第百十三話 王太后様とのお茶会と王家の双子ちゃんとのふれあい
屋敷に元実家の使用人が押しかけてきて、数日が経過した。
結果的に、元実家の使用人はその殆どが拘束された。
馬鹿な父親と兄に隠れて横領をしており、中には相当額の横領をしていたものもいた。
ハンナおばさんは横領などしておらず、だからこそ僕の屋敷に来ることができた。
因みに、他の贅沢派の貴族家から解雇された使用人の中にも問題を起こしていたものがおり、既に軍によって拘束されていた。
「ケン様、クリス様、本日付けで五名の使用人が新たに働くことになりました」
「「「「「宜しくお願いします」」」」」
そんな中、数人だが全く問題ない使用人もいた。
彼女たちはまだ採用されて日が浅いか、真面目に働いていたかだった。
ハンナおばさんや他の人と面接をし、僕の屋敷に五名、そして実家のノーム準男爵家に一名採用された。
クリスも朝から来ていたので、玄関ホールで挨拶を受けた。
五人中四人は暫く研修を受ける予定だが、もちろんキチンとお給料は支払う。
良い人が働くことになり、僕もクリスもとても嬉しかった。
「ケン様は、これからますます出世されるお方です。宮廷魔導師であり、上級官僚でもあります。皆さんも、自信を持ってケン様に仕えるように」
「「「「「はい!」」」」」
あの、ハンナおばさんの言い方はちょっと誤解を受けそうな……
でも事実なので、僕は何も反論できなかった。
ということで、新規採用の使用人には早速業務に移ってもらった。
僕とクリスは王太后様からお茶に誘われているので、身支度を整えて馬車に乗って王城に向った。
「ケン君の身辺が落ち着いて、本当に良かったわ」
「「あうー」」
王城の応接室で、僕はアリアちゃん、クリスはブライトちゃんを抱っこしながら王太后様とお茶をしていた。
王妃様とメアリーさんは公務に出ているそうで、代わりに王太后様が双子ちゃんの面倒を見ているという。
そして、王太后様はこんなことも言ってきた。
「そうそう、ケン君が魔法も使わずに年上の兄を圧倒したと、王都中で噂になっているわ。妥当な結果とはいえ、やはり【蒼の治癒師】様は凄いと王城の使用人も言っているわ」
ニコニコと話す王太后様に加えて、控えている使用人もウンウンと頷いていた。
町の教会で行った奉仕活動でも、色々な人から噂の件を話しかけられたっけ。
【蒼の治癒師】様は、治療だけでなく武にも長けていると、かなりの噂になっていた。
「多分ですけど、チビスライムたちでも兄に圧勝できたかと。それくらい、兄の実力はかなり劣っていました。間違いなく、日々の訓練をサボっていた結果だと思います」
「ケン君やクリスちゃんは、毎日の訓練を欠かさなかったわ。力というのは簡単に身につかず、日々の鍛錬が欠かせない。ケン君の兄は、軍人なのに日々の努力を怠ったから自滅したのよ」
兄は、年下の僕に負けるはずもないという慢心があったのも間違いない。
しかも、僕は魔法抜きというハンデまでついていた。
兄が我を忘れて暴走していたのもあったが、それでも僕は終始冷静に手合わせできた。
兄がほぼ自滅という形で父親と同じ道に進む可能性が高く、そうなるとあまり良くない結果が待っているのは想像に難くなかった。
「なんにせよ、ギャイン騎士爵家はあと一、二年で大きく動くことになるわ。とはいえ、ギャイン騎士爵家が無くなることはなく、ケン君の血筋に継承されるわ。歴史を見ても、長男ではなく次男が当主になることは珍しくないのよ」
王太后様も、もはやこの状況はやむなしと言っていました。
僕も、次期当主すら決まっていない実家の状況はもうダメだと思っていた。
そして、話は別のことになった。
「今年は、ケン君のところとクリスちゃんのところで慶事がありそうなのよね。嫌なことは忘れて、とてもいいことを気にした方がいいわよ」
「はい」
悪いことに気を取られると、どんどんとネガティブな思考に陥ってしまうと、王太后様は僕に忠告してくれた。
今年はいいこともあるし、来年はシンシアお姉様の結婚式も予定されている。
やっぱり、良いことを考えた方がポジティブな気持ちになるね。
「「あうー」」
ペシペシ。
ここで、アリアちゃんとブライトちゃんが構ってほしいと僕とクリスちゃんの頬をペシペシと叩いた。
スラちゃんも相手にしてくれていたが、やっぱり僕とクリスちゃんに相手にしてもらった方が嬉しいようだ。
「たかいたかーい!」
「キャッキャ!」
ということで、ここからは赤ちゃんとの触れ合いタイムに移った。
アリアちゃんは抱っこだったりたかいたかいが好きで、ブライトちゃんはずりばいを覚えて活発に動いてきた。
ルートちゃんを見ているから分かるが、ハイハイを始めたり歩き出したら赤ちゃんは一気に活動的になる。
今はまだ小さいルーカス様とシーリアさんの赤ちゃんのジョセフちゃんも、間違いなく今年中に歩き出すだろう。
そうなると、きっと王家も大賑わいになるはずだ。
ガチャ。
「ふう、遅くなりましたわ。ケン君、クリスちゃん、二人を見てくれてありがとうね」
「「すー、すー」」
一時間ほどしてメアリーさんが応接室に入ってきたのだが、遊び疲れた双子ちゃんはスヤスヤと寝ていた。
いっぱい遊んで、いっぱい食べて、いっぱい寝て、赤ちゃんは育つんだと改めて感じたのだった。
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