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6、帰宅

「シェリー、何処へ行っていたんだ? まさか、国境の町に行っていたんじゃあるまいな?」

 カルロスは不機嫌な様子で外出から戻ったシェリーに尋ねた。

「お父様……。そうですわ、国境の町に行ってきました。特に変わったことはありませんでした」

 カルロスは、ため息をついた。

「シェリーは自立しているのは良いが、活動的すぎる。敵がいたらどうするんだ?」

「そのときは逃げますわ」

 シェリーは飄々とした表情で言った。


「後は、お仕事中のはずのアルバート様とすれ違いました」

「なんだって? ……何か言われたか?」

「女性を連れて視察旅行だと浮かれていらっしゃいました。婚約破棄のことは秘密にしてくれともおっしゃってましたわ」

 カルロスは怒りを通り越して、あきれ顔で言った。

「なんと面の皮の厚い奴だ……。シェリーを嫁がせなくて良かった」


「他に、何か連絡はあるか?」

 シェリーは少し考えた後、付け足すように言った。

「あの、お金を持っていなかったので、トラモンタ国の錬金術師のジルという方に食事代をお借りしました」

「なんだって!?」


 カルロスの動揺する様を見て、シェリーは慌てた。

「あの、何か問題がありまして?」

「ジルはトラモンタ国の王宮錬金術師だぞ? 変わり者で有名だが」

「まあ、そうでしたの」

 シェリーはジルの姿を思い出した。そういえば、身なりも振る舞いも洗練されていた。


「少額かもしれんが、トラモンタ国に借りを作るわけには行かない。すぐに使いの者をやり、ジルに感謝と返金をしに行こう」

 カルロスの言葉にシェリーは焦った。ジルと会ったのは飲み屋だったからだ。

「一人でいけますわ、お父様」

「それはいけない。国の問題になるかも知れないのだぞ? シェリー」

 こうしてシェリーは、父親と一緒に日を改めてトラモンタ国を訪問することになった。

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