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今日から学校と仕事、始まります。②莞

パパのサービスは大変

作者: 孤独

ブロロロロロロ



「うーっ……」


朝は早い。そして、気を遣う。

子供が2人寝ている間に、妻が朝食と3人の弁当作り。自分は着替えに髭剃り、シャワー。情報番組を10分流しながら、朝食をとりつつ妻の愚痴と子供の成長を聞く。

だいたいこれらを40分。それも静かにだ。

自宅の車が出て行くことで、子供はパパが仕事に向かったと知って、起きるという。


いつもちょっと早い。これが5時前の出来事である。



◇         ◇



「社蓄だなー」

「お互い様でしょーに」


そんな日々が地獄と思える者、天国と思える者。それぞれである。

堂々と勤務時間前から仕事をこなす人達はいるものである。1人はその仕事のため、1人は仕事の帰りを待っている家族のためだ。



「サービス残業好きだね。さねさんよ。勤務開始、2時間前でしょ?」


今日は後者の、家族のために仕事をする人のお話である。


「山口くんこそなんでだい?」

「俺はトラブルが嫌いだからだよ。仕事終われば帰る。今日、忙しいのは分かってるしな」


ブラック企業とは色々あるけれど、そこで働く人達の考えも色々ある。

家族を持てば、早々転職なんて事を口にはできない。いや、安定がなければそれは十分あり得ることだし、実家を交えたものであれば仕方ない事もある。

一方で、その事を分かっていながら働く者もいる。この仕事は職人気質の強い仕事で、拘束される時間はその人の力量に全て掛かっている。

長く働く事が美徳と思われた古き時代はもう終わってしまった。

今は実力こそが全てであり、その実力について中身を問われるものじゃなくなった。何やろうが関係なし。仕事ができ、本人に納得ができればだ。


「家族がいると大変なんだよ。特に子供がいればね。同棲してる彼女がいるんでしょ」

「余計なお世話だなぁ、実さん」


勤務時間を守る事は大切であるが、それを守って、適切な業務をこなすというのは難しい。時代の進歩と共に業務内容は濃くなっていき、まったく関係のない仕事もする。

嫌という言葉を遣うが。こっちは帰宅したい人がいる。早く来てるのに、早く帰りたい。そーいう気持ち、義務とされる学校じゃ分からない事だろう。



「あーもぅ!こんな量の仕事できるかーー!」

「ちょっとは改善してくれよーー!」

「このブラック企業がーー!」


デカイ声を挙げる者達の中で、すーっと。あるいは、さーっと。黙って横切って、自分の任されている業務をこなしにいく人達がいる。


「希望があれば、6時から仕事をしないか?」

「みんな寝てるぜ」


時間前着手を行なう人達は、早期勤務時間を希望する。まぁ、そーいう事を前程としている人は少ないために会社は却下が当然である。

通勤が車の実さんはカンケーないが、ラッシュの時間帯に巻き込まれた事を堂々と毎日報告しながら、帰宅時間は終電間近というのはいかがなものかと、実さんタイプは思っている。


「実さんは仕事が早い。腕が良いんだから、そこまで早く来なくていいだろ」


やりようによってはもうちょっと、ゆっくり来る事もできるだろうに。それでもサービス残業をしていること。ブラック企業だなんて言ってはいるが、真面目にこの企業に貢献している。転職してもこのタイプは上手くいけると思う。まぁ、仕事が上手くこなしているから転職する理由もないといえばないか。

人それぞれだから。


「家族を持てば分かるって。時間前使ってでも、会社の定時で仕事を終わらせて、その足で買い物に行って、学校から帰ってきた子供と会って、家族みんなでゆっくりと食事をする。この生活くらい支えてやらなきゃ、パパなんかできないよ」

「……………」

「子供がまだ嫌がってない時期はな。そーしたいんだ。できるパパでありたいんだ」


独身の人達には分からない。

けれど、1つだけ羨ましいのが分かる。そんなサービス残業をしてても、嬉しく得られるもの。


「良い家庭だな。そーやって辛い仕事と向き合える理由は」

「パパのサービスは大変なんですよ~~。ま、家ではそんな事言わないけど」


会社から見られる眼よりも、身近な家族からの眼を気にする実さんだった。





通勤が辛いなら近くに引っ越せばとか、以前に言った事があります。

それでも家族がいるのと、奥さんの実家の近くだから、自分の仕事(ブラック企業)のために引っ越すのは無理だろ。って言っていました。ブラック企業のために家族全員を巻き込まないのも、父親の役目なのかなと。


大変だなって思います。

家族を持っている方々はホントに凄いですよ。

仕事のやる気とか効率の良い業務とかが、独身や実家暮らしとかと違いますよ。こーいう人の方が、よっぽど企業に貢献しているのが面白いんですよね。


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