暗晦の海
「誰にも向ける事のないこの虚しい怒りや哀しみのたどり着く場所は有るのか?」と問う青年にワタシはこう言った。
「自分一人のためだけに求める傲慢の檻は消して君にとっての本当の救済にならない、今君が深淵の沼に浸りその毒に犯されたまま、死に絶えるのであればワタシはそのまま君を見殺しにするよ」と
__そんなアナタの抽象的な回答を前に彼は自然とその意味を理解し、またワタシにこう問いかける。
「傲慢の檻でもいい、この拒絶されたセカイから出られるのであれば」
この無限に続く苦しみの世界からわたしをワタシがきっと、解放出来るはずだ、してくれないと困るその力はきっと君が持ってる。
「答えてくれよ、ワタシ」
青年は目の前に移る概念に声をかける。
声は通じ応答が再び帰って来る。
「その選択では決して、貴方は幸せになれませんよ」
哀れんだ表情で私を包み、赤子を抱く様な慈愛に満ちた掌が私を包む。
__とても、暖かい。
他人の世界を覗き込んだことはあるかと、不思議な声が頭に反響する。
「他人の世界なんてこわくてみれやしないよ」
それが私の正直な返答であった。
「ワタシも君と同じ考えだ」
__そしてわたしはその回答によりふと悟ることが出来た。今まで対話した『それ』が自分が作り出した幻想だったのだと。
__忘れていけないものそれは、『心』であり我々がそれを抱えながら毎日を生きる。
そんな時の中で、他人の足を掬い躓かせる者がいるその正体はもう一人の自分自分自身が構築したネガティブの象徴それが幻想の正体。
自分の知らない自分が新たな自分の顔を形成し、また誤認されていくのだ最初の自分の姿もわからなくなる。
主観の世界に囚われ過ちを続けてきたこれまでを懺悔する
深淵の沼の底に閉じ込めらられた彼の『心』は堕ちきってはおらず、もう一度一人で立ち上がり、迫り来る未来と戦う事を__決心する。
彼は自分の殻である心の枷を破ったのだこの暗い、暗い何も見えぬただ一人だけのセカイで。
生が続く限りこれからもわたしは苦悩し続け__暗い、暗い深淵の闇へと誘われるであろう、だが彼は決して溺れることは無いであろう。
秘めたる気概の芽がそこにある限り
__闇を照らす光はきっとアナタの傍で寄り添っている。
未来を繋ぐ鍵となる為に。
とてもねむいです。