桃華乱舞 10
常夏村まであと少しというところで、桃華達は行倒れの猿を見つけました。きび団子をあげると、よほどお腹が空いていたのかすごい勢いで食べ始めます。
『そんなに慌てて食べるとつまらせちゃうよ』
桃華は猿に水筒を渡してゆっくり食べるように言います
『キキー(ごちそうさま、あんた達がいなかったらどうなってたことか)』
『どうしてこんなところで倒れてたの?』
『キキー(村に………って、今さらだけどなんで言葉がわかるんだ?あんた新手の猿か?)』
『わたしは桃華だよ、こっちはハチ』
『キキーッキキ(まぁいいか、よろしくなトウカ、ハチ………俺はテッタだ)』
『テッタね、それで?』
テッタの話では、桃華達が会おうとしてた猿鬼のもとに鬼達がやってきたようでした。常夏村周辺の村に、警告と避難の指示を受けてテッタが奔走していたようです
『キキー(周辺の村の避難は完了して、戻る途中に鬼に追われたんだ。逃げてる時に食料落としちゃって………)』
『ここで力尽きちゃったわけね』
『キキ(団子ありがとう、俺は村へ戻るからトウカ達は逃げて)』
『テッタ、私達も行くよ………常夏村の人達が心配だしね。もともとおばあさまに言われて、猿鬼のところに行く予定だったんだよ』
『キキー(猿鬼様のところへ?)』
『そうだよ、じつはーーー』
桃華はテッタに都に向かうこと、その前に猿鬼のもとを訪ねるようにおばあさんに言われたことなどを話しました、そういうことならと、テッタは桃華達を猿鬼のもとへと案内します
『見張りがいるみたいだけど、乱暴なことはされてないみたいね』
常夏村が目に入るところまでやってきた桃華達は、隠れて村の様子をうかがいます
『キキッ(抜け道があるんだけど、トウカには無理だから俺が先に村入るよ………中で騒ぎ起こしてあの見張り引き付けるからその隙に村に入って)』
『無茶しちゃダメだよ』
『キキー(任せなっ!!、村に入ったら右に進んだところにある離れた建物が猿鬼様の家だから)』
『わかったわ』
テッタは村へと進入するために、離れたところにある穴に入っていきました。
しばらく様子をうかがっていると見張りの鬼達が持ち場を離れ、村の中へと消えました。
『今ね………』
桃華達は村へとかけだします
桃華達は、見張りの鬼達が戻ってこない間に、常夏村へと入ることが出来ました。テッタに言われた通り右に進むと一軒家があります。一軒家までたどり着いた桃華が控えめに戸を叩くと女の人が出てきました
『あら?あなたは?』
『わたしは桃華っていいます、あなたは猿鬼さんでいいですか?』
『猿鬼はわたしのことよ』
『テッタが、囮になってこれたんですが、おばあさまからも猿鬼さんに力を貸してもらうように言われました』
『まぁ、とりあえずあがってちょうだい』
猿鬼は桃華達を中へ入れると、少し待っててといい外へと出ていきます
桃華達が待ってると猿鬼さんがテッタを抱えて戻ってきました。