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異世界3姉妹の日常と冒険物語  作者: 作 き・そ・あ / 絵 まよままん
第3章 宮廷に潜む闇
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12-4 宮廷魔導士試験、3日目 開戦

アリシアの眼前に赤く燃える炎の鎗が迫る。

決して大きくはないが、それはアリシアを捉えようと襲いかかる。

アルビドの放った火炎鎗フレイムランスを避けると、アリシアは反撃をせずにアルビドと距離を取る。


「どうした!こないだのような威勢がないぞ!」


アルビドは次々に火炎鎗フレイムランスを作り上げると、アリシアに向け放つ。


「べつに・・・」


呼吸を整えながら軌道を予測しながらアリシアは確実にアルビドの攻撃をかわしていく。

一通り避け切ったあと、アリシアはニヤっと笑う。


「当たらない攻撃なんて・・・。ふふ。」


彼を馬鹿にしたように含み笑いをするアリシア。

その証拠に、アルビドの攻撃はアリシアにかすりもしていない。

彼女は闘技場の中をフラフラと歩き回ってアルビドを挑発する。


「あの娘、何を考えているのだ?」


「さぁ?作戦でしょうか?」


「やる気ないなら帰れー!魔法使えないのかぁ!」


アリシアに観客からの失望の声が上がる。

2階の貴族席、王族席でもアリシアの行動が理解できていないようだった。


「お前、ほんとにやる気ないのか?」


「そんなことない。今は・・・遊んでいるだけ。胸が、ドキドキしてる」


アルビドの問いかけに、子供のように笑うアリシア。


「遊ぶ?今は試合中だぞ」


「周りはね。でも、アリスは今を楽しむ。いつも通りに。って言われたから」


「あの気の強いネーチャンにか?」


気の強い。そららのことを言っているんだろうとすぐに理解できた。


「んー。ちがうかな」


アリシアは言い終わる前に人差し指で小さな円を描く。

その軌跡から、一つの燃え盛る炎の矢が現れる。

それは、アルビドが使う火炎鎗フレイムランスと変わらないモノだった。

初めて使うアリシアの魔法に、場内からは落胆の声も聞こえる。

彼女はそんなの気にもしていない。

アリシアはその炎の鎗をアルビドに向かって放つ。

当然、直線しか進まない炎の矢はあっさりとかわされて終わるはずだった。


爆発バースト!!」


アリシアが指を鳴らすと炎の鎗はアルビドの横で四方に飛び散る。


「あちゃ!!あちあちっ!!」


燃える火の粉を被るアルビドの姿は観客の笑いを誘った。

2階席の人間たちもその光景を見て驚くもの、笑うものと分かれるがアリシアの魔法を珍しそうに見ていた。


「珍しい。魔導の概念を理解しているとは」


「お父様、なんであの女の子の炎は弾けたんですか?」


「あれは、弾けたのではない。少女が対戦相手が避ける方法、火炎鎗フレイムランスとは相手がどのような魔法と考えているか。そして自分が避けてきたように彼も簡単に避けるだろうと見越して放ち、自らの意思で炎の鎗の性質を変えたんだ。魔導を理解し、探求し、精霊に愛されている証拠。少女に魔法を教えた人間は天才だ・・・。」


