~開・宴~
緞帳が落ちてステージにライトが集まる。
迷彩のカーゴパンツにミリタリーブーツ、そして全員上半身裸のムキムキマッチョマン4人がパフォーマンスをシャウトする。
全員がワセリンを塗り込んでいて、褐色の肌がテカテカ輝いている。
突然の衝撃的光景に美幸が絶句して固まった。
その隣で、香澄と頼光はノリノリで奇声を上げて手を振っている。
激しいビートを刻むリズムに最前列のごついお兄ちゃんたちも大いに盛り上がっているようだ。
『さあ、皆さんもご一緒に! ANIKI! ANIKI・ANIKI! A・NI・KI!』
ボーカルのロドリゲス隼人が拳を振り上げて叫ぶ。
ギターソロの間、ボーカルとベースが並んでポージングをキめて行き、会場の最前列を大いに沸かせる。
「うををををっ! 隼人のアニキー! 宏斗のアニキー! 今日もキレっキレじゃぁぁぁっ!」
『マッチョッ・マッチョッ・ゴ~リマッチョッ!』
会場が、おそらく美幸を除いて、大いに一体となって盛り上がった。
5曲、約20分の大騒ぎでバンド『暮帝美留』が喝采の中暗転した。
再びハウス内が明るくなった。
「す、すごい・・・わね。圧倒されちゃった。」
「イロモノ扱いだけど、演奏はしっかりしてるから聞いてて面白いでしょ?」
引きつった笑いをしている美幸に、大声で騒いで満足の香澄が声を掛ける。
「う、うん。皆本くんも、このバンド好きなの?」
「面白いからね。メンバーはボーカルのロドリゲス隼人さん、ギターのゴンザレス将也さん、ベースのアルバレス宏斗さん、ドラムのドミンゲス明樹良さん。みんな本物のボディービルダーなんだよ。」
「ご、ごんざれす・・・どみんげす・・・」
美幸は何とも言えない表情を浮かべた。
「みんな良い人だよ、親切だし。強面だけど。」
ステージではスタッフたちが楽器の配置換えを行っている。
会場ではごついお兄ちゃんたちが下がって、その最前列に光の(・)棒を装備した動き易い格好の男子たちが集まって来ていた。
「あのひとたちは?」
「ああ、『ろりぽっぷ』のコアなファンの皆さん。佑理ちゃん佑美ちゃん可愛いからね。」
「こら、ギターの楓ちゃん、忘れてるわよ。」
美幸に説明する頼光に、香澄が茶々を入れた。
暗転した会場にギターをスマッシュする音が響く。
2小節、ギターとドラムのビートが空気を震わせて、グラム調の複雑なベースコードと共にステージを隠すように吊られている緞帳が落ちた。
ライトが一斉にステージに集まる。
佑理・佑美姉妹が元気にぴょんぴょんとリズムをとって跳ねる。
会場の最前列の男子たちから歓声が上がり、一糸乱れぬ光の乱舞がスタートした。
ベースの篠崎正臣こと通称オミは、両手に白い手袋をして楽しそうにフィンガーストロークで弦をかき鳴らしている。
サラサラのボブヘアがライトに輝き、揺れている。
会場から女の子の黄色い声援が飛ぶのが聞こえ、そちらの方に正臣はウインクを投げた。
歓喜に泣き叫ぶ女の子に美幸が視線を向けた時、ギターのソロパートを弾きながらエンジ色のキャミソールドレスにレザー調のロングベスト、黒のロンググローブに太ももの半ばまで届くロングブーツでキメた女の子がステージ中央に躍り出た。
両脇から佑理佑美姉妹がその女の子、北原楓を見上げて微笑む。
サイドテールに長い髪をまとめた楓は頭に乗せたミニハットの白リボンをひらひらと揺らしながら、プロ顔負けの速弾きでギターをかき鳴らす。
ソロパートが終わり再びツインボーカルが歌い出し、健明が優雅にヴァイオリンを奏でる。
祐輔はパーカッションをスチールドラム音に切り替えて軽やかなビートを刻む。
