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異世界3姉妹の日常と冒険物語  作者: 作 き・そ・あ / 絵 まよままん
extra 短編
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EXTRA 冬に咲く花 1

 いつもと変わらない夜。


 今日も当たり前のように仕事をし、書類をまとめ王都へ提出する準備をする。

 ほかの2人と1匹はもう寝たのか、今日はお屋敷にも静かな空気が漂っている。


「ふぅ・・。これで終わりね」


 そらが散らかした机の上を片付けて、『提出用』と書いてあった箱の中身を整理すると、部屋の灯りを吹き消す。

 その瞬間に、今日はやたらと青白い光が窓から差し込むのがわかった。


「今日の月は、青く輝くのね・・・」


 私がこの世界に来てから、どのくらい経ったのだろう。

 窓越しに空を見上げると青く輝く美しいお月様。

 その光は、闇夜に包まれる世界を煌々と照らしていた。

 夕暮れから屋敷の中であかりを灯していた私は今日の月の変化に今気がついた。


(不気味だわ・・・。白い、青く光る月なんて・・・)


 カーテンを閉めて部屋を出る私の視界に、紫と銀色の物体が飛び込んできた。


「うわぁっ!!」


 奇声をあげてそのまま驚いて大きく後ろにのけぞってしまう。


「お疲れ様でしたー!!」


「今日は、新年・・・」


 紫頭のそらら。銀色頭のアリシアはふたり揃ってパジャマからいつものメイド服に着替えて厚手のコートを羽織りウズウズした様子でこちらを見ていた。


 ん?・・・新年?


「アリシア、今、なんて言ったの?」


「今日は、年に1度の月が青く輝く日。一年の節目。明日の朝から、新しい年、季節が始まる」


「ここにも、新年とかあるの?今は、お正月!?」


「ちょっとお姉ちゃん、何言ってるの?新年とか、おしょうがつとか・・・。意味わかんないんだけど?」


 アリシアと話す私を変な顔で見つめるそらら。

 そう、アリシアはこの世界に来るときに炎の精霊の力を借りてこの世界の人間に意識が乗り移る時に意識障害、つまり、記憶の錯乱がないように手を貸してもらった向こうの世界の私の妹。


 こっちの紫頭のそららはこの体の持ち主のこの世界の妹。

 私とアリシアの意識は異世界からここに来ていて、こっちの常識は私はさっぱりわからない。でも、アリシアは意識や記憶の錯乱がないおかげで、どっちの記憶も共有しているわ。


 私だけ、全くはじめましてなことばっかり。


「あはは、あまり気にしないで!ちょっと気になっただけなの。そっか。忙しくてすっかり忘れてたわ!今日は年に一度の青い月の日ね!・・・。」


「きら、王都でお祭りがあるからみんなで行こ」


 アリシアは私にコートを差し出すと照れくさそうに笑っていた。

 向こうの世界でも、二人で初詣とかしたことなかったしな。


「はやく!今日は王都が一年で最っ高に楽しい日なんだから!」


 そらは廊下をジタバタ飛び跳ねながら私の手を強引に引っ張って玄関前に停めていた馬車へと駆け込んで行く。


「お正月なんて・・・。この世界にも新年があるとは思わなかったわ。」


「ねぇねはなんかすごい楽しみだったみたい。お風呂でもずっと楽しみにしてたし」


「そららが?」


 あの出不精で、めんどくさがりで、暑いの嫌い、寒いの嫌いのそららがこの寒い中進んで外に行くなんて・・・。

 玄関の外は月明かりで吐息が白く煌く世界。いつもならランタンで前を照らすのだけど、今日は月明かりで本が読めそうなくらい明るいわ。

 まぁ、この世界の本は文字が読めない以上読めませんけど。


 馬車に乗るとそららが馬車を走らせる。

 静かに、馬の足音が響いて馬車が軋みながら動き出した。

 コーチの小窓から見る世界は、まるで夜ではないみたいに輝く世界だった。

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