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毒父に物資として戦地に送られた転生治癒師、無自覚チートで何でも癒しちゃいます  作者: 藤なごみ


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第百八話 みんなにきたとてもいい話

 何だかんだで、ルーカス様の赤ちゃんを巡るトラブルも一ヶ月もあれば収まった。

 というのも、どんなことがあったかが調理室のおばちゃんたちに伝わり、そこから一気に王都中に噂が広まったからだ。

 王都の人たちは娯楽に飢えており、馬鹿な貴族が行った一連の行為に直ぐに食いついたのだ。

 更にそういう馬鹿な行為をする貴族ほど他人からの噂を気にするため、行動を控えざるを得なかった。

 普通にしている貴族にとっては、とてもありがたい状況だった。


「ルートちゃん、こっちだよー」


 ペタペタ、ペタペタ。


「あうあう」


 そして、今日はフリージアお祖母様に呼ばれて、クリスと共にノーム準男爵家にやってきた。

 最近歩き始めたルートちゃんは、応接室でクリスに呼ばれてよちよちと歩いていた。

 ルートちゃんがクリスの所にやってくると、クリスも満面の笑みで抱きしめてあげていた。


「ルートは、歩くようになったら色々な所に行くのよ。目が離せなくなったわ」

「とても可愛らしいのだけど、好奇心も旺盛なのよ。色々なものを弄っているわよ」


 シンシアお姉様もフリージアお祖母様も、ルートちゃんは可愛いけど大変だという認識だった。

 そして、クリスがルートちゃんを抱っこして椅子に座ったところで、今日の本題に入った。


「ケン君は何となく分かっていると思っているけど、シンシアの婚姻がまとまりつつあるのよ。相手は同じ財務派閥の男爵家で、両親も本人もとても良い人よ」

「わあ!」


 以前から話のあったシンシアお姉様の縁談が良い方向に進んでいて、僕もホッとしていた。

 クリスもとても喜んでいて、スラちゃんたちもふるふると震えながら喜んでいた。


「来年正式に婚姻を結んで、再来年結婚式のスケジュールになるわ。その際には、ケン君もクリスちゃんも呼ぶわね」

「楽しみにしています!」


 シンシアお姉様にとってもとても良い人らしく、僕という存在抜きにしても普通にシンシアお姉様に接しているという。

 実は僕とクリスが軍の訓練でいない時に、スラちゃんは屋敷の馬に乗ってルートちゃんの様子を見にノーム準男爵家に行っていた。

 その際にシンシアお姉様の婚約者候補の人と会っていて、鑑定魔法を使っても全然大丈夫だったという。

 というか、僕の知らない間にシンシアお姉様の婚約者候補に会っていたスラちゃんがズルいと思った。


「ケン君の力や財産を狙ってシンシアに無理矢理婚姻の話を勧めてくる貴族もいたけど、何事もなくまとまりそうよ。因みに、無理に婚姻を勧めてきた貴族は、ルーカス様にも近づいた貴族なのよ。あの手この手で力を得ようとしているわ」


 フリージアお祖母様の話を聞き、僕は問題を起こした貴族がどんな相手なのか何となく想像できてしまった。

 ルーカス様も問題を起こした貴族には辟易していたし、まるで権力の匂いを嗅ぎ分ける動物みたいだ。


 ぴょんぴょん、ぴょんぴょん。


「キャッキャ!」


 因みに、いつの間にかチビスライムたちがルートちゃんの相手をしていた。

 目の前で色々な動きを見せるチビスライムたちに、ルートちゃんも大はしゃぎだ。


「取り敢えず、話はこんなものね。後は二人が仲良くやっているかを確認したかったけど、問題ないみたいね」

「大丈夫です。私はケンが大好きですし」

「ふふ、そうね。仲が良いのが一番だわ」


 何というか、クリスは真っ赤に燃えるような赤い髪みたいに真っ直ぐな性格だ。

 いつも僕にストレートに好意を向けてくるし、僕もできるだけ受け止めようとしていた。

 たまに、クリスの押しが強い時もあるけどね。


「そういえば、クリスちゃんのお兄さんも婚姻がまとまりそうなのよね」

「えっと、再来年結婚式だって言っていました」

「そう、それは良かったわ。同じ年に結婚式になりそうね」


 軍の兵として地方を回っていたクリスのお兄さんも、つい先日王都に一次的に戻ってきたタイミングでお見合いをした。

 無事に婚姻も決まったので、ビーズリーさんもホッと胸を撫で下ろしていた。

 因みに、クリスのお兄さんはまた地方に出発しているという。

 何でも、父親とは違う別の贅沢派が地方の軍の基地で問題を起こし、王都に正式に戻るのが遅れているという。

 何というか、お疲れ様としか言いようがなかった。


「さて、そろそろ昼食の時間ね。ケン君もクリスちゃんも、一緒に食べて行きましょう」

「「はい!」」

「あー!」


 フリージアお祖母様からの提案に、僕とクリスだけでなくルートちゃんも元気よく手を挙げていた。

 ご飯が大好きなルートちゃんが、どうやら昼食の部分に反応したみたいだ。

 ルートちゃんの微笑ましい行動に、僕たちもくすりとしながら顔を見合わせた。

 そして、フリージアお祖母様がルートちゃんを抱いて、僕たちも食堂に向かったのだった。

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