キーボードの杏子は歌を口ずさみ、ステップを踏みながら鍵盤を叩く。
和樹のバイザーがライトに輝き、額に汗をかきながら体全体でリズムを刻む様子を杏子がチラチラと見ていた。
『ろりぽっぷ&WHAT`S THE MATTR?』のステージを終え、その後に始まった女の子デュオのアコースティックライブが、さっきまでのハイな感じからしっとりとした雰囲気に持って行く。
美幸も、聞かせる音楽にほっと一息ついた。
その10分ほどのステージが終わり、ハウス内が明るくなる。
通用口から佑理佑美姉妹と楓が姿を現すと、ヲタ芸を踊っていた集団がわっと取り囲んで撮影会が始まった。
数分騒いだ後、和樹と暮帝美留のメンバーたちが集団を追い散らして頼光たちの席へとやって来た。
「今回も護衛ありがとうございます。」
和樹がロドリゲス隼人に笑顔で話しかける。
「なになに。ファンは大切にするべきだが、度を越えた輩はちゃんとシメておかんとな。後々、妄想と現実の区別がつかないヤツが出て来かねん。」
ステージの衣装にタンクトップをプラスしたメンバーたちも良い笑顔でうんうんと頷いている。
遅れて、健明や正臣といった『WHAT`S THE MATTR?』のメンバーが集まって来た。
「おつかれー。みんな、今回も良かったよ。」
クセっ毛頭にカラーエクステを飾った、タンクトップ姿の祐輔が席に就いて嬉しそうに頼光に視線を投げた。
「サンキュ、ライコウ。楽しんでくれたかい? あ、そうだ。次の和装バンドの『まほろば』のみんなから、ライコウの横笛、今度また一緒にやらないかってさ。」
祐輔が身を乗り出して話す中、健明が頼光の隣に座ってチラリと美幸の方を見る。
美幸は期待した目で頼光を見つめた。
「ああ・・・お誘いは嬉しいけど、バイトの上に道場にも復帰したから時間の工面が難しいよ。」
頼光は済まなそうに頭を掻き、美幸はちょっと残念そうな顔をした。
「そうか、そいつは残念。ライコウが出るんならまた有松さんを誘う口実にもなったんだけどな。」
「なんだ、目的はソレか。」
頼光が肩をすくめる中、香澄の隣に楓がやって来た。
右脚を、少しびっこを引く感じでひょこひょこと歩いている。
「香澄さん、久しぶり。遅れて何なんだけど、高校合格おめでとうです。」
「ありがとう。楓ちゃんは今年受験生だね。調子はどう?」
「ああん。ここではそう言うコトから離れたいよぉ。」
楓は少しむくれて、右脚をかばうように腰を下ろした。
「初めまして美人のお姉さん。香澄さんのお友達ですか?」
楓が香澄越しに覗く。
「うん。同じ高校の有松美幸って言います。よろしく。」
「私は北原楓。美幸さんも楽しんでくれた?」
「うん。楓・・・ちゃん、すっごいギター上手いんだね。びっくりしちゃった。」
「えへへ。ありがと。ギター好きなんだ。」
楓は左脚だけで床を蹴って、美幸の方に向いて微笑んだ。
「楓ちゃんのギターは逸品なんだ。ツインギターで同じ舞台に立つ度胸は俺には無いね。」
健明がテーブルの天板に肘を突いてニンマリと笑った。
「へぇ、健明に言わせるなんて相当な腕だね。すごい。」
頼光が感心して楓を見る。
「そんなぁ、そんなに褒めても何も出せませんよぉ。」
言葉とは裏腹に、嬉しそうに楓が両手をひらひらとさせた。
「あの、さっきから右脚かばってるみたいだけど、捻ったの? 大丈夫?」
美幸が楓の方を覗き込んだ。
「あ・・・だ、大丈夫ですよ。この動き、クセみたいなもんですから。」
少し口ごもりながら楓がチラリと視線を落として、ロングブーツの右脚をカツリと鳴らした。
「あ、そうだ。妹の幸蘭からライブハウスの写真撮って来てって言われてたの。撮影良いかしら?」
