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13アリーは悪行を行いたい

「まあ、これをアリーちゃんが作ったの?」


「はい、つい夢中になって、100本も作ってしまいました」


「いいのよ。しばらく薬師のお仕事はお休みで素材の消費期限が切れそうだったし」


アリーは副ギルド長夫妻に自分が作った治癒ポーションをお礼に差し上げたいと申し出ていた。


「この治癒ポーションを無償で提供してくれるのか?」


「は、はい。一宿一飯のお礼に、是非もらってください」


「君はなんていい子なんだ」


「(どうしよ魔剣さん。頭なでなでされちゃった。本当は毒なのに、罪悪感が)」


「(こんな些末な悪事でそんなじゃ、魔王になんてなれないよ)」


「(そ、そうね。ここは心を鬼にして悪事を働かないと、うん)」


アリーは悪事を働こうとするが、罪悪感に苛まれ、下を向いて手の指をこねこねとしている。


夫婦はアリーが善行を褒められて照れていると思っているが、実は勘違いがおきまくっていた。


「あなた、でも、アリーちゅんは初めてポーションを作ったみたいだから、鑑定しないと」


ギクリとするアリー。本人は毒を渡すつもりだから当然である。


「今、調べるわね」


そういうと、奥さんは何やら不思議な道具を持ってきた。


「ポーションを検査する魔道具よ」


そう言って、アリーの作ったポーションを数滴魔道具に垂らす。


「まあ、なかなか良質な治癒ポーションね、治癒の反応の他、疲労回復効果も、それに副作用や副反応も一切ないわ」


「(よかった。奥さんポンコツだぁ♡)」


「(君、恩人に対して失礼じゃない?)」


聖剣に突っ込まれるが、実は聖剣にもわかってないことがあった。


ポーションは薬草などの素材を原料に作られるが、その効能を大幅に増加させることが重要だ。魔法操作が神レベルのアリーが作ったポーションは信じられない魔法効果を秘めていた。


「それではおいとまします。ありがとうございました。今日は薬草採集して、今日の宿はなんとか自分で確保します」


「そうか、何とか独り立ちしないとな。いつまでも私の家に居候という訳にはいかんからな」


「あっ! アリーちゃん、薬草をギルドに売ってしまうより、私の工房でポーションにしてギルドに売った方が収入が増えるわよ」


「あ、ありがとうございます」


アリーはペコリと頭を下げると、いそいそと副ギルド長の家を後にした。


「(罪の意識で、胃がキリキリと痛むよう)」


アリーは罪の意識で苦しんでいた。


「(君、悪人に向いてないよ、まったく)」


「(そんなことないよ。なんでも最初はハードルが高いのよ。ほら、よく、一人殺るのも二人殺るのも一緒って言うでしょ。10年位あれば、こんな悪事、平気でできるようになるよ」


「(そう? 10年もかかるんじゃ、やっぱり向いていないと思うよ)」


聖剣の言う通りである。


「(ところで、これからどうするの?)」


「(あっ! そうだ! 私、とんでもない悪事を働いたんだから、早く逃げないと!)」


「(他の街に行こうと思うの? でも、それなら、ある程度準備が必要だよ)」


「(どうしよう。私、何も考えてなかった)」


聖剣ははぁとため息を心の中でつく。


「(とりあえず、君は見習い冒険者だから、ギルドの依頼を受けることができない。近くの森で木の実や果物、魔物か動物を狩って、お肉を手に入れて、旅に出るといいよ)」


「(そっか、ありがとう、聖剣さん!)」


こうして、アリーは街の外の森に向かった。

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