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異世界3姉妹の日常と冒険物語  作者: 作 き・そ・あ / 絵 まよままん
第3章 宮廷に潜む闇
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9-1 ファミリアでの揉め事

 あの後、私たちはフランとアリシアに店の前で別れを告げた。

 お城まで行っても最終日まで部外者は入ることがができないらしい。

 なんでも、初日のテストは魔力の測定がメインだからアリシアなら間違いなく余裕。とのことだったので私たちは明日以降で時間があれば見に来るように、と言われてしまった。


 書簡でアリシアの結果がわかれば届けてくれると言っていたので、私とそららはとりあえずファミリアへ向かって歩いていた。


 クラーケン騒ぎでうやむやになっていたが、初めて受けた依頼が達成できなかったのでその報告・・・。

 正直、行きたくない。

 でも、他にもいろいろな依頼あったし、今後の事も思うと行かないと行けない。と私たちは3人で相談し謝罪へ行くところ。そのうちの一人、アリシアは来ないけど・・・。

 ファミリアはお城からはそう遠くない。


「アリシアがいない間、なにしよっか~」


 そららがつまらなそうに小石を蹴飛ばして歩いている。

 ずっと一緒にいたから、いきなりいなくなるとなんか寂しく感じてしまう。


「そうねぇ、なにか私たちでできることを探してみたらどうかな?」


「私たちに出来ることねぇー」


 いまいち、ぽっとした答えが出てこない。

 あっ、そう言えば・・・


「そら、今更だけど魔剣の力、コントロールできるようになったの?」


「んっ?これ?ムリムリ!!全くいうこと聞かないんだから。」


「言うこと聞かない?」


「そうよ、あの時だって雷撃が来る瞬間に無意識だったんだから。刀身で雷を受けてそノ魔力が吸収されたような感じかなぁ。ほとんど自覚なかったから、全く覚えてないの」


「それって、乗り移られてるんじゃないの?」


 無意識で剣を振るってるって、ちょっと怖いんだけど・・・。


「わっかんない。でも、気がついたらみんな倒れてて、頭の中に『敵を倒せ!』って聞こえたのよねぇ。そしたら、こうバチバチっと左手から魔力が流れ込んできたっていうか・・・」


「・・・きたっていうか??」


「そんな感じ!」


 いろいろ考えていたんだろうけど、笑いながら彼女の話は終わってしまった。

 結局のところ、わからないらしい。


「お姉ちゃんの方は?その弓、だいぶ様子が変わっちゃったけど・・・」


 そう、私の弓も真っ黒いゴボウみたいなものだったのに今は鮮やかな緑色になっている。

 フレイアが言うには、邪竜王の魔力に汚されていて、本来の輝きを今は取り戻しただけ。らしい。


「これが、本来の姿なんだって。弓に意識を集中していたら、弓の声が聞こえたわ」


「弓の声?話しかけてくるの?」


「そうねぇ、なんていうか、変な森にいて、頭の中に声が響いてくるの!我の器にふさわしいのかぁ!とか、汝は何を求めるーとか!」


「それで、なんて答えたの?」


「それが、あんまりはっきり覚えていないのよねぇ。夢中だったし。でも、そのあと弓が使えたんだからとりあえずはクラーケンを倒すことには賛成してくれたみたい」


「それだとうちら、まだまだ使いこなせてないんだね。これ」


「ま、まぁそうなるわね」


 はぁ、っと短いため息がこぼれる。

 ずっと使っているそららでも満足にまだ使えなくて、私もフレイアのサポートがないと今のところ使えない。

『意思』のある武器とは扱いが難しいもののようだ。


「ついたわね。」


 そんな事を話していると、ファミリアの入り口に到着した。

 後ろめたくて謝らないといけないときって、あっという間に目的地に付いちゃうのよね・・・。


「そら・・・」


「なんでうちがっ!いやだよ!」


「あんたがリーダーなんでしょ?」


「それ、海賊船に乗る前の話でしょ!?もう時効よ!長女なんだからきらが行ってよ!」


「うわっ、こんな時だけ最低。えっ、ちょっとやめなさいよ!」


 そららは言うと私の背中を押してファミリアの中に押し込む。

 私を体勢を崩して崩れるように倒れてしまう。


「あたた・・・。ちょっとそら!」


「えへへ、ごめん」


 そららが悪びれた笑顔で手を伸ばしてくる。まったく、加減ってものが知らないんだから。


「っおい、ここはお前らみたいな女が来るところじゃないぞ」


 私とそららに2人組の傭兵みたいな格好の男が近づいてくる。

 前来た時もこんな感じだったわね。ここにはこういう連中しかいないのかしら?