美幸がテーブルのみんなを見回した。
全員が快諾して、撮影用に一同が集まる。
和樹がホールスタッフに声を掛けて数枚の写真を撮ってもらった。
「じゃあさ、その写真、俺のスマホに送って。俺から全員に転送するから。あ、ライコウのガラケーにはキャパオーバーだから、先に言っておくぞ。」
健明がスマートフォンをかざして頼光を見た。
「あら、健明。いつの間にナンパしたの? 彼女持ちのクセにやぁね~。」
正臣はサラサラヘアをふぁさっと掻き上げて、左目に泣きボクロのあるタレ目を細めてニヤリとした。
「そんなつもりじゃないって。純粋に友人としてのコミュニケーションだよ。第一、そんなこと言うヤツに写真送ってやんないぞ。」
「ああん、やだぁ。欲しい欲しい。ちょうだい?」
オネェな正臣にもだいぶ慣れてきた美幸はクスクス笑って、チラリと頼光の方を見た。
(皆本くんも楽しそう)
その様子をニヤニヤして見る楓と目が合って、ちょっと咳払いして視線を落とした。
「有松さんて妹さんいるんだ?」
ステージメイクのままの杏子が注文したアイスティーを受け取ってグラス越しに美幸を見る。
「うん。小六なの。」
「小学生か。それじゃココには入れないわね。ね、和樹さん?」
杏子がポニーテールを揺らして斜め向かいの和樹に声を掛け、和樹はアイスコーヒーのストローを咥えたまま杏子の方に顔を向けた。
「ん? そうだな。お酒類は出さない場所だけど、夜間外出を助長することに繋がるからな。教育委員会から睨まれたら営業が難しくなっちまうよな。」
「でも私、小六でステージに立ってたよ?」
「楓ちゃんは俺とタチバナのおやっさんが保護者してるから良いんだよ。感謝しな。」
「は~い。」
楓と和樹が仲良さそうに話してる様子を杏子が少し羨ましそうに眺めた。
「ジンジャーエールのお客様―。」
ホールスタッフがテーブルの脇に来てトレーを掲げた。
「あ、はい。私。」
楓が受け取り、そのまま美味しそうに口をつける。
「杏子、杏子。」
「何? 香澄。」
小声で手招きする香澄に杏子が身を乗り出す。
「今日も和樹さんかっこいいわね?」
「ふぅっ!」
耳元で囁かれた杏子が真っ赤になって固まった。
「なっなによ。こんな所でっ。」
「へへ~。いつもライコウの事でからかわれてるから、仕返し~。」
小声で抗議する杏子に、香澄はニヤニヤとやらしい目を向けた。
「ん? なになに、楽しそう。何の話?」
楓が手に持ったグラスをテーブルに置いて覗き込む。
置き方が悪かったのか、グラスは落ちて床に砕け散った。
ガラスの破壊音で周囲の視線が集まる。
その途端、さっきまで元気だった楓が両こめかみを押さえて体を屈めた。
「あぁぁぁぁ・・・ごっ、ごめんなさいっ! ごめんなさいごめんなさいごめんなさいぃぃぃ。わざとじゃないのぉぉぉごめんなさいぃぃぃぃぃ・・・」
眉間に深いシワを刻んで苦しそうに声を絞り出している。
和樹が駆け寄り肩を抱きかかえた。
「大丈夫、大丈夫。楓ちゃんは悪くないから。だれも怒ったりしないから。落ち着こう、な?」
顔をしかめたまま楓は小刻みに頷き、ぶるぶると震えている。
「みんな。悪いけど俺らはここで帰らせてもらうよ。今日はありがと。また連絡するから。」
和樹は楓をそっと立たせると身長差のある楓の肩を、身を屈ませて支えながら通用口の方へと消えて行った。
「どうしちゃったの?」
美幸が心配そうにその後ろ姿を目で追った。
「あ・・・うん。ちょっと、ね。」
珍しく佑理・佑美姉妹がしんみりとした。
午後8時前、健明たちは楽屋で片付けがあるので別行動となり、頼光、香澄、美幸はライブハウスを後にした。
