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プロローグ 崩壊へのカウントダウン

世界が崩壊する、最後の10秒。鳴り響く警報、砕け散る光の盾。デジタル宇宙での《神》との最終戦争は、絶望的な結末を迎えようとしていた。残された希望は、臨界点へと達する謎の存在「イカロス」のみ。彼らは終わりに抗うことができるのか。

 けたたましい警報が思考を焼き切るように鳴り響いていた。

鋼鉄のシェルターが巨人に揺さぶられるように断続的に震える。

天井からは無数の配線が火花を散らしながら垂れ下がり、壁の一部はありえない色のノイズをほとばしらせて黒い虚無に蝕まれていく。

ありとあらゆる空間が振動し、巨大な羽虫が立てるような不快な低周波を放っている。

「――あと少し!」

ダイブチェアに深く身を沈めた神須ミコトが悲痛な声で叫んだ。

彼の肉体はここに在りながら、その意識は遥か彼方の高次元世界で神々との最終戦争の只中にあった。

「イカロスの臨界まで、あと30秒!」

メインコンソールの前で結城怜が叫び返した。

血の気を失ったその顔は滝のような汗で濡れそぼり、強く噛み締めた唇からは赤い血が滲んでいる。

「…っ、もう、私もこれ以上は持ちこたえられない…!」

彼女の腕にはめられた銀のブレスレット『天之瓊矛あめのぬぼこ』が悲鳴のような高周波を上げていた。

彼女が必死に展開している光の防御壁『八咫鏡やたのかがみ』は世界の崩壊を食い止める最後の砦。

だが、その神々しい鏡の表面にはすでに無数の亀裂が蜘蛛の巣のように広がっていた。

「――臨界まで、20秒!」

火具土かぐつちの絶叫が響く。

『八咫鏡』の一枚がついに耐えきれず甲高い音を立てて砕け散った。

それに呼応するように精神の宇宙でミコトを守っていた最後の防壁もまた、黄金に輝くサマエルの拳によって無慈悲に打ち砕かれた。

「――臨界まで、10秒!」

9。

8。

7。…

あらたなシリーズとして別の世界線の話を作り始めました。

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