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クールな幼馴染みとの甘い秘密  作者: りょう
第2部甘い彼女
24/34

第24話ずっと隣で 前編

お詫び

前回このお話を飛ばして25話を上げてしまっていましたので、急遽割り込み投稿させていただきました

気づかずに大変申し訳ございませんでした!

 数時間後。

 服装とか髪型を整えた俺は、華と一緒に彼女の家の前にいた。


「本当に大丈夫? 亮太」


 事が事だけに華も俺のことを何度も心配してくる。


「大丈夫だよ、華。俺達はあくまでお付き合いをしている挨拶をするだけなんだし、泰介さんだってしっかり話をすれば分かってくれるはずだ」


 ー正直怖くはある。


 身体は小刻みに震えているし、本当は逃げ出したいという気持ちもある。


(この扉を入った先で待っていることが、想像できない)


 3年前、俺は華を傷つけたことを泰介さんが今でも許していないことは華から聞いている。俺だって許してもらうつもりはない。

 でもそれと、何も話さないのとは違う。逃げていたって何も始まらない。


「行こう、華」


「......分かった」


 俺は華の手を優しく握り、彼女の家の扉を開けた。


 2

「お帰りなさい華。体調はよくなった? あら?」


 玄関に入るとソフィーヤさんが出迎えてくれる。予めこの時間に帰ってくることは連絡してあり、ソフィーヤさんはわざわざ玄関で娘の帰りを待ってくれていたのだ。


「亮太君も一緒なのね。いらっしゃい」


 ただ俺も一緒に来ることは伝えていなかったので、少し驚いてはいたものの笑顔で出迎えてくれた。


「お邪魔します、ソフィーヤさん。昨日はありがとうございました」


「いいのよ、困ったときはお互い様なんだから。それより今日は用事があってきたのよね?」


「はい。昨日のお礼とは別に、お二人に話したいことがありまして」


「どうぞ、上がってちょうだい」


 俺の言葉にソフィーヤさんは頷いた後に、俺を華と一緒に玄関に上げてくれる。


「お母さん、お父さんは?」


「二階のリビングにいるわ。さっきまで貴女の帰りが遅いって、怒っていたのよ」


「すいません、俺のせいで」


「昨日も言ったけど、亮太君何も悪くないわ。ただ、そうね。ちゃんと話をするべきだとは思うわ」


「はい......」


 俺はソフィーヤさんの後ろについて、玄関から二階へ階段を上っていく。


(もうここまで来てしまったんだ。覚悟を決めろ、俺)


 一段一段上がる度に、心臓の鼓動が早くなる。今にも破裂してしまいそうな自分の心を、ぐっと堪えながら、二階へ到着し、泰介さんがいるリビングの入口の扉までやって来る。


(小さい頃は何度も開けた扉のはずなのに、今日だけは巨大な壁に見えるな)


 まるで俺が入るのを拒絶しているようなその扉の前に立つと、俺の足が止まってしまった。


「亮太?」


 その様子を見た華が、少しだけ不安そうに声を掛けてくる。


「やっぱり今日は帰る?」


「大丈夫だよ、行こう」


 俺は一つ大きく深呼吸して、リビングに足を踏み入れた。


 3

「ただいま、お父さん」


「帰ってきたか、華。今日までどこに......なっ」


 華が帰ってきたのを認めた泰介さんは、俺が隣にいることにすぐに気がつく。


「我が家に男を入れる許可した覚えはないんだが」


「お久しぶりです、泰介さん......」


 てっきり出会ってすぐに殴られる覚悟だったのだが、泰介さんはあくまで冷静に対応した。


「どの面下げてここに来た、と言いたいところだが、娘から話を聞いている以上蔑ろにはできない。だからそこに座ってくれ」


「失礼します」


 俺は泰介さんに言われるがまま、テーブルを挟んで反対側のソファに座る。その隣には華もしっかりとついてきてれた。


「こうして直接顔を合わせるのは2年ぶりだな。もう二度と会うことはないと思っていたが、こういう形で会うことになるとは思っていなかった」


「そう、ですね」


 2年ぶり、というのはあの事件で俺は一度泰介さんに会っている。その日は今よりも地獄で、とてもではないけど話をできるような状態ではなかった。


(あの時と違ってまだ、話し合いには応じてくれるって事でいいんだよな?)


「時間も惜しいから単刀直入に聞かせてもらう。娘と付き合っているという話は本当か?」


 そんなことを考えている間に、泰介さんはいきなり本題に入ってきた。俺の目を真っ直ぐに見て聞いてきた泰介さんに、俺は目を逸らさずに答えた。


「はい。俺は今、華と付き合いさせてもらっています」


 今度こそ殴られる覚悟で俺は肯定した。


「そうかそうか、その言葉を聞いて安心したよ」


 すると泰介さんは急に笑い出して、何度も頷いて見せた。俺も華も急な態度にただ戸惑っていると、泰介さんは更に言葉を続ける。


「最初聞いたときは耳を疑ったよ。まさか本気だったなんてな。なら俺から言える言葉は一つだ。今すぐ娘と別れてくれ」


「え?」


「聞こえなかったのか? 今すぐここで娘と別れると誓って、家に帰れ!」


 部屋中、いや家中に響き渡るように泰介さんは俺に言った。その声量に俺は思わず引き下がりそうになるが、踏ん張る。


「嫌です! 俺は華とは絶対に別れません!」


「どの口が偉そうに言えるんだ! 3年前、娘の好意を蔑ろにした結果、あのような事件を起こしたお前が、どうして隣に立っていられる!」


 正論をぶつけられ、俺は口を結んでしまう。何も言い返せない、言い返すことができない。起きたことは何一つ嘘じゃないからだ。


(乗り越えるって決めた矢先にこんな調子でどうするんだよ、俺)


「 華も華だ。どうしてこの男の隣に何事もなかったようにいられるんだ!」


 黙ってしまった俺に対して、泰介さんは次に華をターゲットにする。


「それは......私は亮太のことが好きだからに決まっているでしょ。小さい頃からずっと、ずっと!」


 けど華はそれに対して、強く言い返した。


 3年前、俺に言ったあの言葉と同じ声量で。


「華......」


「3年前、確かに色々あったよ。でもねお父さん、それでも私が亮太の隣にいたい、居続けたいって思ったのは亮太への気持ちが変わってないからなの。私は......亮太の事が好きなの。その気持ちは、変えようのない事実なの」


 涙を流しながら華は訴えかけた。

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