「楽しかった。こういう所来られるなんて、去年の私じゃ考えられない。」
ゴキゲンで美幸は隣を歩く二人を見た。
「気に入ってもらって良かった。また機会があったら来ようよ。」
頼光は美幸に笑いかけた。
「うん。ぜひ。」
(どうせなら皆本くんとふたりで。)
「あ、美幸ちゃん。今、妙なコト考えたでしょ。」
香澄が二人の間に割り込んだ。
「うっ、ううん。何の事?」
「ふ~ん?」
ほのぼのな感じで小道を歩き出すと、救急車とパトカーのサイレンが、けたたましく通り過ぎ、さほど行かない辺りで音が止まった。
「何だ? 高島駅の方?」
頼光が音を追って振り返る。
「見に行ってみる? ここから近いし。」
やじ馬な三人は鴻池駅に向かっていた踵を返して、小道を道なりに進んで行った。
十字路に出て周囲を見回す。
右手側には、こぢんまりとした高島駅が照明に照らされている。
左手側にチカチカと光る赤色灯が建物の壁面に乱反射しているので、そちらの方に向かう。
緑色のコンビニの看板の辺りに、防刃ベストを着込んだ警察官が赤いパイロンを設置して、黄色い規制線を張っている。
救急車の中で人影が動き、丁度後部ハッチが閉められるところだった。
近所の人もわらわらと顔を覗かせていた。
「ああ、君達。ちょっと検分に入るから、悪いが買い物は大回りして・・・おや、見覚えがある顔だと思えば神社の?」
その警官は頼光の顔を覗き込んだ。
「あ、あの時のお巡りさん。」
「お知り合い?」
不思議そうな顔をする美幸に香澄がニヤニヤしながら答えた。
「ああ、美幸ちゃん。菖蒲祭の時に言ったヤツだよ。取り押さえたコンビニ強盗に、あつあつのおでん汁掛けて勝手にお仕置きしてた時、駆け付けてくれた警察の人。」
「あ、香澄~。」
頼光がちょっと顔をしかめた。
「まったくだ。犯人の顔写真が、フルフェイス形の赤いシャム猫みたいになっていて後で撮り直したんだぞ。」
「その節はど~も・・・」
頼光は所在なさげに頭を下げた。
「で、何があったんです? また強盗?」
「そんなにしょっちゅう強盗があったら嫌だな。ここの駐車場で三人の男の子が倒れていると連絡があってね。さっき救急車に搬入したんだが、近くから妙なモノが見つかってね。捜査四課に協力を要請した所なんだ。だからこの規制線から入っちゃいかん。」
警官の視線の先を追ってみると、アスファルトにタバコの吸い殻のような紙巻が転がっていた。
頼光たち三人はお互い顔を見合わせて、美幸を見送りに高島駅の方に踵を返した。
「わざわざ家まで送ってくれてありがとう。」
自宅の門の前で、美幸は頼光と香澄に向き直った。
「気にしないで良いよ。もう真っ暗だし、住宅街とはいっても人通りが少ないんだから。」
「そうそう。私も美幸ちゃんの住んでるトコに興味あったし。それにまたナンパされちゃ厄介だし。ね、『そこの3人のキレイなお姉さんたち』って。」
香澄はニヤニヤして頼光に視線を向けた。
「・・・まったく、月に一度は女子に間違いやがる。」
「まあまあ。一概に相手ばっかりが悪いとは言い切れないんだから。」
「慰めになってないよ?」
腕組みしている頼光と香澄の漫才を眺めながら、美幸はインターホンを押した。
『はい。』
「あ、お母さん。今帰りました。お友達に送ってもらったの。」
少しして玄関が開き、中から美幸によく似た女性が顔を覗かせた。
「お帰りなさい。わざわざ送っていただいてありがとうね。あら。皆本くんだったわね。お久しぶり。」
「お久しぶりです。こっちは友人の香澄です。」
「はじめまして吉田香澄です。美幸ちゃんのお姉さんですか?」
「あら。良い娘ね。上がってお茶して行く?」
