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毒父に物資として戦地に送られた転生治癒師、無自覚チートで何でも癒しちゃいます  作者: 藤なごみ


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第百二十九話 ダイナー男爵家とレイカー男爵家の顔合わせ

 ビアンカちゃんの誕生から一ヶ月が経ち、ようやく出産祝いの贈り物攻勢は落ち着いた。

 相変わらずビアンカちゃんは元気いっぱいで、健康状態も全く問題なかった。

 メアリーさんの子どもの双子ちゃんも、毎日ビアンカちゃんに会いに行っているという。

 双子ちゃんの情緒教育にも、きっと良い効果があるだろう。

 毎日交代で王城にいたスラちゃんたちは、これからは週一回健康状態の確認をすることになった。

 もちろん、僕とクリスもビアンカちゃんに定期的に会いに行く予定だ。

 なお、陛下に王城に勤めている人達の健康状態の話が伝わり、取り敢えずスラちゃん達が王城に行く際に希望者への治療を行う事になった。

 費用は経費で賄われるが、王城としても急に病人が出て業務に穴が空くよりも安いという判断となった。


 そんな中、今日は元々予定していたクリスの実家のダイナー男爵家とレイカー男爵家の顔合わせに参加する事になった。

 僕とクリスは、教会の奉仕活動でナッシュさんの婚約者となるコリーナさんと顔を合わせていた。

 今日は、改めて両家の主だった人が顔を合わせることになる。

 場所はダイナー男爵家で行われることになり、ダイナー男爵家は朝からドタバタとしていた。


「とにかく、屋敷は綺麗にしておいて。服装にも気をつけるように」

「お母様、朝からピリピリしているよ……」


 ダイナー男爵夫人であるケーラさんは、朝からとても忙しそうに使用人に指示をしていた。

 でも、屋敷だけでなく使用人の服装にも気をつける辺りは流石だと思った。

 もちろん、ケーラさんも顔合わせ用のドレスに着替えないといけない。

 勿論、僕、クリス、スラちゃんはお手伝いできる事は頑張った。

 そして、このドタバタの裏であることが起きていた。


「お父様、帰りが遅いね……」

「レイカー男爵と同じ勤務だから、二人がすれ違うことはないんだけど……」


 今日のビーズリーさんの軍の勤務は夜勤明けで、本来ならとっくに勤務を終えて屋敷に戻ってきているはずだった。

 既に顔合わせ用の服に着替えていた父親と同じ軍人であるナッシュさんも、何かトラブルが起きたのではと考えていた。

 因みに、ナッシュさんは夕方出勤の夜勤の予定だ。


「皆様方、レイカー男爵家の方々がお見えになりました」


 そして、ビーズリーさんが帰ってこない内にレイカー男爵家の人々がダイナー男爵家に到着してしまったのです。

 こればかりは仕方ないので、ケーラさんはレイカー男爵家の人々を応接室に案内した。


「お伺いしたのに、主人が不在で大変申し訳ありません」

「我が家こそ、主人が不在で申し訳ありません。先に始めるようにと連絡がございました」


 コリーナさんそっくりのレイカー男爵夫人と、ケーラさんがお互いに頭を下げていた。

 レイカー男爵もビーズリーさんと同じ軍人でたまたま同じシフトだったらしく、こればかりはどうしようもないだろう。

 どうも商店街でトラブルがあって、軍はその対応に追われているという。

 日勤への引き継ぎも終わったらしく、そろそろ引き上げるらしい。


「そういえば、この間うちの主人がこう言ったのですよ」

「まあ、うちの主人も同じ事を言ったのですよ。本当に嫌ですよね」


 そして、いきなりというか軍人貴族の旦那を持つ同士、共通の愚痴を始めてしまった。

 レイカー男爵夫人はニースさんといい、軍人貴族家として苦労が絶えないという。

 レイカー男爵家の息子夫婦は揃って地方に出張しており、来年の結婚式までには王都に戻れる予定らしい。


「申し訳ありません、お母様は話し出すと止まらなくなるのです」

「うちの母親も同じです。普段から、様々なストレスが溜まってるのでしょう」

「いつも話しているもんね!」


 コリーナさん、ナッシュさん、クリスは、逆に軍人当主の母親の話題で盛り上がっていた。

 どうやら、お互いに苦労していることは一緒みたいだ。

 そして、いつの間にかケーラさんとニースさんはお茶会みたいに物凄く盛り上がっていた。

 仲良くなったのはいいんだけど、コレって両家の顔合わせなのかなって思っちゃいます。


「戻ったぞ」

「失礼する」


 すると、このタイミングでビーズリーさんとレイカー男爵が応接室に入ってきた。

 急いで来たのか、二人ともまだ軍服のままだ。


「あら、あなた来たのね」

「取り敢えず座って」


 そして、すっかり仲良くなったケーラさんとニースさんは、昔からの知り合いみたいな感じで主人をソファーに座らせた。

 二人とも妻の様子にちょっと戸惑っていたのだが、取り敢えず顔合わせを始めよう。


「改めて、ダイナー男爵家当主のビーズリーだ。このような素晴らしい縁を結ぶことができ、本当に感謝する」

「レイカー男爵家のマーシャルだ。娘が将来有望な若者に嫁ぐことができ、父親としてとても嬉しく思う」


 マーシャルさんは、スキンヘッドにあごひげを蓄えた筋肉ムキムキの軍人だ。

 既にナッシュさんも顔見知りなので、本当に順調に顔合わせが進んでいった。

 無事に式の日程などの話もしたのだが、ここから少し予想外の展開に進んでいった。


「あなた、話があります」

「私からも話がありますわ」

「「えっ?」」


 ケーラさんとニースさんは、主人であるビーズリーさんとマーシャルさんに隣に来るように指示した。

 そして、一気に普段溜まっていたものが爆発したのです。


「こうなると、お母様は止まりませんわ。私たちでお話しましょう」

「そーだね」


 ということで、子どもたちは両親から少し距離をとって話していた。

 時々両家の主人が僕たちの方をチラチラと見ていたのだが、その度に奥様にどこを見ているのよと注意された。

 そして、奥様からのお話は昼食前までずっと続いたのだった。

 もちろん、両家の主人は夜勤以上に疲労困憊だった。

 その、お疲れ様です。

 大人は大変なんだと、改めて感じたのだった。

読んでいただき、誠にありがとうございます

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