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アニメイトに行きたい

京セラドームに着く。

オリックスバファローズのスタジアムだ。

3回ほど弟を連れて来た。

1度だけ父親の会社でボックス席のチケットをもらったことがあるのだ。

佳子は雰囲気だけで選手のことはあまり知らない。

また隣の大阪ガスの施設には母親と一緒に料理教室に来たことがある。

佳子は笑わないように窓の外を見ていた。

「はい、降りて。こっち」

どこに連れて行かれるんだろう。

帰り難波を通るのなら高島屋に寄ろうかな。地下でパン買って帰ろうかな。

ちょっと歩いて日本橋のアニメイトに寄って行こうかなと考えていると

ただの通路かな、と思ったらドームのグラウンドに出た。

やだ、ボックス席より近いと思っていたら

バファローズの監督の吉田がやって来た。

吉田は川口の同僚だ。

「この子が165超えるって。漫画やがな。朝日放送の人、カメラ撮っとき。さぁ投げてみて。ほんまかどうか見たるわ」

佳子はテレビで見た人の登場に焦りまくる。

「どうも。すみません。投げさせていただきます。つまらない投球ですみません」

佳子はピッチャーマウンドに緊張したが力いっぱい投げた。

「速い速すぎる。なんぼや。えっ171? うそやろ。女子やで」

吉田監督もテレビの取材陣もたまげた。取材陣は

「これニュースや。下手したら世界のニュースになるで」

「あはははは」

佳子は愛想笑いするしかなかった。

早くアニメイト行きたいなと思ったら

監督の上司と言う人からこの映像を野球機構に見せて女子の枠組み廃止するから

その時はバファローズに入って欲しいと言われる。

「でも、会社があるから」

と言うと

「そんな問題じゃありません。億稼げまず」

と返ってきた。

億か。それなら難波で何食べようかな、と全く関係ないことを考えていた。

あ、動かないお寿司。と思いながら電話番号を書いて帰らせてもらった。

阪神電車で難波に行く。

なんばウォークを通ってビックカメラの前のエスカレーターを上がって

NGKの前を通って道具屋筋を抜けよう。

そこからちょっと曲がってアニメイトだ。

佳子はそう思って一人で頭を揺らさず道を歩いた。

道具屋筋を歩いていると母親から電話がかかってくる。

「あんた今、ニュース出てるよ。何やったん。あ、ピンポン鳴ってる。切るわ」

と母親に言われた。

さっきの映像が流れてるんだ。恥ずかしい。とそんなに深く考えないで歩いてると

また母親から電話がかかってきた。

「あんた、速攻で帰って来て。速攻やで」

え、と思いながらアニメイトを諦めて右に曲がり南海難波駅に向かった。ホーム下で弟のために551の豚まんを買う。自分には肉だんごを買った。

あいつ喜んでくれるかな、と南海電車に乗った。


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