「でも、さっきまでは全く魔法を使っていませんでしたけど」


「それも、少女の作戦だろう。理由はわからんが・・・。」


王女は炎の鎗が弾けた理由がわからなかったが、国王の説明でなんとなく、アリシアがすごいんだ。ということは理解したようだった。


「ふふ、丸焦げにならなくてよかったね?」


鼻で笑うアリシア。

観客からも笑われ、自分の姿を国王までも見たと思うと恥ずかしくてたまらないアルビドは顔を真っ赤にして怒っている。


「このガキィ!!毎回毎回こけにしやがって・・・ふざけんじゃねーぞ!!」


「こわくないもーん」


べーっと舌を出して挑発するアリシア。


「お父様・・・。なんとなく、技術は凄いことがわかったのですが・・・その、なんていうか・・・。品が

ないですね」


「・・・」


2階から場内を見下ろす王族の目には、いくらか子供地味た、子供の喧嘩にも見えたようだ。

これから宮廷魔導師の称号を持つに当たり、いくらか不安を覚えているリカも同じようにふたりを見ていた。


炎魔弾フレイム・バースト!」


炎魔弾フレイム・バースト!」


アルビドと同じ魔法でアリシアは応戦する。

今まで使った魔法はまだ2回。

そろそろ、アリシアの中でアメリアとの戦いを考えて魔力を温存するために決着をつける必要があった。


「そんなせこい魔法じゃ、アリスは倒せないよ?」


「うるせーな!お前こそ、昨日の魔法使ってみろよ!」


「使うような場面じゃないし・・・それに」


アリシアは地面を向き、少し暗い口調で意味深に口ごもる。


「なんだよ、それになんだってんだよ!?」


「あんなの使ったら、アルビドだったら死んじゃうし」


「だったら、ってなんだよ!俺が弱いみたいじゃないか!」


「・・・っえ?」


わざとらしくアリシアはアルビドを挑発し続ける。

魔力を使わず、相手に魔力を消耗させ、恥をかかせ冷静さを失わせる。

精霊契約者ではないアルビドであれば、いきなり高火力の魔法がこない、あいてもアリシアの実力を知っているせいで警戒してくるはず。それが彼女の読みと作戦だった。

それは、見事にうまくいった。

アルビドは大勢の前で侮辱され、恥をかかされ、アリシアの全力が来ないことに苛立ちを隠せないでいた。


「調子に乗るなよ・・・」


「別に、調子に乗ってなんかない」


「お前くらい、その気になれば・・。俺がその気になれば」


「なれば?」


「・・・余裕で倒せるって言ってんだよー!!」


アルビドが魔力を一気に放出し始めた。

彼の体が赤い光に包まれる。

アリシアの知っている限り、アルビドの最高レベルである攻撃魔法、紅蓮爆砕陣フレアボムズ。同じ炎

属性の魔法だ。


観客たちも、アルビドの放つ魔力に戦いも終わりが近いことを理解したようだった。


「炎の精霊フレイア。

我が望みを聞き届けよ。

紅蓮の炎を現世へ。

我が望みは世界の滅び。

我が望みは世界の混沌」


アルビドの前にクラーケン討伐の時と同じようにひとつの火種が現れた。


「よし、勝った」


アリシアはその呪文詠唱を聞くとアルビドから距離を取るために会場の反対側へ走る。

アリシアの3回目の魔法。

彼女はゆっくりと呼吸をし、そのまま静かに魔力を両手に集中させる。


「荒ぶる魂持ちたる炎龍、我が前に立ちはだかる愚か者に焦熱の怒りを!」


彼女の両手は赤い光に包まれる。


「お父様・・・。どっちが強いんですか?」


「緑の髪の少年の方が上級魔法だな」


「それじゃ、女の子は負けちゃうんですか?」


「負けるか?。どうかな。魔導とは知識だ。世の理りを、万物の象徴たる力の流れを理解し、それを己の生命力、魔力を通して具現化する。その答えが、今見れる」


「力の流れ・・・ですか」


王女フローラは眼下で繰り広げられる2人の最後の一撃をただじっと、固唾を飲んで見守っている。

国王ヴァネットも、アリシアから目が離せないでいた。


紅蓮爆砕陣フレアボムズ!!」


アルビドはオレンジ色に輝く、燃え盛る球体を召喚しアリシアへ放つ。

その姿を確認したアリシアも、両手を前に突き出し渾身の一撃を放つ。


炎龍咆ヴァルス・コア・ビジット!!」


アリシアの生み出した青い炎はアルビドの放った炎の球体にぶつかると、一瞬押し戻されるような感じはしたが、すぐに勢いを取り戻し、紅蓮爆砕陣フレアボムズを飲み込み、吸収しながらアルビドに襲いかかる。


「お父様!見てください、青い炎が、上級魔法を押し戻しています!それに、炎の球を飲み込んでいるようです・・・。」


「これが、答えだ。上級魔法を使えばいい、というわけではない。魔法の能力、力を決めるのは術者次第。すべては自分の心で決まる。あの少女はそれを実践して見せた。幼いながらに素晴らしい素質をもった魔導士だ」


いま、ヴァネットの言葉が終わると同時にアルビドの恐怖の断末魔が場内に響いた。

刹那、アリシアの放った魔法はアルビドに直撃し、彼のブレスレットは粉々に砕け散った。

巻き上がる粉塵のあとには、彼が気失って横たわっている姿があった。


「勝者!!アリシア・ウィル・トルヴァニア!!」


ふぅ。と肩の荷が降りた彼女。

湧き上がる歓声の中、アリシアは観客席の一番奥を走る紫色の髪の毛を見つけた。


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