表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
辺境伯令嬢の私に、君のためなら死ねると言った魔法騎士様は婚約破棄をしたいそうです  作者: 茜カナコ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/80

36.王宮の舞踏会

 シェリーが家に引きこもってから一か月が過ぎた。

 家にいる間は、母から家の仕事を教わったり、お菓子を作ったり、本を読んだりしてシェリーは、おとなしくしていた。

「シェリー様、お手紙が届いております」

「まあ、ありがとう」

 シェリーはメイドから手紙を受け取ると、差出人を見て驚いた。


「お父様、王女さまからお手紙が来ましたわ」

「何と書いてあった?」

「今、開けるところです」

 シェリーが手紙を開けると、そこには舞踏会の招待状が入っていた。

「今週末の夜の舞踏会の招待状が入っていました」


「そうか。舞踏会に行く相手はいるのかい?」

「ええと……」

 シェリーは困ってしまった。

 今一番仲の良い異性はアシュトン子爵だが、王宮の舞踏会に隣国の子爵を招いてよいか迷っていた。ただでさえ、スパイ疑惑をかけられているのに、そんなことをしたら何と言われるかわからない。


 シェリーが黙っていると、父親のカルロスが言った。

「今回は家族だけで参加するか?」

「……そうしますわ、お父様」

 シェリーは舞踏会に来ていくドレスを選び、週末を待った。


 舞踏会の当日はよく晴れていて、月が綺麗に輝いていた。

「さあ、行こうか、シェリー」

「はい、お父様、お母様」

 シェリーたちホワイト一家は馬車に乗り王宮に向かった。

 王宮に着くと、もう人々が大広間に向けて歩いていた。

「たくさんの人が来ていますね、お父様」

「ああ、そうだな」


 シェリーたちも舞踏会の会場である大広間に向かって歩き出した。

 舞踏会の会場では、王に挨拶をしようと貴族たちが列をなしていた。

「さあ、わたしたちも並ぼう」

 しばらくして、王に挨拶をする順番が来た。

「カルロス・ホワイトです。ご無沙汰しております、ロイス・レスト王」

「ああ、久しぶりだな、カルロス」

「こちらは妻のグレイスと娘のシェリーです」

「ご機嫌麗しゅう存じます、ロイス王様」

 母が挨拶をした後、シェリーも続いた。

「お目にかかれて光栄ですわ、ロイス王様」


「お噂は私の耳にも届いております、シェリー様」

「シャラ王女様……!? どんな噂か、心配ですわ」

「ふふっ、もっと悪女めいた方を想像しておりましたわ」

「……!」

 シェリーが顔を赤くしてうつむくと、シャラ王女は付け加えるように言った。


「ごめんなさい、隣国のジル様と懇意だと聞いていたので、からかってみただけですわ」

 シャラ王女はいたずらな笑みをうかべてシェリーに言った。

「ジル様には婚約者がいらっしゃいますよ」

 シェリーが笑顔で答えると、シャラ王女は気まずそうにつぶやいた。

「あら……それは……なんといえばいいのかしら……」


 とまどうシャラ王女にロイス王が声をかけた。

「シャラ王女、後がつかえている。そろそろ次の方に……」

「あら、失礼いたしました、お父様。それではシェリー様、またお会いいたしましょう」

「はい。失礼いたします」

 王たちに挨拶を終えたシェリーは、父と母と一緒に舞踏会の会場に戻った。

「さあ、シェリー。飲み物を取っておいで」

「はい、お父様」


 シェリーは大広間の隅の飲み物が置いてある場所に移動した。

 シェリーが葡萄酒を手に取り、ぼんやりと立っていると声をかけられた。

「シェリー様、お元気ですか?」

「……まあ、ジル様? ということは……」

「今晩は、シェリー様」

 ジルの陰から、メイリーンが現れた。メイリーンはジルの右腕の袖をぎゅっと握っている。

「今晩は、メイリーン様。ジル様のけがはもう大丈夫なのですか?」

「はい、おかげさまで。今夜は婚約者をロイス王に紹介しにきたのです」

「それでは、正式に婚約をしたということですか?」

 シェリーの問いかけに、メイリーンが答えた。

「来月の終わりに結婚式を挙げる予定です!」

 シェリーは持っていた葡萄酒を一気に飲み干してから、ふうと息をついて、笑顔で言った。

「おめでとうございます、ジル様、メイリーン様」

「……ありがとうございます、シェリー様」

 ジルは頬を染めてにっこりと笑った。その笑顔は少し寂しげだった。

「ジル、なにをしているんだい?」

「アシュトン、シェリー様に挨拶をしていたんだ」


「シェリー様……お久しぶりです」

 アシュトン子爵は照れたように微笑んでシェリーに軽く会釈をした。

「アシュトン様、先日はどうも……」

 シェリーも頬を染め、アシュトンに声をかけた。

「あれ? 二人とも何かあったのかい?」

「別に」

「大したことではありませんわ」


 音楽が鳴り始めた。

「さあ踊ろうか、メイリーン」

 ジルとメイリーンは、アシュトンとシェリーにお辞儀をしてからダンスの輪に加わった。

「アシュトン様は踊らないのですか?」

「私は……踊りは苦手でして……。そういうシェリー様は踊らないのですか?」

「一人では踊れませんわ」

 シェリーとアシュトンは広間の壁のそばにたち、料理をつまみながら世間話を始めた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