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普通の普通の普通

井上佳子は普通の普通の女性。ややオタク的な彼女がある日、あることを頼まれる。普通からの脱却に彼女は?

井上佳子は普通の普通の人生だ。

現在、26歳。一応友達はいるが彼氏はまだいない。

決して不細工ではない。しかし美人とも言えない。

普通だ。

今は大阪、北浜の会社に通っている。

自宅のある粉浜から南海電車で天下茶屋で乗り換え、地下鉄堺筋線で北浜まで行く。

帰りに寄るスポットがまるでない地味なコースだ。

家では両親と弟と暮らしている。

父親は普通のサラリーマン。大阪の本町に通っている。

母親はパートで地元で電線をハンダ付けする仕事をしている。

佳子は月給手取り24万円のうち10万円を家に入れている。

親はそれを結婚資金として貯めているようだ。

一回り離れた弟は地元の中学校に通っている。

佳子は弟を溺愛しており、時間があると弟を映画に連れて行ったり、ファーストフードに連れて行ったりしている。たまに父と三人でスーパー銭湯に行ったりする。

仲のいい家族だ。

佳子の会社夕方5時まで。残業がほとんどなく、5時45分には家に帰ってくる。

佳子の唯一の楽しみがネットで見るアニメだ。

旬の新作アニメから昔のアニメまで何でも普通に見ていた。

たまに日本橋などで行われるアニメイベントや店舗のオープンには独りでこっそり言っていた。

服装は派手でも地味でもない普通の格好だ。

会社では同じ年代の女性が誘われるコンパにギリギリ誘われないレベルだった。

今日も一人寂しく堺筋線に乗る。

特に天下茶屋駅は人が少なくて寂しい。

動物園前で同じ会社の直美が乘って来る。

直美を必死で無視して顔を会わせない。

佳子は朝一からしゃべるのがいやだったのだ。

日本橋駅でどさくさに紛れて後ろの車両に移る。

正直、直美も佳子を見ても何の反応もしないのだが、

佳子は倍以上、直美を意識していた。

北浜駅でも半歩ずらしてホームを降り、会社とは逆側の改札に出た。

これで誰にも会わないと、ゆっくり会社に向かうのである。

こんなに何も面白くない人生を佳子は送っていた。

会社のお昼を食べるにも弁当なら一人で屋上に。

食べに行く時も誰も行かない遠くの店に通っていた。


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