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第13話 存在と永遠回帰への空想

 存在と永遠回帰への空想は主に主要な登場人物が二人いてその二人がお互いの哲学的主張を話し合う中で、永遠回帰への理想のもとに導かれていく思考の流れを追体験できるような作りになっている映画だった。哲学書のほうは少し前にホラーが発売日に書店に並んで購入していたので、ホラーが読み終わったあとにメロディも存在と永遠回帰への空想は読んでいた。それなりに面白い本だった。哲学書だけど難しい話はなるべく意図して書かないように工夫をしてあるようだった。(いろんな考えを持つたくさんの人たちに読まれることを目的に書かれているようだった)

 存在と永遠回帰への空想はとても長い文章の本なので(メロディの枕よりも分厚かった)メロディは本を読みながら付箋を貼ったり、メモを取ったりしていた。そのメモを映画を見にいく前にメロディはもう一度読んでみることにした。(自分の興味があることにはすごい集中力を発揮するホラーはあの分厚い哲学書のほとんどの内容を覚えているようだった。それくらい何度も何度もホラーは存在と永遠回帰への空想を読み返していた)

 そのメモを映画館に行く準備をしているホラーを待っている間にメロディは久しぶりに読み始める。


 存在と永遠回帰への空想


 存在と永遠回帰への空想はまず存在について語られる。存在について語るのは主要な登場人物の一人である『男』だ。男は存在についてこう説明する。存在とはあるがままにこの世界の中にあるもののことである。そこにはなんの秘密もないし、なんの神秘性もないし、なんの運命も、繋がりもない。存在とは大地の上にある小石のようなものであり、そこにあり、(認識する対象がどこにもなければ)そこにないものである。そんな冷たく残酷なものが存在の正体であると男は語る。その男の語る存在に対してもう一人の所要な登場人物である『女』はこう反論する。

 存在とは男が主張するような物質的なものではなくその中に込められている性質によるものだと言う。そこにはただの小石ではなくて、ある物語や関係性によってさまざまな価値を持つ小石がある。存在とは無機質で平均的で平等なものではなくていろいろな形を持つものであると言う。「存在とはただあるがままの状態でそこにあるものではなく他者の空想によって定義されるものである」女は男の目をじっと見つめながらそう言った。(男は無言。それから少しして思い出したように男はポケットからタバコの箱を取り出して、タバコを口に咥えるとそっとオイルライターで火をつけた)

 存在と永遠回帰への空想ではまず第一章でこのように丸いテーブルを挟んで椅子に座っている男と女によって存在について語られる。

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