ケタケタ女
どうも、初めましての人は初めまして!みかんです。超初心者なので温かい目で見守ってくれると嬉しいです。
今回はホラー系のお話です。楽しんでいただけたら嬉しいです。
暗闇の真ん中に、真っ白なワンピースを着た少女が立っている。
少女はこちらを振り向き、ニコリとほほ笑む。
手元にある本を開き、
「ようこそ。真っ赤な館へ。私の話を聞きに来たのですね?そうでしょう?だってここは物好きな人しかこないのですから。」
少女はクスクスと笑うと。
「では、今回はこの話をしましょうか…。」
「ねえ、知ってる?」
「ん~?」
小学六年生の杉田 美奈子は今、親友の桜井 奈央子とランドセルを背負い、下校中だ。
奈央子、通称なっちは怖い話が好きで、よく都心伝説など怖い話をする。
今日も、美奈子に話をするそうだ。
「笑い女っていう妖怪!」
「なにそれ?」
聞いたことがない名前に、美奈子は首をひねる。
「笑い女っていうのはねえ~。毎月、1日、9日、17日に山に入ると笑い女に会うといわれていて~。不気味に笑っていて、最後は呪い殺されちゃうんだってえ~。」
なっちは自慢げに話す。
「なにそれ?怖~い。」
「もう!みなちゃんったら!本当に出るんだからね!!」
なっちは、ふくれっ面になった。
「あ!」
美奈子は、一つ面白そうなことを思いついた。
「今度の9日に山に入ってその笑い女っての出るかどうか試してみようよ?面白そうじゃない?」
「ごめ~ん。みなちゃん。9日は塾があるんだよね。ごめんね。」
なっちは苦笑いしながら首を横に振った。
「ええ…。」
昔から、自分で話しておいて心霊スポットに行かないとか、よくある。
なんだかいやな気分になった。
(何よ、なっちたら!しょうがないから、ほかの友達を誘うか。)
と、美奈子は次の日学校で友達に予定が開いているか聞いてみた。
「無理。」
「ごめん。無理~。」
「はぁぁぁ…。」
美奈子は下校途中の公園のベンチにドカッと座り、深いため息をついた。
友達はみな、予定があり、一緒に行けなかったのだ。
「最悪。せっかく、山に気分はらしに行ける思ったのにぃ。みんな予定あんのぉ?」
再び大きなため息を美奈子は、吐く。
「も~。一人で行っちゃおっかなぁ?宿題しなくていいし。」
美奈子はニンマリ笑うと
「うん。それにしよう。ゲームとか持ってって。」
美奈子は勢いよく、ベンチから立ち上がると、鼻歌を歌いながら家へと向かっていった。
✩✩✩
そして、9日。美奈子はリュックサックに、ゲームとお菓子を入れると、リビングにいる母親に
「遊びに行くから!行ってきまーす!」
「ちょっと、どこに行くのよ?」
と、言い終わる前に、
バタン!
と、ドアが盛大な音を立てた。美奈子はもう行ってしまったようだ。
「大丈夫かしら?」
母は、不安げな眼差しをドアに向けた。
✩✩✩
「着いた!じゃあ、早速登り始めますか。」
家から歩いて10分、美奈子は山のふもとに着き早速山道を登り始めた。
そこまで高くない山だから、頂上に着くまでは30分程度だろう。
「よいしょ…。…結構大変。」
美奈子は、石を飛び越え、どんどん登っていく。
「はあ…。少し休憩しよう。」
美奈子はリュックサックからお菓子を取り出して、少し食べた。
(ここら辺の近くに川があるんだっけ?ちょっと涼んで行こ)
美奈子はクルリと方向を変え、川のほうへ歩き出した。
小さな小川が見えたときに、小川の反対側に一人の女。
「ん?」
様子がおかしい。こちらを見て、何かブツブツとつぶやいているようだ。
美奈子はその女が気になり、少し見る。
その女は、赤い着物を着ており、気味の悪い笑顔を浮かべて、こちらを指さしながら
「ケタケタケタケタ」
と笑っている。
(うえ~。気味の悪いおばさん。変なのに会っちゃった。)
美奈子は口をへの字に曲げて、タッタと山を駆け足で登る。
(気味悪い。なんだか怖くなってきた。山を下りようかな?)
「ケタケタケタ」
「え…?」
美奈子の駆け足で登った先に、先ほどの着物を着た女が立っていたのだ。
(どういうこと?さっきまで、川の向こう側にいて…こっち側にくるのはこの短い時間じゃ無理なはず…。)
サーッと、血の気が引く。
不気味な笑い。
今日は9日。
これは、なっちが言っていた笑い女ではないのだろうか?
ふいに、なっちの言葉を思い出す。
『最後は呪い殺されちゃうんだってえ~。』
「ヒッ!」
美奈子は一歩下がる。笑い女はケタケタと笑いながら、こちらに近づいてくる。
「いやーー!!」
足を必死に動かし、山道を下りだした。今、笑い女との距離がわからない。怖い。しばらく走り、
ケタケタという笑い声が聞こえなくなり、一度止まり後ろを振り向く。笑い女はいない。
「はあ…はあ…。」
少し落ち着き、肩で息をする。
「あ、あれ…?」
美奈子は周りをキョロキョロ見回す。見渡すと、ここは獣道。見渡しても歩行者用の道が見当たらない。
「ここ…どこ…?」
美奈子道に迷ってしまったのだろうか?どこに向かって、いけばいいかわからない。
「ケタケタケタケタ」
「!?」
美奈子はバッと後ろを振り向く。後ろから笑い女がゆっくり近づいてくる。
(やばい やばい やばい!!どうしよう!?どうしよう!?どうしよう!?)
完全にパニック状態に美奈子はなった。こうしてるうちにも、笑い女は近づいてくる。
(一回町までいければ…!)
笑い女がすぐ真後ろまで来ている。美奈子は走った。獣道をひたすら下った。
「ケタケタケタケタ」
真後ろから、笑い声が聞こえてくる。
後ろを振り向かず必死に走り続けた。
「はあ…はあ…あれって…!?」
ビルの山が見えてきた。最後の力を振り絞り、走る。一度後ろを振り向くが、笑い女は追って来ていない。
「よかった!追って来てない!」
安心して、その場に止まった。
「はあ…よかっ……!?」
後ろから気配を感じる。冷や汗が肌を伝う。もう、後ろを振り向く元気もなかった。
「い…や…誰か…助け…。」
耳元で囁かれる。
「ケタケタケタケタ」
✩✩✩
暗闇の真ん中に、真っ白な、たくさん血の付いたワンピースを着ている少女が立っている。
少女はこちらを振り向き、ニッコリとほほ笑む。
「今回の話はいかがだったでしょうか?最後、美奈子はどうなってしまったのでしょうねえ?
その結末は誰も知りません。」
少女は手元にある本を閉じた。
今回のお話は面白かったでしょうか?
一か月に1投稿を目標としてちまちま投稿していこうと思います。
あと、「君と終わりの世界で」という物語も連載しているので、よかったら見てみてください。