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クールな幼馴染みとの甘い秘密  作者: りょう
第2部甘い彼女
13/34

第13話本当の初デート 前編

 無事二学期も終わり、迎えた約束の週末。俺はいつもよりも少しだけ早起きして、今日のデートプランを改めて確認した。


(最初のデートとして向いているかは分からないけど、普段あまり行かなそうな場所に連れて行くのもアリだな)


 ここ数日悩んだ結果辿り着いた結論がそれで、俺が華との初デートとして選んだのは、


「わぁ......」


「華は身体を動かすのは好きだろう? だからこういうところも気に入るかなって思ってさ」


 都内にあるゲームセンターや身体を動かして遊べる大型複合施設だった。ここなら近くにフードコートも用意されているし、一日遊べると思っての選択だった。


「亮太がこういうところを選ぶのって少し意外」


「三日間くらい必死に考えたからな。華も気に入りそうで、尚且つ一日遊べそうな場所ってなるとここがいいかなって。まあこの大きさだと一日じゃ全部回れないないけど」


「それなら心配ないわよ」


「え? 何で?」


「私達はもう付き合っているんだから、いつでも一緒に来れるでしょ?」


 不意打ちで恥ずかしい台詞を言ってくる華。


「そ、そうだな」


 俺は少し恥ずかしくなって体温が上昇するのを感じる。


「だから、その、今度も二人で来よう、亮太」


 言った本人も恥ずかしいのか、何故か頬を赤くしているが、これもいずれは当たり前の会話に変わっていくのだろうか。


(端から見たらこれ、完全に馬鹿ップルだな)


 どちらかというとピュアなのかもしれないけど。


「と、とりあえず、ここで立っていてたら時間が勿体ないし中に入るか」


「うん」


 華はそう返事すると俺の手をギュッと握り、俺もその手を握る。最初は戸惑っていたこれも、すっかり慣れてしまった。


「今日は楽しい日にしよう」


 2

 まず俺達は身体を動かして楽しめるコーナーへと向かった。


 中にはローラースケートで滑れる場所や、ボウリングにカラオケ、ロデオなどといった多種多様な施設が入っている。


「私これやってみたい」


 と最初に華が興味を示したのは、人より大きいゴムボールみたいなものの中に入って、自分がボールになって遊べるなかなか見れない代物だった。


「こういうのってテレビとかでしか見たことないよな」


「テレビも同じもの使っているんじゃないの?」


 俺と華はそれぞれのボールの中に入る。中には取っ手が二つ付いていて、これを握ってコントロールするみたいだ。


「華、準備でき、おわぁっ!」


 取っ手を掴んで準備できたところで、華の様子を伺おうとしたとき、既に目の前にボールが迫ってきていて、俺は避けることもできずにそのまま飛ばされた。


 後ろに二回転三回転と転がるボールと俺の身体。それだけで気分が悪くなってしまいそうだった。


「不意打ち成功」


 衝突してきた本人、華はドヤ顔を決めながらVサインしている。


「よくもやってくれたな!」


 俺はムキになって華へと向かって転がる。


「きゃあっ」


 衝突するとボールの中から普段は聞けない可愛らしい悲鳴が聞こえた。


「よくもやってくれたわね」


「さっきの仕返しだよ。こういう遊びは手加減したら面白くないからな」


「運動部としての力、見せてあげる」


 俺と華はこの後十分くらい遊び続けたのだが、その反動でお互いがボール酔いをするという何とも散々な結果でこの戦いは決着するのだった。


「ボール酔いって......なんだよ」


「そんなの、私が聞きたい」


 仕切り直し


 酔いが落ち着いた後、次に俺達が向かったのはローラースケートのエリア。ここはかなり広さもあるせいか、所々で男女のカップルがイチャイチャしながら滑っていた。


「華はこういうの滑るの初めてか?」


「うん、初めて。亮太は?」


「小学生の頃ローラースケートが流行っていたから、その時以来かな」


 それも十年近く前の話。つまりお互い初心者の状態。まだ氷の上とかよりはマシかもしれないけど、それでもお互い生まれたての子鹿のように足がブルブル震えていた。


「亮太、足が震えているよ?」


「華の方が震えているだろ」


「わ、私のは武者震いだから」


「何と、戦っているんだお前は」


 さっきのボールの一件があったせいでお互いに闘志が燃えてしまっている。どんぐりの背比べレベルだが、どうしてか華には負けてられない気がした。


「どっちがあそこまで転ばずに滑れるか勝負だ」


「今度こそ勝たせてもらうから」


 俺と華はレースを開始するが、先述した通りのレベルなので、前に進むどころか後ろに後退したり尻餅をつきまくったりなど散々な結果になった。


 そして挙げ句の果てに待っていたのは、


「このまま亮太に負けるわけには」


「馬鹿、袖を引っ張るな。そんなことしたら」


 華が俺の服の袖を引っ張った事によって俺がバランスを崩し、華もバランスを崩す。


「「あっ」」


 二人の声が重なったときには、二人一緒に転倒。俺が華が怪我しないように下敷きになり、その上に華が重なる形になった。


「怪我はないか?」


「だ、大丈夫」


 しばらく見つめ合う俺と華。このままキスしてしまいそうになるが、ここがそういう場ではないことを忘れてはいけない。


 周囲からの視線が痛いほど感じられた。


「とりあえずお互いに頭冷やそうか」


「うん。それが一番だと思う」


 デートって難しい。



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