22、宴の後で
パーティーから帰宅したシェリーは、自室で物思いにふけっていた。
「私も、ジル様のように戦えたらアルバートに好き勝手言わせないのに……」
シェリーはふと、料理を取って戻ったときのジルの表情を思い出した。
「そういえば、ジル様はあのとき笑っていたけど、とても厳しい目をしていたわね」
アルバートの姿が見えなくなっていたことも少し気になった。
「まあ、考えていても仕方ないですね」
シェリーは気分を変えようと、窓を開けた。
窓から外を見る。
もう真っ暗でいくつもの星が輝いていた。
「あら、雲の無い綺麗な月夜だったのね」
シェリーはこっそり中庭に出て、外の空気をあじわいながら空を見上げた。
「そういえば、ジル様は博識と聞いたことがあるわ。この空に輝く星座にも詳しいのかしら……?」
呟いた後で、シェリーはハッとした。
「……ジル様なんて、興味無かったはずなのに……」
気付けば、今一番近くで笑っていることが多いのはジルだった。
「……よりにもよって、あのジル様に……? そんなことありえない!」
シェリーは一人で首を横に振った。
「きっと、戦いとパーティーの余韻に酔っているのね……。もう部屋に帰りましょう」
自分に言い聞かせるように、シェリーはそっと呟き部屋に戻った。




