STEP1-4 とある三組の会話@唯聖殿~Sweet, Sweet, and Little Bitter~
2019/05/04
この「部分」初出の要ルビ名(人名・地名など)にルビを追加いたしました。
「と、そういうわけなのよ」
「そうですか。
いつもすみませんゆきさん。奈々緒を、気にかけていただいて」
「あら、いいのよ。
わたしにとっても、弟みたく思えている子だもの」
「それって……」
「陸星さん。
……そろそろ、わたしのことも呼び捨てにしてくださらない?」
* * * * *
「はぁっ。いきてーなー俺もイメイ宮探索……」
「イザークさま?」
「わかってる、わかってるって、ティア。
……俺たちゃイメイとは縁もゆかりもねえ。
どころか、アユーラの王女たちをイメイに追いやったのは、俺らのご先祖さまだかんな。
いくらサキやエリカたちがいいって言ってくれたって、どのツラ下げてってヤツだ」
「サキさまたちに、聞かせていただきましょう。冒険のおはなし。
そのためにも、いまはわたしたちの準備を。――ね、“あなた”」
* * * * *
「この服いかがかしら、誠人さん?
大人っぽく、みえまして?」
「ええ。とても素敵ですよ、遥儚さん」
「よかったですわ。
……ごめんなさいね、誠人さん。
遥希はむくれているし、両親と兄さんは涙ぐんでしまわれるし。
これで輿入れがきまったりしたら、どうなってしまうのかしら。
いまからわたし、心配ですわ」
「輿入れ……」
「今度の話。ご存知でしょう?
雪舞砂漠を“失った”朱鳥として、とるべきみちは……」
「……遥儚さん」
「あの子をユキマイにやるのは心配ですもの。
毎日サキさまのしっぽを追っかけて、奥様となった方を泣かせるに違いありませんわ」
「はあ……」
「あの子の優しさを引き出せるような、よい方を見つけてあげるにも、いい機会ですもの。
姉として、がんばらなければ、ですわ」
「そ……そうですねっ。
あっ、もしかしたら朱鳥のチームの中に、そうした女性がいるかもしれませんからねっ!
そうしたらご実家にも近いし、遥儚さんも……」
「?」
「あ、その、いえ……
えっと、……その。
遺跡探索も、ありますので……その、がんばって……ください。
俺でよければ……いくらでも。ご相談に、乗れますので……」
「はい、そうさせていただきますわ。
……誠人さんはやっぱり、頼りになるお方ですわ。
あなたのような方が兄さんのご学友で、本当によかった」
「……はい」