STEP5-0 ミーナと読む『アユーラのほし・エリカひめのおはなし』~4.島をおわれたエリカひめ~
ついに、エリカひめたちとハルードさまは、島から追い出されてしまいます……
ここから、エリカひめの波乱のドラマが始まるのです!
あっ、ハルードさまはこのあとしばらく出てきませんけど、忘れないでくださいね。
この方、とーっても、重要な方なんです。
それでは、はじめましょう♪
* * * * *
いまや、西ノ島の王さまとなったシャールは、笑っていいます。
とはいえ、この大きな土地を、一人でたがやすのもむずかしい。
みんな、私のしもべになりなさい。
そうして、私のめいれいで、この土地をたがやすのだ。
そうすれば、森もやかないですむ。
それがいやなら、出ていけ。ここは私の土地だ、と。
じょうだんじゃない! 怒って立ち向かったひともいました。
さいしょに島にやってきたわかものも、その一人です。
けれど、みんな、まけてしまいました。
西ノ島の人たちには、ふしぎな力がありました。
つよい風を吹かせたり、手から火を出すこともできます。
けれど、みんながそうではなかったのです。
いっぽう、黒い船にのってきた兵隊さんたち――いまや、シャールの手先としてはたらかされる者たちは、ちがいます。
よく訓練された兵隊さん、かたくてじょうぶな鉄のぶき、いなずまのように走る馬。
それらがそろってかかってくれば、ひとたまりもありません。
シャールに戦いをいどんだ人たち、せっとくしようとしたひとたち。
みんなみんな、西ノ島をおいだされてしまいました。
それは、ハルードさまや、島の長たち。そしてその家族たちもみんな。
まだちいさなエリカひめさえ、例外ではありませんでした。
ハルードさまはくやしさをこらえつつ、船でお国にもどっていきました。
シャールのおこないは、決まりにはかなったことといえ、人の道にはもとること。
わたしの国のもののしたことを、心よりおわび致します。
かくなるうえは、わたしは国にもどり、このことを王さまにご報告します。
そしてきっと、王さまのご慈悲をいただいてもどってきます。
それまで、辛いでしょうが、たえしのんでください。
そう、長たちに言いのこして。
長たちも、ハルードさまの手をとってなみだをながします。
あなたさまはちっとも悪くなんかない。
けれど、いまはあなたさまをお頼みするよりほかにない。
我らが友よ、きっと、きっと、ごぶじに戻ってきてください。
私たちはべつの土地で力をたくわえ、あなたさまをお待ちいたします。
そうして、小さな船にのり、西ノ島をでたのです。
東へ、西へ。つらく、かなしいたびだちでした。
海をこえ、東の島にわたったエリカひめたちは、たびの賢者さまと出会いました。
賢者さまは、おどろくべきことを教えてくれました。
この大きな島の北がわに、シャールに立ち向かうための『力』があるというのです!
エリカひめたちの一行は、北へ、北へと向かいます。
たどりついたさきは、みわたすかぎり山と草原ばかりの、寒く、まずしい土地でした。
けれどそこには、あったのです。
馬と鉄。
西ノ島のひとたちをうちまかした『力』です。
事情をきいた草原のくにのひとたちも、たくさん味方になってくれました。
そこでみんなで、手分けして戦いのじゅんびをはじめました。
動物となかよくなれる人たちは、野生の馬たちをかいならして育てます。
植物をそだてるのがうまい人は、おいもや麦を作ります。
おいもや麦からは、おとなたちが大好きなお酒や、こどもたちもだいすきなおかしもできました。
力じまんの人たちは、山から鉄をほり出します。
てさきの器用な人が、鉄のぶきやよろいかぶと、ときには道具を作ります。
商売のうまい人が、道具やお酒、ときには馬を売って、おかねや食べ物を手に入れます。
話のうまい人たちは、島中をめぐって、仲間を集めます。
勉強がとくいな人は、いろんな人に習いにいって、シャールに勝つための方法を考えます。
そしてエリカひめたち、こどもやわかものたちはというと、毎日きびしい修行や、むずかしい勉強をいっしょうけんめいにしました。
『にっくきシャールの手から、西ノ島をとりもどす』
日夜、そうくりかえしながら、くる日もくる日もはげんだのです。




