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異世界3姉妹の日常と冒険物語  作者: 作 き・そ・あ / 絵 まよままん
extra 短編
70/126

EXTRA きららの学校 ①

(なんだろう・・・この音)


 遠くの方で、なにか聞いたことがある懐かしい音が聞こえる。

 私は・・・。どこにいるのかな。何してるんだろう。

 意識がはっきりしない中、私は体がふよふよするような不思議な感覚に包まれていた。

 周りは・・明るい。

 ここは、どこかな。


「ほらっ!!早く!!遅れるよ!!」


「あぅあ!!」


 急に後ろから肩のあたりをドンっっと叩いて走り抜ける紫の長い髪の毛。

 ツインテールの後ろ姿。

 振り返ったときにいたずらに笑うその顔は見たことがある姿だった。


「そ、・・そら?」


 赤と緑のチェック柄の短いスカート、ブラウスからはみ出しそうなその胸。胸元に揺れるリボン。少し大きめのピンクのカーデを羽織った彼女はこちらへ振り返り手招きをしている。

 見たことのあるあの姿。

 赤と緑の特徴ある明るいスカート。あれは私の学校の制服と同じだ。


 ・・・学校?


 そういえば、さっきの音って・・・。

 だんだん思い出してきた。

 そうだ。変な夢見てたんだ。なんか、魔法と冒険の世界。

 馬車に乗って、へんな怪物に襲われたりもして、友達いっぱいできて・・・。それに・・・それに・・。


「ほらっ!お姉ちゃんおいてくよ!」


「あ、ちょっと待って、置いてかないでよ!」


 思い出そうと考え込む私。

 遠くでさっき聞こえた音。チャイムの音が聞こえてくる。あたりに学生はいない。どうやら、私たちが遅刻組のようだ。そらはわたしを置いて猛ダッシュで走っていってしまった。


(あの音は、チャイムよ。朝のHRが始まるんだわ。なんで今まで気づかなかったのかしら?)


 そららの後を走っていると、目の前には見慣れた校舎が見えてきた。

 私は、あの学校の生徒。

 私の名前はきらら。朧月きらら。あの学校の2年生じゃない。

 私は首を左右にプルプル振って、頭に残るモヤみたいなものを振り払う。

 これから学校なのに、寝ぼけてなんていられないわ!!



 カラカラ・・・


「遅いぞ!朧月姉。さっさと席に付け」


「はい・・・。すいません」


 教室に入ると、HRは既に始まっていた。窓際の私の席だけが空席。

 周囲の視線が恥ずかしい。

 トボトボと自分の席に向かう私は視線を床に落として歩いていた。


「はぁ・・・。」


 椅子に座ると自然にため息が漏れる。そららの席とは離れているようで、こっちをむいて『ニシシッ』と笑うその顔が妙にムカつく。

 私は手で『シッシッ』とあっち向きなさい、とジェスチャーを送る。


「今日はどうしたの?遅刻なんて珍しいじゃない?」


 後ろの席に座るアメリアが話しかけてくる。たまに喧嘩もするけど勉強もスポーツもできるんだけど、ちょっとプライドが高いのがキズ・・・。


「なんか、道歩いてたらボーッとしちゃって」


「なに?ついに歩きながら寝るほどトロくなったの?」


「トロいって何よ?ちがくて、急に頭の中がボーッとして、意識がなくなるような・・・」


 うまく伝えられないもどかしさを彼女は理解してくれたのか、してくれていないのか私の説明も適当に、


「まぁまぁ、夜更かししすぎなのよ。それより、聞いた?3年のフラン先輩のこと!」


「フラン先輩?」


 私のことなんてなにもなかったかのように、アメリアは興奮気味に話してきた。

 フラン・・先輩。確か、3年で結構持ててた・・。剣道で全国行って・・。それで、・・・なんだっけ?

 顔はなんとなく思い出せたんだけど、どうなんだろう。


「昨日、街で同じ3年のローラ先輩と仲良さそうに歩いていたって!!けっこう噂なのよ!!まだ知らないの?」


「うん、ごめん。なんか、ボーッとしちゃって・・・あぅ!!っいた!!」


 バシッ・・・バシッ!!


「これで、頭は冴えたか?朧月?」


「は・・はい」


 叩かれた頭を押さえながら、私は軽く頭を下げた。


(えっ?!ていうか、アメリアは?一緒に話してたのに!!)


 振り向くとそこには出席簿を片手に見下ろす先生の姿が・・・。アメリアは『私、知らないわ』とでも言いたそうな顔で窓から校庭を見下ろしていた。

 横目で私をチラッとみると、一瞬緩む口もとがまたムカつく・・・。

 クラスに笑い声が響くなか、耳が熱くなるのを感じた瞬間だった。


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