プロローグ
ふと仕事中に構成をぼんやりと思いついて勢いと成り行きで書いた作品になります。
言葉選びだったり、表現等が分かりづらい!等言われましても初心者なのでその辺は多めに見ていただけると幸いです。
一応完結まで続けて行くつもりなのでどうか温かい目でご覧ください。
僕には友達がいない。
だけど寂しいとは一度も思った事はない。
いなくてもなんとかなってきたから。
「次は〇〇学校前〜〇〇学校前〜」
いつも聞いているバスのアナウンス、これと言って新鮮味もない。
また退屈な1日が始まる合図だ。
ぞろぞろ学生達立ち上がり、憂鬱な会話やどうでも良い話をしながらバスを降りる。
イヤホン越しにも会話が聞こえてくる。
(はぁ、どんだけ声大きいんだよ…)
声には出さないが思うだけ、そう思うだけである。
誰とも共有せず、話をせず極力人と関わらないように生活をしてきた。
関わったところで何かある訳でもなく、かといって不便もない。
なら関わらない方が楽だ。
はぁっと大きくため息をしバスを降りる。
暑い…今日は猛暑日だ…嫌だなぁと思いつつ降りる瞬間、バスの後ろに同じ学校の制服を着た女子生徒がいる事に気がついた。
多分僕が降りたら降りるだろうと思い気にも留めなかった。
(きっと僕と同じで1人でいたい子なんだろう、まぁ僕には関係ない事だ)
「と、作者はこの一文に色々な思いを〜」
僕は国語の授業が好きだ。
文の中にある思いを探し出し、正解を見つける。
僕と作者が会話をしているようで楽しくなる。
そもそも本を読む事自体が好きな僕は、今までいろんな本を読んできた。
今読んでいるのは1年くらい前に出版された恋愛小説。
あらすじはこうだ…
主人公が学生時代好きな子ができアプローチをかけるが、どれも上手くいかずそのまま卒業…
卒業後主人公は東京へ上京し、恋人ができ結婚。そんな幸せな生活を送っていた矢先一本の電話が来る。
学生時代好きだった女の子が事故に遭い亡くなったそうだ。
葬式に参列し式場を後にする主人公、そこへ女の子の親御さんが一つの手紙を渡してきた。
その内容は主人公への思いが綴られていた。
「見栄を張らずにありのままの君が好き」
「でも君の気持ちには応えられない
【・・】だから…」
最後の文は何度も何度も消しゴムで消した後があった。
そして主人公は泣き崩れ今ある幸せを大切にするのであった。
少し虚しくなる作品だ。
早く続きを読みたい、次はどうなるんだろうと授業そっちのけで考察をしている。
「では、本日の授業はここまで」
午前の授業が終わり昼休みになる。
退屈な授業が終わり僕は直ぐに向かう場所がある。 そう図書室だ。
この学校は図書室でも飲食可能だ。
足早に図書室へ向かう。
多分学校生活で1番楽しいのはこの瞬間なのかれない。
内心、心を踊らせながら向かった。
しかし今日はついていない、僕は絶望した。図書室は今日から改装工事で使えないらしい。
はぁっと大きくため息をつき教室へ戻る。
自席に着きふて寝をした。
(今日はため息しかついていない…
本当に今日はついていないなぁ…)
どのくらい寝てたのか分からないがいつの間にか午後の授業が終わり帰りのホームルームが始まっていた。
今日1日ついていない僕は上の空だった。
聞こえてくるのは先生の声でも生徒達の声でもなく、自分の声だけだ。
(あー苦しいなぁ…もう嫌だなぁ…
怖いなぁ…寒いなぁ…)
「では最後に皆さん黙祷をして終わります」
先生が黙祷と言うと生徒みんな黙祷し数十秒間沈黙が訪れる。
いつも騒がしい学校だが唯一静寂になる時間だ。
黙祷が終わり、みんな帰宅の帰路に立つ。
今日は全部活が休みだ。
早く帰るように急かされる。
僕も先生に怒られたくないので直ぐに帰宅する事にした。
途中先生達の会話が耳に入る。
いつも怒鳴っている生活指導の武田先生と養護教諭の早乙女先生だ。
この2人実は付き合っており、なかなか熱い2人だ。
「まさか…こんな事が起こるなんて…」
早乙女先生が悲しげに話し、涙を流している。
「大丈夫です!先生は何も悪くないです!」
武田先生がフォローしているが全くと言っていいほど効果なしだ。
早乙女先生の肩を寄せる武田先生、しかしどうして良いか分からない様子。
「先生は最後に会話?注意?をしただけであって…」
いつもは生徒達を怒鳴っている武田先生だが、今日はいつもの威勢も無く悲しげな表情をしている。
(あー武田先生何かやらかしたんだなぁ…
早乙女先生可哀想だなぁ…)
声を掛けたいが今まで人と関わらないで生きてきた僕は声が掛けられなかった。
掛けられなかったのでは無く、声が出ないという方が正しいのだろうか。
僕は2人の邪魔をしてはいけないと思い足早に学校を出た。
僕は寄り道せずに真っ直ぐ帰宅した。
友達がいたら寄り道したり、他愛もない話をしながら帰ってくるのだろうか。
僕には分からない。分かりたくもない。
カバンや制服を机に放り出し僕はベッドへ横になる。
今日1日疲れていたのか帰宅後直ぐに眠っていた様だ。
時刻は午後10時を回っている。
(はぁなんで母さん起こしてくれないんだ
よ…まぁ今日はご飯食べたい気分じゃない
し良いけど…)
なぜか今日はご飯を食べたいとは思えない。
お腹が減っていないから?減らないから?
分からない…
自分に自問自答するも答えは分からない。
うーんと腕を組み考えるていると、ピンポーンとチャイムが鳴る音がした。
(こんな夜中に誰だよ…流石に非常識すぎ
る…まぁまだ母さんが起きてる時間だか
ら大丈夫だろう…)
と思いつつもこんな夜中だ、どんな人が来たのか気になり部屋を飛び出し玄関先に向かった。
そこにいたのは今朝バスの後ろに座っていた女子生徒だった。
僕と面識はないのになぜここに居るのか?
ただ疑問だった。
母さんは怒ったりせずにその場で泣いている。
(なぜだ…なんで泣いているの?)
(母さん!泣かないでよ!)
声が出ない。思う事しかできない。
僕は直ぐに母さんの側に駆け寄った。
この人が母さんを悲しませているのか、そう思うと怒りが込み上げてきた。
僕は多分人生で初めて人に怒鳴ったのかもしれない。
「母さんを悲しませるな!」
僕は無我夢中で怒鳴った。
多分この先怒鳴る事は無いだろう。
もうこの先…2度と…無い…だろう。
2人はハッと驚いている、そして僕と目が合った気がする。
母さんが泣きながら、嬉しそうに言った。
「ここに居るのね…」
僕は分からない。僕は学校に行って…帰ってきて…部屋で寝てた…だけだ。
いつもと変わらない日常を送っているのに。
その場で泣き崩れている母さんを横目に訪れた女の子も泣いていた。
(なんで泣いているの?僕が何かしたの
か?)
そう聞くも声が出ない。
声が出ないもどかしさが自分自身をイラつかせる。
女の子がカバンの中から本と手紙を出してきた。
そこで僕は全てを思い出した。
僕、藤澤慶悟はもうこの世にいない事を。
僕、藤澤慶悟は昨日死んだ事を。
そして彼女高梨莉音は『僕の友達』だ。