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異世界3姉妹の日常と冒険物語  作者: 作 き・そ・あ / 絵 まよままん
第3章 宮廷に潜む闇
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9-2 勲章付きギルドと魔道研究所

「それでは、今回はこれでクエストクリアとさせていただきます」



 私とそららはファミリアを後にして馬車に向かっていた。もうお昼。フランとアリシアはの方はどうなっているのだろうか。うまいことやっていればいいのだけれど・・・。


「それにしても、ラッキーだったわね。怒られるどころかクリア扱いなんて」


 そららが満面の笑みで喜んでいた。


「そうだね。新しいクエストも受けられたし。」


 私たちはファミリアでクエストの不達成を報告しに行くはずだったのだが意外な偶然があり怒られるどころか依頼達成とご褒美がついてきた。

 なんでも、依頼主の方が探してた父が帰ってきたから取り下げたい。と申し出があったらしい。


 いやぁ、素晴らしい偶然。怒られるはずがすがすがしい気分だわ。

 まぁ、ちょっと悪い気もするけど・・・。

 それで、私たちは新しく依頼を受けてきたの。



「どうしますか?新しいクエストは受けていきますか?」


 ハイムはクエストの紙を私たちの前に並べた。


「はい。おねーちゃんたち、冷たいりんごじゅーすです!」


 赤毛の可愛い女の子、ローレンが私たちにグラスに入ったリンゴジュースを持ってきてくれた。


「あら、ローレンいたの?見かけなかったからお出かけかと思ったわ」


「お買い物に行ってたんです。王宮の方がすごい混んでて遅くなっちゃいました」


 やっぱり、今日のために地方から集まった人間で溢れかえっているようだ。アリシアは無事にフランとやっているのだろうか。

 頼りないとはいえ王宮騎士だし、大丈夫だと思うけど。


「ところで・・・ボッツさんとは、仲直りしたんですか?」


 ボッツの1つ席隣に座っていたのがローレンには妙だったのか、彼女は不思議そうな顔をしていた。


「仲直りって言われても、どうなのかしら?」


 言葉に詰まった私が彼に視線を送ると、彼は何も言わずに視線を外し手をパタパタと振っていた。

 どうやら、もう争う気もないらしい。


「そうね、お姉ちゃんたち仲直りしたのよ。だから、大丈夫。」


 私がローレンの頭をなでてるとまたそららが余計な事を言った。


「さっきも絡んできた男たちがいたけど、ボッツが睨みを利かせてすぐに逃げていったわ!」


「いや、俺はなにもしちゃいない」


 確かに、あれはボッツを倒した3人組の娘。という噂で怖気づいただけで、ボッツは特に何もしていないと思うけど。

 まぁ、そこにいるだけで他の人間を黙らせることができるのはこの中ではそこそこ実力者だからだと思うから結果的には功労者なのかしら。


「へぇ。ボッツさんもいいとこあるんですね!見直しました!」


 珍しそうなものを見るような目でローレンはボッツを見上げていた彼女はハイムに呼ばれてカウンターへ消えていった。

 彼が人助けとは、それほど珍しいものなんだろうか・・・。


「あ、お姉ちゃん、これどう!?」


 そららが紙の中から1枚選んだものは、文字の読めない私でも危ないって思う。赤い星が12個ついてる。

 ちなみに赤い星は討伐クエスト。初心者お断りらしい。

 炎天下の中で草むしり3時間が星3個程度の肉体労働らしい。


「これ、赤いの12個もあるけど・・・」


「でも、なんかすごいんだよ?」


「なんて書いてるの?」


「北の山に出るモンスター退治。および調査。未確認のため情報求む!ですって!」


「ですって!、じゃないわよ!絶対にイヤ、断固イヤ、本当にそれだけは無理!」


「そうだね、それはまだ君たちには任せられない。もちろんボッツたちにも。」


 ハイムがそららの手からクエスト発注書を取り上げると奥のカウンターの中にしまう。


「えぇ!面白そうだったのにぃ」


「バカ言わないの!。でも、その依頼は誰がこなしたりするんですか?」


 赤い星12個、きっと危険な仕事なんだろうけどそれはどんな人が受けるんだろう。


「ギルドの中には勲章を持っているギルドがいるんだ。そういった特別なギルドしか受けられないクエストも存在するんだよ。」


「勲章・・・ですか」


「まだ、君たちには早いから、そのうち・・・ね」


 ハイムは他のお客さんに呼ばれて行ってしまう。


「勲章なんて、そうそうなれやしねぇ。」


「そうなの?」


 ボッツがつまみを食べながら話しかけて来る。

 案外、さみしいのかも知れない。いつも一人だし。居酒屋で1人のサラリーマン的な感じ、なのかな。


「勲章は、本気で強い。パーティーメンバーも様々だが、一人ひとりの力が王国正規軍100人以上と言われている。それこそ、王宮騎士並みってことだな。」


「フラン様と同等。」


 少し信じられないけど、そのくらい危険な仕事を専門に扱うギルドがあるとは知らなかったわ。


「なんか、ぱっとしないわねぇ」


 私たちの話を聞いているのかいないのか。そららは基本赤い星のクエストを見ている。

 そんなに、討伐に行きたいのかしら・・・。


「なんか、いいのがあった?」


 私はまた変なものを選ばないように彼女が何を見ているのか横でなんとなく星の数と絵で判断している。


挿絵(By みてみん)