「なによあんたたち?うちらにケンカ売るっての?」


 そららが魔剣に手をかけ男たちの前に立つ。今にも斬りかかりそうな空気が漂う。


「ねぇ、ついさっきフランが今日はおとなしくしてろーって言ってたじゃない?まずくない?」


 一瞬動きが止まったそららだったけど、聞こえなかったかのように彼女は二人組に近づいた。

 だめだ。聞いてない。

 この子、基本的に女だからーとか、おっぱいが大きいからーとかなんか、気にしてる事言われるとけっこうすぐに怒るのよね。


「やめとけ・・・」


 カウンターに座る男が私たちの小競り合いを仲裁した。


「あら、ボッツ。今日は私たちにケンカ売らないのね?」


 そららが嫌味っぽくボッツに絡む。これではどっちが悪役かわかりゃしない。


「ま、まさかこないだボッツさんを負かした女3人組って・・・」


「い、いや、二人しかいねぇよ。間違いだろ」


 さすが、このへんで名高い傭兵ボッツ。彼が私たち・・・いや、そららとアリシアに大衆の前で負けたことはだいぶ彼ら傭兵業の中では噂になっているようだ。


「紫頭。銀色のはどうしたんだ?」


「アリシアは今日宮廷魔導士の試験に行ってるわ。王宮騎士の推薦付きでね。あと、うちはそららね?紫頭って呼ばないで」


 海賊やモロゾフにも紫頭って言われてたわね。本人は嫌みたいだけど・・・。


『お、王宮騎士の推薦!!?』


 さっきまでの2人組の勢いが、顔を青ざめながら凄まじい勢いでなくなっていく。今ならそららの睨みで退散しそう。


「あの嬢ちゃん。そんな強いのか。どうりで、俺なんかが勝てないわけだ!」


 満足そうに笑って酒を飲み干しマスターのハイムにおかわりを注文しているようだ。


「それで、お前さんは宮廷騎士かなんかかい?」


「うち?うちはただのメイド・・・かなぁ」


「め、メイドだと!?」


 席を立ちあがり、声を荒げ目を開くとそららを見下ろすボッツ。


「う、うん。だって、ほら」


 そららはスカートの裾をもってかるくお辞儀をして見せる。

 確かに、どっから見てもメイドだ。傭兵や踊り子には見えない。


「た、確かにメイドの服を着ているが今のメイドはそんなに強いのか・・・」


「今どきのメイドは主を守り、自分の身も守れないと!」


 そんなごついメイドでいいのかな。

 と一瞬考えてしまったけど面白いので放っておくことにした。


「すばらしいな。俺は、まだまだ経験が足りないな」


 おいおい、納得するのか。そこ。

 こんなメイドはそうそういないって。


「んで?あんたたち、さっきうちらに何か言った?」


 そららがゆっくり振り返ると、そこには怯え切った2人の男の姿が。

 どっちが肉食獣なのかよくわかる。


「いや、俺ら、酔っぱらっててお姉さんがまだ子供に見えて、ここはそんな小さい子供が来ちゃいけないってことを・・・なぁ?」


「あぁ、あぁそうなんですよ!なんで俺たちはちょっと仕事あるんでこれで失礼します!すいませんでしたぁ!」


 私の横を風のように走り去る2人。

 あの子。ここでそのうちボスになれるんじゃないかしら。


「なんで傭兵ってあんな馬鹿なのかしら」


「あぁ、その言葉は俺も耳が痛い。お前さんたちの事は俺がきっちりとここで広めといてやる。今ので少なくともここにいる他の連中も逆らっちゃいけないって認識したはずだぜ?なぁ?」


 無言でうなずく男たち。

 いや、別にそういうポジションにいたいわけじゃないんだけど。


「これでいちいち無駄な喧嘩を売ってくる奴もいなくなるわね」


 私とは対照的に嬉しそうなそらら。


「それで、今日はどうした?こんなとこに」


「こんなとこ。とはひどい言い方だな。」


「ハイムさん・・・」


 ボッツに変わりの酒を持ってきたハイムさんが苦笑いしながら会話に入ってきた。

 そららはハイムさんの姿を見ると愛想笑いをしながら私のところへ戻ってきた。


「お姉ちゃん、よろしく!」


「はぁ!?」


 私は急にそららにその場を任され言葉を失ってしまう。

 さっきまでの勢いはどこ行ったのよ!


「あ、あの先日の依頼なんですけど・・・」


「あぁ、わかっている。すまなかった。」


 すまなかった・・・。

 すまなかった?なにが?

 そららと私は顔を見合わせてハイムさんの言葉を待った。


「実はこの間、君たちが出て行った後に依頼者が『見つかったから依頼は取り下げで!』と言うことになったんだ。この場合、すごく扱いが難しいんだけど、報酬の半分をお支払いするか、クエストをクリアした扱いにして実績のポイントをあげるか、本来は両方なんだけどね。今回はどっちかしか与えられない。その欲しい方はギルド側に選ぶ権利があります」


「どっちでもいいんですか?」


「えぇ、どっちでも。」


 私はそららに一応確認してみるも、答えは同じだった。


「それじゃ、クリアした方でお願いします!」


 初めてのクエストは、私たちにとって、思いもよらない結果になった。

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