第百十六話 まさかの魔物との遭遇
「ダイナー男爵様、馬を用意いたしました。追加兵も準備完了です」
「よし、行くぞ!」
僕とクリスも、用意された馬に乗りこんだ。
ビーズリーさんは、追加兵の先頭に立って馬を走らせた。
「「「「「グルル……」」」」」
「陣形を立て直せ!」
「くそ、このままでは……」
そして、馬を走らせて僅か五分のところで兵が二十頭を超えるオオカミの群れと対峙している現場に到着した。
まさか、町のこんな近くでオオカミの群れに遭遇するとは全く思わなかった。
予想以上に沢山のオオカミが兵を取り囲んでおり、負傷兵もいて防戦一方だった。
「加勢する。ケン君やってくれ!」
「はい!」
シュイン、ズドドドドーン!
「「「「「ギャイン!」」」」」
「「「「「えっ!?」」」」」
僕だけでなく、ビーズリーさんの肩に乗っているリーフちゃんもエアーバレットをオオカミの群れに乱射した。
一気に十頭以上のオオカミを吹き飛ばし、オオカミと対峙していた兵は何ごとかと呆気にとられた。
「続いて、オオカミを拘束します!」
「やってくれ」
シュイン、バシッ。
「「「「「ガウッ!?」」」」」
残りのオオカミを全て拘束し、これで一先ずの危険は無くなった。
後は、他の兵に頼んで確実にオオカミにとどめを刺せばいい。
無駄に危険な戦闘を続けなくても良いはずだ。
シュイン、ぴかー!
「これで怪我は大丈夫です。全員何とか治療できて良かったです」
「本当に助かった。【蒼の治癒師】は、攻撃魔法にも優れているのか」
僕は、馬から降りて五人の負傷兵を治療した。
重傷者って程ではないが、腕や足にくっきりと残っていたオオカミの噛み傷などはかなり痛々しかった。
既に倒されているオオカミもいたが、兵は完全に多勢に無勢だったのだろう。
シュイン、シュボッ。
「はあああ!」
ザシュ、ザシュ!
クリス、殆ど動けないオオカミにトドメを刺すのにわざわざ魔法剣を発動しなくてもいいと思うけど……
良い訓練だと言わないの。
リーフちゃんが倒したオオカミの血抜きを行い、僕のアイテムボックスにしまった。
その間定期的に探索魔法を発動するのだが、ここで僕はある反応を捉えた。
シュイン、もわーん。
「あっ、森の中から僕たちを目指す何かの群れがあります」
「ケン君とリーフちゃんは、魔力を溜めて迎撃の準備を」
オオカミくらいの反応だけど、何かに追われている気がする。
予想外の事が起きているかもしれないから、ここは慎重にならないと。
ガサガサ、ガサガサ。
「「「「「ガルル!」」」」」
「「「「「キシャー!」」」」」
何と森の中から現れたのは、オオカミだけでなく緑色の肌をした魔物も含まれていた。
小さな人間っぽい姿だけど、かなり醜い姿をしているぞ。
「くそ、ゴブリンがいやがる。ゴブリンがいるから、オオカミは生息域を追われたのか」
ビーズリーさんも、目の前に現れた魔物は予想外だったみたいだ。
しかし、僕とリーフちゃんのやることは変わらなかった。
シュイン、ズドドドドーン!
「「「「「ギャイン!」」」」」
「「「「「ギャッ!」」」」」
僕とリーフちゃんのエアーバレットの一斉掃射により、オオカミとゴブリンは一気にその数を減らした。
撃ち漏らしもいるが、もちろん計算済みだ。
ザシュ、ザシュ。
「ギャッ!」
「いやあ、気持ち悪い!」
ゴブリンの醜い姿に、クリスは若干パニック気味だ。
それでも、魔法剣でズバズバとゴブリンを斬り伏せた。
僕も、剣を手にして拘束魔法を使いながらオオカミとゴブリンを斬り捨てた。
こうして、オオカミだけでなくゴブリンの群れも何とか撃退したのだった。
「リーフちゃん、ゴブリンは胸の中にある魔石と右耳を残して吸収して構わない。ゴブリンは、皮や骨なども素材として使えないのだよ」
ビーズリーさんの指示に、リーフちゃんは可愛らしい敬礼をしてから処理を始めた。
引き続き、処理を終えた素材などは僕のアイテムボックスにしまっていった。
そんな中、僕はある疑問が浮かんだ。
「ビーズリーさん、この森ってゴブリンが住んでいるんですか?」
「可能性はあるが、居ても小規模な群れだろう。十体以上の群れが現れるなんて、どう考えてもおかしいぞ」
ビーズリーさんだけでなく、普段直轄領にいる兵もおかしいと感じていた。
直ぐにお互いに話をして、情報を整理していた。
一方、クリスは気持ち悪いゴブリンとの遭遇で少しグロッキー状態だった。
気持ちは分からなくもなく、処理を終えたリーフちゃんがクリスの頭をなでなでしていた。
シュイン、もわーん。
「あっ、また何かの反応がありました」
「えー!? ゴブリンはいやー!」
クリスの叫びも虚しく、僕たちはこの後二回オオカミとゴブリンの群れに遭遇した。
その度に、クリスは気持ち悪いと叫びながら魔法剣を発動してゴブリンを斬り捨てたのだった。
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