桃華乱舞 2
おじいさんに拾われた少女、トウカ(仮)は事故の影響からか記憶喪失になったのでした。記憶が戻ることなく数年がたったある日のこと
『おじいさま、今日も行ってきますね』
『桃華や、気をつけてな』
年のせいか動きの悪くなったおじいさんにかわり、最近では桃華が竹林に行き竹を切り出す仕事をしてました。そして記憶が戻らないか、自分が乗っていたという謎の物体へと行き家に帰る生活をしていました
いつものように竹を切り出し終わった桃華は、謎の物体の中でおばあさんの作ってくれたお弁当を食べてました
『私は、ココにいたんだよね』
中にいても今日も思い出せない桃華は、お弁当も食べ終わったので帰ることにしました
『連絡ないと思ったら、こんなことになってるとはな………』
『………!?』
外に出ようとした時に、誰かの声が聞こえました。桃華が外に出ても辺りには誰もいません
『鳥さん、さっきココに誰かいなかった?』
『誰かっていうか、犬ならいたよ。白い犬が………あっちの方に行ったよ』
『鳥さん、ありがとう』
桃華は当たり前のように鳥と会話すると、犬が移動した方へとかけて行きます
普段から独りで竹の切り出しをしていた桃華は、動物と会話できる能力が普通だと思っていました。おじいさんの前で動物達と会話することもなかったので、桃華の能力を知る人もいません
『ん?』
後ろの方から何かが近づいて来てる音がして、振り返ったところに茂みから桃華が出てきました
『………(これが、犬なの?)』
茂みを抜けた先に白い動物を見つけました、鳥さんのいっていた犬なのか、はじめて犬を見た桃華にはわからなくて固まりました。
『わん(なんだ、この子?どことなく“トウ”様に似ているが………気配が違うな)』
『トウ様って誰?』
『わん(嬢ちゃん、言葉がわかるの?)』
『わかるよ』
『トウ様はうちらの主なんだ、“都”が鬼に襲われてな………“マリ”様のところに逃がす為に脱出させたんだ』
『鬼………?』
『今“都”では鬼が暴れまわってるんだ“セイメイ”様が頑張ってはいるんだが状況は良くない』
『そう………なんだ』
『脱出させた“トウ”様から連絡がないから、こうしてきたんだが脱出船はそこにあったんだけど、壊れて連絡は出来ないし“トウ”様も見つからないし………』
犬の見た方向には謎の物体があります
『脱出船って、アレの事かな?』
早くなる鼓動を感じながら、桃華は謎の物体を指さして犬にたずねます
『そうそう、アレだよ』
『!?………私は、アレの中にいたみたいだよ』
『なんだって!!、“トウ”様なんですか?………でも気配が』
『頭ぶつけたせいか、記憶がないんだ』
『そうだったんですか………では“トウ”さ『私は桃華だよ』ま』
『拾ってくれたおじいさまが、つけてくれたの』
『………“トウカ”様、私とマリ様のところに行って“都”の鬼をなんとかしてください』
『あなた名前は?』
『すみません、私はハチです』
『じゃあハチ、私で役にたつかわからないけど一緒に行こうか』
『ありがとうございます、“トウカ”様』
『それと、記憶を思い出すまでは私は桃華だから。様は要らないよ、ただの桃華ね』
『わかりまし………わかったよ、よろしくトウカ』
桃華は切り出した竹を担ぐとこれからの事を話す為に家に帰るのでした




