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【7月24日第一巻発売!】毒父に物資扱いで戦地に送られた転生治癒師、無自覚チートでなんでも癒しちゃいます  作者: 藤なごみ


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第二百五十九話 温泉街で買い物をします

 温泉に入るという目標のため、クリスは女性陣に温泉の素晴らしさを吹き込んで何とか仕事の効率を上げようとした。

 そこに、ローズさんからの追加情報で女性陣のやる気に一気に火がついた。


「あの温泉は泉質が良くて、お肌がツルツルになるそうよ」

「「「「お肌がツルツル!?」」」」


 どんな世界でも、女性は美容を探求するもの。

 ローズさんも、休暇の度に温泉に入っているという。


「ケン、奴らに下手に関わるな。巻き添えをくうぞ」

「グルル……」


 ナッシュさんからのありがたい言葉を頂き、僕は女性陣の気合いにビビっているキングレオと共に作業を続けた。

 というのも、やる気満々の女性陣により直轄領にいた貴族主義勢力への協力者は速攻で捕まったのだ。

 お陰で、僕は資料分析がとても忙しかった。

 判明した事をまとめて通信用魔導具で送り、王都側でも分析してもらった。

 少し暇になったスラちゃんとピーちゃん達は、町に繰り出して不審者を捕まえたり、軍の犯罪者を捕まえていた。

 こうして予備日まで全力で捜査を行い、王都からも十分な証拠が集まったと太鼓判を押してくれた。

 晴れて、予備日は一日ゆっくりして良いことになったのだった。


「最初に温泉に入って、昼食を食べたらまた温泉に入るんだ。お肌をピカピカにするよ!」


 温泉街に行く馬車の中で、クリスは笑顔でこの後の予定を語っていた。

 えっ、二回も温泉に入るの?

 僕もスラちゃん達も、その話は聞いていなかった。

 すると、ここである意味救いの手が。


「あの、私はできれば軍にお土産を買って帰りたいです」

「私もです。その、直轄領には珍しいお土産があると聞いています」

「むむむ……」


 セレナさんとユリアさんの意見に、クリスはトーンダウンした。

 そして、この人の発言によって予定が決定した。


「私も、財務の方々にお土産を買って帰りたいと思っています」


 ミュウさんがおずおずと手を上げながら言ってきたので、この後の予定が決定した。

 荷物は僕やスラちゃん達の魔法袋やアイテムボックスに入れれば邪魔にならないし、セレナさんとユリアさんは魔法袋を持っている。

 という事で、最初にお土産売り場へと向かった。


「おっ、珍しい色のハンカチだな。これと、珍しい食べ物も買っていくか」


 ナッシュさんも、奥さんのコリーナさんへのお土産を選んでいた。

 なお、ビーズリーさんとケーラさんへのお土産は絶対に地酒を含めないといけないらしい。

 中々面白い決まり事があるんだ。


「前に買ったお煎餅は美味しかったよね。アイちゃん達にも、お土産を買ってあげよう」

「ピー」


 クリスは、ピーちゃんと色々話しながらお土産を決めていた。

 えっと、とんでもない量の品物を購入しようとしていないかな。

 僕は、屋敷やアイちゃん達、執務室の人達以外に、アリアちゃん達王家のちびっ子やシーリアさん達にも色々と購入した。

 因みに、陛下からは直轄領名産の米酒を買って来てくれと念を押されていた。

 飲みやすいのもあったから、他の人達の分も購入しよう。

 そして、爆買いしていたのはこの人達も同じだった。


「えーっと、これとこれとこれと……」

「この甘味物も良いわね。女性兵が喜ぶわ」

「お酒も色々種類があるわね。どれにしようかしら……」


 ミュウさん、セレナさん、ユリアさんも、幾つものカゴの中に大量の品物を入れていた。

 特に、ミュウさんがとんでもない量の品物を購入しているぞ。

 僕達が爆買いするのもあり、店主は物凄く良い笑顔だ。

 なおキングレオは店先で伏せの姿勢で僕達を待っていたが、店主は特に気にしなかった。

 というのも、僕達と一緒にキングレオも捜査の手伝いをしていたのを知っていたし、キングレオが大人しいのもあった。

 まあ、最強の門番なので不審者はお土産屋さんに入れないはずだ。


「いっぱいお土産が買えて、とっても満足だよ! さて、次はお鍋屋さんだね」

「ガウッ」


 クリスは、キングレオと共に先頭を切って歩き出した。

 待望の食事の時間となり、キングレオも意気揚々だ。

 やってきたのは以前にもやってきたお店で、僕達はまだ混雑していない店内に入った。


「いらっしゃいませ。あら、大きいお客さんも来ているわね」

「ガルッ!」


 出迎えてくれた女将さんも、キングレオの事を知っていた。

 店内にいたお客さんがキングレオに少し驚いていたが、何とか落ち着いてそのまま食事を再開した。


「今は、シカ肉の冷しゃぶがお勧めです。新鮮なお肉なので、お連れの方でも召し上がれますよ」

「ガウッ!」

「「「「ピッ!」」」」


 女将さんの話を聞き、キングレオとピーちゃん達のテンションが一気に上がった。

 せっかくなので、冷しゃぶのご飯大盛りセットを頼むことにした。


「良かったわね。別にお肉をお願いしたわ」

「ガルッ!」


 お肉が食べられるとあって、キングレオは満面の笑みでミュウさんに撫でられていた。

 伏せの姿勢のまま、喉をグルグルと鳴らしていた。


「前に食べた時も、とても美味しかったんだよ。屋敷でも、時々お鍋をしているんだ」


 クリスは、セレナさんとユリアさんに鍋料理のあれこれを教えていた。

 アイちゃん達と一緒に食べるのもとても美味しいし、みんなで食べるからアイちゃん達もよく食べていた。


「お待たせしました」

「「「「おおー」」」」


 暫くすると、女将さんが冷しゃぶセットを運んできた。

 待っていましたと言わんばかりに、女性陣が歓喜の声を上げた。

 では、さっそく頂きましょう。


「あっさりしているのに、とても美味しいわね。大根おろしの入ったタレも美味だわ」

「いやあ、久々に美味しい料理を食べたわ。いつもの居酒屋の料理とは違うわね」


 セレナさんとユリアさんの感想を聞き、二人の普段の食生活がとても心配になった。

 居酒屋で飲んだくれていないよね?


「ハグハグハグ」

「美味しいお肉で良かったわね」

「ガルッ! ハグハグ」


 キングレオは、お皿に出されたお肉に夢中だ。

 スラちゃんやピーちゃん達も美味しそうにお肉を食べているし、僕もひと安心だ。


「このくらいなら、僕も料理方法が分かるよ。帰ったら、アイちゃん達にも作ってあげよう」

「ケン、冷しゃぶの作り方が分かるの? 帰ったら、絶対に作ってあげてね」


 僕の呟きに、クリスが激しく反応した。

 料理が得意なアクアちゃんも、僕に料理方法を教えてと訴えていた。

 このままだと、帰ったその日の夜に冷しゃぶを作ることになりそうだよ。


「賑やかな昼食だな」


 そんな中、何故かナッシュさんはギンちゃんと共にまったりと冷しゃぶを楽しんでいた。

 因みに、全員ご飯のおかわりを頼んでいたのだった。

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