めるという。
ヘルナンデス様も、もはややむなしといった言い方だった。
「逆を言うと、ここを乗りきれば停戦協定に持っていける。まさに、王国兵にとっても踏ん張りどころだ」
「そうだな。こんな無用な戦いは、さっさと終わらせないといけない。その為にも、明日は頑張らないといけない」
ゴードン様もヘルナンデス様も、明日が勝負所だと踏んでいた。
今後の事も含めて色々な事を考えてしまうが、先ずは明日を乗り切ることが大切だと僕もスラちゃんも思ったのだった。
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