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マイノリティやコンプライアンスに配慮する王様
むかしむかし、あるところに一人の王様がおりました。
「なあ、大臣」
「はい、王様」
「昨今は女らしさとか男らしさとかはダメらしいな」
「そうみたいですね」
「ワシも解呪出来たことだし、王様らしい服を作りたいのだが」
「ダメです」
「なんで?」
「ロイヤルハラスメントになります」
「ロイヤルハラスメント!?」
「王様らしい服にすると、民衆が騒ぎます」
「いや裸の方が騒ぐのでは?」
「問題ありません」
結局裸でパレードをすることになった王様。
民衆は事前に賢い者は見える服と言われていたので、誰も何も言いません。
しかしそんな中、一人の子供が声を上げました。
「王様は裸だ!裸の王様だ!」
すると民衆は慌てて子供の口を塞ぎました。
「何を言っているんだ!ちゃんとマイノリティに配慮しているだろう!」
「そうだ!子供にはわからないんだ!」
「どうして!?おかしいでしょ!?」
「おかしい?みんなおかしくないって言っているじゃないか!おかしいのはお前だ!」
「そうだ!この差別主義者め!」
「王様、バカには見えない服はどうでしたか?」
「思ったより民衆がバカだとわかったよ……」