桃華乱舞 13
あけましておめでとうございます
猿鬼さんの罠にかかり、春鬼と戦うことになった桃華。絶体絶命のピンチにおばあさんから渡された箱を開けると………
箱の中にはおにぎりがありました、桃華は桃色のおにぎりをひとつ手に取ると、おにぎりを食べます。おにぎりを食べると、桃華の桃気が増大して周囲に荒れ狂います。
『なんだ!?』
『いけない、猿達、距離をとりなさい』
春鬼は桃華の変化に戸惑い、猿鬼さんは警戒して猿達の包囲を拡げて距離を取ります
『春鬼、覚悟』
素早さ、力が今までとは段違いになった桃華は、春鬼を圧倒します。防戦に追い込まれた春鬼も粘ったのですが、やがて角を切り飛ばされました。
『猿鬼さんは、どうしますか?』
ひといきつくと、桃華は猿鬼さんへと向き直ります
『共存派ではなくなったけど、私は鬼派でもないから中立よ』
『そうですか』
『それに、もう一回だけ………桃華ちゃんにかけてもいいかなって思うわ』
『?』
『こちらのことよ』
猿鬼さんは猿達の包囲を解き、移動をはじめました。
猿達を連れて常夏村の広場までやってくると、猿鬼さんが猿達に向かい印を結んでいきます。何回か繰り返すと猿達が倒れました、猿達の身体が光ると大きくなり人間になります。
『どうゆうこと?』
『猿達は常夏村の人達よ、私を裏切ったから猿に変えていたのだけれど』
次々と人の姿に戻る猿達の中に、倒れず、光らずのテッタがいるのをみつけました
『テッタは?』
『テッタはもともと猿よ、私が人から猿に変えたわけではないもの』
完全に猿から人へとの変身が終わるのを待って、猿鬼さんは、広場を離れました。
『猿鬼さん?』
『村人が目を覚ます前に私は行くわね、猿になっていた間の事は覚えてないから………桃華ちゃんの方から上手く言っておいてね』
猿鬼さんはさっさと常夏村を出ていきます。
春鬼の手下を追い払ったハチが戻ってきた頃に、ちょうど村人達が目を覚ましました。桃華達が春鬼達を追い払ったから安心してと言うと、常夏村の人は桃華を取り込もうとします。
村人の熱烈な歓迎をやんわりと断って桃華達は常夏村を後にします。
『猿鬼さん、裏切られたって言ってた………』
『ワン(独特な人が多かった気はするけど)』
『キキー(常夏村の連中は、正直、好かん)』
『ヒトと鬼の世界を作る理想を掲げていたのに、ヒトを猿にする術をかけるくらいの裏切りをうけて、猿鬼さんは中立派になったってことなのよね』
『((………))』
なにがあったのか、聞ける雰囲気でもなかった桃華ですが、猿鬼さんの分までヒトと鬼の共存できる世界を作るために頑張ろうと決意を新たにします。
桃華達は常夏村を後にして都への道を進むのでした。




