第百二十話 王都からやってきた人
そして、オヤツの時間頃に王都からの馬車便が直轄領に到着した。
僕とクリスも、ちょうど街道の巡回を終えて町に戻ってきたタイミングだった。
せっかくなので、馬車に乗ってきた人達に軍の施設で僕たちの害獣駆除の成果を見てもらうことになった。
シュッ、ドサドサドサドサ。
「「「「「こ、これは……」」」」」
馬車で王都からやってきた面々だけでなく、元々直轄領にいる駐留軍の兵も大量のオオカミ、大蛇、クマ、イノシシにかなり驚いていた。
今まで一部の兵が巡回をサボっていたツケがこれだけ溜まっていたという、なによりの動かない証拠だ。
「もちろん乱獲はしていません。それでも、探索魔法の結果ではまだまだ何かがいそうです」
「ある程度予想はしていたが、これは酷いな。ケン君は、クリスと共に暫く害獣駆除に専念してもらおう」
ビーズリーさんは、僕たちの一日の巡回結果を見て直ぐに方針を決めた。
治療はスラちゃん、シロちゃん、レモンちゃんにお任せになるが、町の安全を守るためにもいたしかたない。
スラちゃんたちは、治療は任せろと触手をフリフリとしていた。
そして、軍の施設にある会議室で今後のことを話し合うことになった。
「我々は先発隊として対応し、五日後に別部隊が来ることになった。後任の調整などは、この別部隊が対応する」
エレンお祖父様が、集まった面々に色々と説明してくれた。
今回、直轄領の代官だけでなく駐留軍の指揮官も代官からの贈収賄で王都に連行された。
そのため、直轄領の運営だけでなく軍の立て直しも急務となった。
更に教会の聖職者にも不正に加担しているものがおり、スラちゃん達に見破られて拘束されていた。
「王城も人選を進めているが、暫くは決まらないだろう。当面は、官僚が交代で対応にあたるだろう」
エレンお祖父様も、当面の対応を教えてくれた。
あくまでも、僕たちはこの一週間町の人のために頑張れば良いという。
先ずは、集中して害獣駆除を行って街道の安全を確保しないと。
今日は防壁の門の周辺をもう一度広範囲探索魔法で確認し、反応に引っかかったオオカミなどを倒した。
この日から改めて軍の施設で休むことができ、更にゴブリンの襲撃もなく熟睡することができたのだった。
そして翌日のオヤツの時間頃、王都から助っ人が魔導船に乗ってやってきた。
僕とクリスはちょうど巡回から帰ってきていたので、そのままビーズリーさんとエレンお祖父様と共に助っ人の出迎えをした。
すると、予想以上の大物が姿を現したのだった。
「ええ!? ルーカス様が来たんですか?」
「王国の直轄領で起きた大規模な不正だ。兄上も直轄領に来ようとしたのだよ」
ルーカス様曰く、これ程の不正は王国でも類を見ないという。
僕達が被害を最小限に食い止め、速攻で証拠を押さえたのがとても大きいという。
主犯の代官などは相当厳しい尋問を受けている最中で、重犯罪者用の牢屋に入れられているという。
「四人の働きはとても良かったと、父上も手放しで褒めていた。間違いなく、今回の不正解決の功労者だ」
「ありがたきお言葉をかけて頂き、誠にありがとうございます」
エレンお祖父様が代表して、ルーカス様にお礼を言った。
僕達は、町の人を何とか助けようと無我夢中だった。
だから、褒められることなんて考える余裕も無かった。
でも、こうして僕達の働きをキチンと見てくれる人はいるんだなと改めて思った。
「今後だが、ケン君とクリスは引き続き街道の害獣駆除にあたってくれ。私は、軍の施設の会議室でダイナー男爵とノーム準男爵と共に事件の状況を纏める」
「「「「はい!」」」」
ということで、改めてルーカス様の指示で今後の予定が決まった。
今日はまたまた時間がないため、防壁の門の周辺で害獣駆除を行うことにした。
ルーカス様たちは、早速代官邸へと向かった。
ザシュ、ザシュ!
「昨日よりは、オオカミとかの数は減ってきたね。もう少し頑張れば、何とかなりそうだね」
「私たちが頑張れば、後は軍の兵がどうにかするんだよね。怪我人が出ないように、少しでも数を減らさないとね」
僕とクリスは、お互いに頷いて目の前のオオカミを倒す事に集中した。
一緒に来てくれているリーフちゃんの活躍もあり、安全且つあっという間に倒していった。
素材を極力傷つけないようにしているので、毛皮や肉も流通できるはずだ。
少しでも直轄領の経済が潤えばと、リーフちゃんも血抜きを頑張った。
こうして、僕達は巡回の兵と共に夕方まで害獣駆除に勤しんだのだった。
「そういえば、ジョセフがケン君に会いたがっていた。私やシーリアがケン君の名前を出すと、思わず反応していたくらいだ。王都に帰ったら、息子に会ってくれ」
夕食時、ルーカス様は優しい父親の表情で僕に話しかけてきた。
元気いっぱいなルートちゃん、アーサー様とメアリーさんの間に生まれた双子ちゃんにも会ってあげないと。
特に、ルートちゃんは屋敷を元気よく走っているはずだ。
その後も、僕達が王都にいない間の話をルーカス様が教えてくれた。
直ぐにどういう状況か想像することができ、何だか微笑ましく思ってしまったのだった。
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