STEP4-0 ミーナと読む『アユーラのほし・エリカひめのおはなし』~3.赤髪のシャールのわるだくみ(2)~
さて、つぎに出てくるのが、砂漠の貴公子ハルードさま!
優しくって、賢くって、とってもかっこいいんです!
今回はシャールが一枚上手で、ハルードさまもだまされてしまうんですけれど、……
うーん、語りだすととまらなくなっちゃう!
まずはつづきといきましょう♪
* * * * *
さばくの国でさばき手さまといえば、王さまにつぐえらい人です。
そのため、たくさんのおともの人をつれて、西ノ島にやってきました。
みたこともないような大きな、大きな黒い船に、島のひとたちは大さわぎになりました。
けれど、さばき手さまがおりてこられたとき、みんなはもっとおどろきました。
銀色のかんむりをひたいにつけ、ごうかな服をきて、うつくしいお顔をしたさばき手さま。
ハルードさまという名のわかぎみさまは、大きな白い馬にのっていました。
じつは、それまで西ノ島には、馬がいませんでした。
畑をたがやしたり、にもつを運ぶときにたよりになるのは、牛だけです。
そのため、島のひとびとはとてもおどろいたのです。
おどろきはそれだけではありません。
ハルードさまのまわりには、きらきらとしたよろいやかぶと、やりや剣をもった兵隊さんたちがずらっととりまいています。
しかも、兵隊さんたちも馬にのっているのです。
なんて、りっぱなのだろう。この方はもしかして、神さまなのではないか。
島のひとびとは大いにおどろき、そうしながらも、ハルードさまたちを手あつくもてなしたのです。
ハルードさまは、やさしくてりっぱなお方でした。
双方の話を、ゆっくりと慎重にきいてくれました。
そうして、きちんとした決まりに基づいて、ちゃんとした判決をくだしてくれたのです。
わたしの国では、その決まりでは、あたらしくひらいた土地はその人のものになる。
王さまに申しでて、めいぼに名前をかいてもらって。
そうして毎年きまったお金をはらえば、王さまにその土地を守ってもらえる。
その土地は、自分のものだよといって、他の人に取られないですむようにしてもらえる。
けれど、ここはそもそも国ではない。
そのため、まずは私たちの国の仲間にお入りなさい。
そうして、王さまに届け出をして、守ってもらうようにするのです。
この土地は豊かな土地です、王さまにお代をはらっても、今までどおりの暮らしはできますから。
森が島の皆のものというのであれば、代表である長のものとして届け出ればよろしいでしょう。
さあ、皆さんいらしてください。
わたしが王さまの代理として、受けつけをしましょう。
そのとき、シャールは飛びだしました。
ハルードさまの手に、すっかりと書きあがった申出書を、むりやりわたしてしまいます。
そうして高らかに言ったのです。
ハルード様、私の申出書はすでに出来上がっております。西ノ島すべては私のひらいたもの、そう記してあります。どうぞ、王の代理として、おおさめ下さいと。
島のみんなはあっとおどろきました。
ハルードさまもあぜんとしています。
けれど、国のきまりにしたがうさばき手が、それに反することはできません。
それは、さばき手といっしょにやってきた、兵隊さんたちにしてもそうです。
なんと、シャールのわるだくみによって、西ノ島はすべて、シャールのものになってしまったのでした。