「ちょっと、お母さん。はしゃぎ過ぎ。」
しばらくの雑談の後、頼光と香澄を見送った美幸は家の中に上がり、リビングに繋がる廊下を進む。
「美幸にいろんなお友達が出来て、母さん嬉しいわ。明芳に行けて良かった。」
「うん。中学の時より、自分でも外交的になってきてる感じがするの。今日もライブハウスでいろいろな人と出会えたの。そうそう、幸蘭からライブハウスの写真頼まれてたんだ。今、リビング?」
「ううん。ごはん食べたら、『お風呂前にちょっと運動する』って部屋に戻ったの。あれで、なんか太ったとか言ってたわ。小学生はそんなコト気にしなくても良いっては言ったんだけどね。」
美幸の母は階段の方をチラリと見た。
「食べないダイエットより運動の方が健康に良いもの。その辺はちゃんと解ってるのね、偉いわ。」
美幸は自分の荷物を置きに自室へと階段を上って行った。
本日のおめかし衣装のまま、自分のスマートフォンを片手に妹の部屋に向かう。
部屋の引き戸の前に立って声を掛けようとした時、少し開いた戸の隙間から声が漏れ聞こえて来た。
「・・・うん、はっ、はっ、う、ううぅん。・・・・はぁはぁ・・・。ふぅ、こんな格好でしたのは初めて・・・。じゃ、次はこっちで・・・と。」
(え? 幸蘭、なにやってんの? あ、運動って・・・そういうコト? 今声掛けちゃマズいヤツよね・・・)
顔を赤くした美幸は着替えに自室に戻った。
「おねぇちゃん。おかえり~。今、良い?」
しばらくして自室の扉の方からかわいらしい声がした。
「あ、はいっ。大丈夫だよ。」
美幸はイスをクルリと回転させて引き戸の方に向いた。
引き戸が開いて、セミロングヘアの女の子が顔を覗かせた。
ぱっちりとしたタレ目気味の目が懐っこく微笑む。
上気した頬が赤く色づき、額に少し汗が浮いていた。
「さっき下に降りたら、お母さんからお姉ちゃん帰って来たって聞いたから。帰って来てたのなら声掛けてくれれば良かったのに。ライブハウス楽しかった?」
「あ、うん。なんかお取込み中みたいだったから悪いかなって・・・あ。」
(あ、ここは気付かないフリするべきだったかな。)
美幸は咄嗟に口を押えた。
「うん? 別に大したことしてなかったから入って来ても良かったのに?」
幸蘭はとてとてと部屋に入って来て、美幸のベッドに腰を下ろした。
「え? 見られちゃ嫌でしょ?」
「そうなの? お姉ちゃんは見られたくないの?」
「ふ、普通そうじゃない?」
「そう? 結構グラウンドとかでやってる人いるよ。お姉ちゃんもスポーツする人だからオープンだと思ってたよ。」
「えぇ、何の偏見? ていうかグラウンドでやってるの?」
「そうだよ。さっきもスマホで動画見ながらやってたんだけどね。」
「何ぶっちゃけてんの?」
「マネしながらやってみたんだけど結構キツいね。」
「そ、そりゃあ、そうかも。ゆ、幸蘭はよくシてるの?」
「よくって程じゃないよ。最近興味が湧いてさ。お姉ちゃんはたくさん出来るんでしょ?」
「いや、そんなには・・・」
美幸は赤くなって口ごもった。
「私、さっき10回ぐらいでダウンしちゃった。」
「じゅ、10回も? 結構タフなのね。」
「え? アスリートとかは平気で50回とか言うよね。」
「そ、そんなに? 頭、痛くならないのかな。」
「頭なの? 腹筋じゃなくて?」
「・・・・・・あ! それって筋トレ?」
「うん? そうだよ。何だと思ってたの?」
子犬のような無邪気な瞳で幸蘭は美幸を見つめる。
「いやぁ・・・あはは・・・と、そうだ。ライブハウスの写真、見る?」
「うん、見たい見たい♪」
妙な汗をかいた美幸は、スマートフォンを持って幸蘭とベッドに腰掛けた。