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辺境伯令嬢の私に、君のためなら死ねると言った魔法騎士様は婚約破棄をしたいそうです  作者: 茜カナコ


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39/80

39.帰宅

 自宅に着き、屋敷の中に入ると父親のカルロスがシェリーに言った。

「シェリーのことをポール王子に聞かれたよ。何のためにそんなに頻繁に隣国へ行っているのかと。とりあえず、親しい友人が出来たようだと言っておいたが……」

「……その通りですわ、お父様」


「隣国のトラモンタ国は、今は友好的だが、先代の王は戦争で国を広げていたからな。我がスオロ国はまだ警戒しているのだよ、シェリー。あまり思慮なく隣国へ遊びに行くのは危険かもしれないぞ」

「……はい、お父様」

 しょんぼりとしたシェリーに、母親が声をかけた。

「シェリー疲れたでしょう? もうシャワーを浴びたら着替えて寝てしまいなさい」

「はい、お母様」

 シェリーは浴室へ行き、温かいお湯で汗を流した。綺麗になった体を清潔なタオルで拭き、部屋着に着替えると自室に戻った。


「舞踏会、豪華だった……。ジル様とメイリーン様の結婚が決まったと言われたわ。……ジル様はあまり嬉しそうではなかったようだけれど……」

 シェリーはベッドに腰かけて、窓から見える街の明かりをぼんやりと眺めていた。

「アシュトン様は……あんなにダンスが上手だとは思わなかったわ。今も手に、ぬくもりが残っているみたい……」

 シェリーは自分の手を見つめ、微笑んだ。


「シャラ王女も、ポール王子も、私のことを気にかけていたみたい……。やはり、スパイをしているのかもしれないと思われてしまったのかしら?」

 シェリーはポール王子の探るようなまなざしを思い出して震えた。

「スパイなんて恐ろしい……。やはり隣国に行くのは控えたほうがいいのかしら……」

 そう言いながら、シェリーはアシュトンの優しい微笑みを思い出して頬を染めた。


「アシュトン様は……私のことをどう考えていらっしゃるのかしら」

 シェリーはベッドに入り、目をつむった。

 困ったような表情のジル、嬉しそうなメイリーン、屈託のない笑みを浮かべるアシュトン……次々と思い出したシェリーはゆっくり息を吐いて、頭を空っぽにしようと試みた。

「今日は疲れたわ……」

 シェリーは自分の体が重くなるのを感じた。

 ほどなく、シェリーは眠りについた。



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