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毒父に物資として戦地に送られた転生治癒師、無自覚チートで何でも癒しちゃいます  作者: 藤なごみ


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第百十九話 ゴブリンキングとの戦い

「ダイナー男爵様、門の付近に集まっていたゴブリンが少なくなりスペースができました!」

「よし、今だな」


 防壁の上にいる兵から、突撃オッケーの合図が出た。


「勇猛果敢な王国兵の力を見せる時だ。直轄領の民を救うべく、全力を尽くすように。たとえ怪我をしても、【蒼の治癒師】がここにはいるぞ」

「「「「「おー!」」」」」


 ビーズリーさんも、直ぐに兵に訓示を出した。

 兵も、町の人を守ろうと士気が高くやる気満々だ。

 そして、防壁の門の脇にある守備隊用の扉を開けて突撃を開始した。


「「「「「ギシャー」」」」」

「グギャー!」


 ゴブリンは二十体まで数を減らしており、一番奥に一際大きなゴブリンの姿があった。

 鑑定魔法で確認もしたが、間違いなくゴブリンキングだ。


「「「「「グルル……」」」」」

「オオカミも現れたのか。小隊長の指示に従って、全て倒すぞ」

「「「「「おう!」」」」」


 血の匂いに誘われてなのか、多くのオオカミも現れた。

 とはいえ、今の兵は油断も隙もない。

 隊長の指示に従って、連係プレーで確実にゴブリンとオオカミを倒し始めた。


「グギ……」


 シュイン、ザシュ、ザシュ!


「グギャー!」

「ゴブリンキングの相手は僕たちだよ!」

「他の人のところには行かせないよ!」


 僕とクリスは、ゴブリンキングを牽制しつつ素早い攻撃を続けていた。

 そして、段々とゴブリンキングをゴブリンの群れから離れたところに誘い出した。

 僕とクリスの攻撃に、他の人を巻き込ませないためでもある。


「グギャ……」

「みんな! 魔法攻撃を!」

「弓矢の攻撃も行え!」


 シュイン、ズドドドドーン!


「ギャーーー!」


 ゴブリンの群れから離れたところなら、スラちゃんたちの魔法攻撃も可能だ。

 致命傷までは与えられないが、ゴブリンキングの動きを止めることは可能だ。

 監視台にいる兵も、スラちゃん達に負けじとゴブリンキング目掛けて弓矢を放った。


「みんな、少しの間でいいからゴブリンキングの足を止めて!」


 シュイン、ズドドドドーン、ズドドドドーン!


「ガッ、ガァー!」


 スラちゃんたちの魔法の一斉掃射に加え兵による弓矢の攻撃も加わり、流石のゴブリンキングも動きを止めざるをえなかった。

 その間に、僕とクリスは剣に魔力を込めた。


「クリス、タイミングを合わせて!」

「任せて!」


 僕とクリスは、お互いに頷いて身体能力強化魔法を全開にしてゴブリンキングを目掛けて一気に走り出した。


 シュイン、ダッ。


「「はあああ!」」


 ザシュ!


「ギャーーー!」


 ゆらっ、どたーん。


 僕とクリスの渾身の魔法剣は、ゴブリンキングの腹をクロスで深く斬り裂いた。

 魔法剣の衝撃も重なり、ゴブリンキングは耐えることはできなかった。

 ゴブリンキングは息絶え、大きな音を立てながら仰向けに倒れた。


「「はあはあはあ……」」

「ケン君、クリス、よくやった。こちらも、ゴブリンとオオカミを全て倒した。少し休んでいろ」


 流石に全力で魔法剣を使った後なので、僕とクリスはかなり疲れた。

 ビーズリーさんは、僕たちを褒めつつ兵に気を抜くなと指示を出していた。

 スラちゃんたちも防壁の上から降りてきて、ゴブリンキングなどの血抜きを行っていた。

 因みに、ゴブリンキングは素材としても使えるので血抜きだけすれば良いという。

 少し休憩を取ると、僕もクリスも十分に動ける程体力が回復した。

 残存しているオオカミを、拘束魔法を使用しながら安全に倒した。


「それにしても、なんでこんな大量のゴブリンが現れたのでしょうか?」

「それについては、ハッキリと理由が分かっている。代官と結託していた兵が、虚偽の巡回完了届を出していた。そのため、実際の巡回は六割しか行われていなかった。その結果、魔物が増えてゴブリンも増えたという訳だ」


 ビーズリーさんも、かなり呆れながら返事をしたが、まさかの職務放棄だなんて……

 オオカミも増えたから、その分兵の怪我人も多かったんだ。

 これだけの大事件を引き起こしたのだから、きっと代官と結託していたものは厳罰になるはずだ。


「ビーズリーさん、この後はどうするんですか?」

「少し休んで、朝食を食べたら巡回を強化する。悪いが、ケン君とクリスも巡回に付き合ってくれ。幸いにして、兵は今回殆ど怪我をしたものはいなかった」


 僕とスラちゃんの探索魔法を使えば、オオカミなどの位置を把握することができる。

 この分だと、少し多めに害獣駆除をしても全く問題なさそうだ。

 兵も連係プレーの成果もあり、みんな元気満々だ。

 スラちゃんたちの血抜きも終わったので、通信用魔導具での報告を兼ねて一度魔導船に戻ることになった。


「はあ、陛下もかなり怒られておられた。代官などは、かなり厳しく罰せられるだろう」


 エレンお祖父様も、流石にこれはどうしようもないと嘆いていた。

 色々な偽装をして金品を得たり楽をしようとした結果、危うく直轄領が魔物に襲われて大惨事になるところだった。

 様々な罪が重なり、死刑になってもおかしくないという。

 その代官などは、この後直ぐに魔導船で王都に護送する事になった。


「私とダイナー男爵で、代官の護送手続きを行う。二人も、気をつけて巡回するのだよ」

「「はい!」」


 こうして、僕たちはそれぞれ動き出すことになった。

 因みに、教会にも怪しい人物がいるそうなので、スラちゃんたちが兵と共に向かうことになった。

 僕たちにはリーフちゃんがついてくることになり、兵と共に馬に乗って街道の巡回へと向かったのだった。

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