「洞窟に住み着いたモンスターの討伐にぃ、森にいる人狼ウェアウルフの討伐ぅ。エルサーナの盗賊退治ぃ、商人の護衛でしょぉ。楽な仕事ないかなぁ」


「楽な仕事って。何を選んでるのよ?」


「報酬が火の輝石に関係してるものを探してるんだけどねぇ」


「もしかして、アリシアにあげるように?」


「うーん。お姉ちゃん、私たちに出来ることって言ってたから。あればアリシア喜びそうじゃん?」


 そららなりにアリシアの役に立てることを考えてたのね。

 火の輝石。確かに欲しいけど、アリシアのいない状態で討伐は少し勇気がいる。

 使えない弓使いと、魔力が少ないちょっと強い魔剣士じゃちょっと・・・。

 でも、ちょびっとは見直したけど。


「なんだ。お前ら火の輝石狙いなのか?」


「うん、できれば手に入れたいんだけど、なんか知ってる?」


「採取クエストの方に、報酬が輝石ってあるだろ。星7つだったか。鉱山で原石を拾ってくるやつ。」


「鉱山?」


「あぁ、北の山の麓にある鉱山で出る輝石の原石を回収してくるんだ。現地でガイドがいるからわかりやすいんじゃないか?お前らみたいに素人でも行って帰るだけなら大丈夫だろ」


「あ、これだ。見落としてた」


 そららが引張り出したクエストの紙。


【鉱山にて輝石の原石を回収してほしい。

 報酬は輝石のアクセサリー。6種類から1つ進呈。

 ただし、納期は2日以内でできる方。】


「随分と急いでいて、簡単そうな割に羽振りのいい仕事ね」


 そららが胡散臭そうにぼやいている。


「まぁ、依頼主を見てみろよ」


「依頼主ぃ?」


「王立魔道研究所」


「なにそれ?」


「国が依頼人なの?」


「今朝見たら増えてた依頼なんだ。今やってる宮廷魔導士の試験に関係あるのかもな。急いでいて、羽振りもいい。でも、鉱山まで盗賊やモンスターに遭遇しないって保証はない。さっきの人狼ウェアウルフの森も軽くかすめるからな。お前たちが馬車を持っていて、そこそこ腕に自信があるならいいんじゃないか?」


 はぁー。国が依頼人だからお使い程度でもこんなに報酬がいいのか。しかも、時間がないから馬車がある人間に限られると。しかも、強くないといけない。こりゃまた制限の多い依頼だこと。

 でも、私たちは馬車もあるし、腕にもそららがいれば多少自信がある。

 これならどうにかなるかもしれない。でも、


「王立魔道研究所ってなに?」


「俺も知らん」


「そらは?」


「知らない」


「それは、今は仮で運営されている王宮魔導士の役職の方ですよ」


 ハイムが戻ってきたようだ。

 確かに、依頼を受けているんだからこの人なら相手の事を知っているだろう。


「仮なんですか?」


「えぇ。王宮魔導士は現在不在ですからね。他の役職の方々が協力して運営している機関です。本来は魔導士の育成、魔道の探求や研究などを行うのが王宮魔導士の仕事の一つでもあるので、仮に魔道研究所。と名乗っているようですよ。今回はボッツの言う通り、宮廷魔導士の試験に合格した人間へ何かしらの形で配布する目的だと聞いています。」


「それじゃあ、だまされたりはしませんよね?」


「えぇ、それは大丈夫でしょう。ファミリアの店主として保証します。」


「決まりね。」


「うん、すぐにいきましょう」


 私たちはアリシアのいない間に、ちょっと冒険に行くことにした。

 そららがクエストの受注表にサインをするとハイムから、

 見知らぬモンスターに遭遇したらすぐ逃げるように。

 と注意を受けて私たちはファミリアを後にした。



 そこで、今は馬車に向かっているってわけ。

 でも、まさか今からこのまま冒険に行くことになるとは・・・。

 そららと二人の冒険なんて、ゴブリンと遭遇した時以来だわ。

 でも、絶対に火の輝石が必要になるはず。

 私たちは北の採掘場に向かうクエストに旅立った。


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