異世界為替令嬢。物々交換の果てに独自の通貨を作りあげ儲けようとしているそうですよ?
「大変だわ、お金がないっ」
質屋は駄目だ。あの女に抑えられている。
レイテ令嬢は困った。困った矢先。
「そうだ物々交換しよう!」
そうして明日食べるのも困った状態を物々交換というなんともいえないもので打破しようとした。
「レイテ様、レイテ様から下さった安眠効果のある香水のおかげで夢見心地で朝スッキリですよ」
「レイテ様、レイテ様から下さった守護のペンダントのおかげで再び恋人と会えましたありがとうございます!」
「レイテ様、レイテ様から下さったドレスを着て婚約が決まりました!」
こうして話題は広まりいつしか「レイテ様! お代はいりませんささっ食べてください」「レイテ様おいらのご飯余りものだけど要らないなら捨てておいて」とすっかり領民から信頼を得たレイテは目の前の金貨を見る。
(金貨って重たいわよね、軽ければ良いのにな)
そこで彼女は衝撃に撃たれる。
「そうだ! 紙幣を作ろう!」
言うや否や新聞会社を説得(という名の乗っ取り)あらかじめ手配していた銀行ギルド支部長のミケと交渉する。
「この國独自の通貨、ですか?」
「そう、一つだけじゃない。金を金で買う。資産運営よ」
彼女は説明した。
「エーテルクレスト、ドラゴンコイン、セレスティアルゴールド、ミスティリーフ、フェアリーシルバー、アークトリム、エクリプスエンブラ、シャドウペルト、オーラオブリスク、アンドロンビット」
「こ、こんなに沢山の紙幣がしかしコレをどうしろと?」
「投機って知ってる? 投機とは不確実だが当たれば利益の大きい事をねらってする行為。価格の動きを予測し上がるか下がるかに賭けた売買の事を指す」
「つまりこの紙幣を競わせ売買させる。貴族相手に」
「!」
「貴族は遊戯が好きでしょう? その遊戯に新たに投じるのが紙幣競争」
「貴族は争い事は好まないだけど勝負は別」
「どう? 乗る? 乗らない?」
ミケは唸って、観念した。
「乗る、乗った。しかしこれだけの紙幣を競わせて価値の変動はどうやって?」
「新聞を使うわ。新聞で毎日この紙幣の価値の変動を教えるの。アナタ方にはこの紙幣を量産し取引と管理をして欲しいの」
「あとは貴族の紙幣の買い方次第よ」
沢山の紙幣を作りビジネスを成功させた彼女はまた次なるビジネスへと策謀を巡らせるのだった。