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異世界3姉妹の日常と冒険物語  作者: 作 き・そ・あ / 絵 まよままん
第2章 黄昏の悪魔
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6-5 どこの世界も3バカがいて、それはやっぱりバカなのよ

 夕方、海でひとしきり遊んだあとはアリシアの強いご希望で宿からバーベキューグッズを持ってきた。

 これから二日目の晩御飯。

 楽しかった旅行も残すところ明日と明後日のみ。半分が終わってしまった。

 明日は何をしようかなぁ。

 夕焼けで海はオレンジ色に燃えるような色だった。

 波しぶきが反射しキラキラと輝いている。

「今日も楽しかったね!」

 ご機嫌そうな笑顔のそらら。

「ご満足そうでなによりですわ。ところであんた、寒くないの?」

「ん?別に?」

 私は準備をしている時にビキニにパレオを付けただけの南国少女風のそららに声をかける。

 手にはこのネスタではよく取れる果物のジュースを持ち、見た目では南国のバカンスにでも来ているかのようなお嬢様。私やアリシアは少し肌寒くて上着を着ているっていうのに。

「うち、こうゆう水分多いのすきなんだよねぇ」

「水分・・・ねぇ」

 無駄にでかい乳に目が行ってしまう。

「飲む?」

 私の前に黄色い、手の平大くらいのストローが刺さったものが現れる。

「うんうん、後で少しちょうだい?それより、アリシアは?」

「さっき、『にーく、にーく!おーにーくー!』って言いながら歩いてたけど。」

 あぁ、置いてきたお肉を取りに行ったんだ。珍しい。いつも動かないのに。

「どう?火、つきそう?」

 そららが心配そうに私が準備しているものを見つめている。

「どーだろー。この点火セット、いまいち使いにくくて・・・。」

 マッチのようなものと油があって、そららが言うには枯れた枝とこの炭でつく!って言ってたけど、実際にはなかなか難しい。

「フレイアがいたら、火種になるのかな?」

 思わず炭に埋もれモフモフの毛に火をつけられる羊を想像してしまう。

「ちょっとやめなさいよ。フレイアが消える前に、『そばにいる』って言ってたじゃない?」

 まさか。と思って気にしてあたりを見回してみる。

「そーだっけ?」

 顔を見て笑い合う。あ、気になってることって言えば

「ねぇねぇ。気になってたんだけど、いい?」

「なにが?」

 近くにあった流木の上に座る私たち。

 点火は少し休憩。疲れちゃった。

「ファミリアでのこと、覚えてる?」

「あぁ、ローラそっくりの女の子がいたとこでしょ??」

「そう、そこ。」

「なにかあったっけ?」

「傭兵とトラブったとき、そら剣を抜いたでしょ?」

「えっ?まさか今更に説教??」

 ゲッて顔して引く彼女。

「そりゃ、領主としてあれはまずいと思うけど、そうじゃなくて、あんたの剣よ」

「あれがどうかした?」

 指差す方向には布に包まれた魔剣が荷物と一緒においてある。

 そう、実は気になっていたんだけど、聞くタイミングがなかなかなくって遅くなっちゃったのよ。

「て、手入れなら一応してるわよ?寝る前に潮風で錆びないように拭いてるし」

「そんなことじゃないわよ!」

 そもそも、魔剣って潮風で錆びるのかしら?

 魔剣のくせに?もし錆びるならすごいダサいんだけど。

「あんな大きな剣、あんな軽く受け止めて、押し返したじゃない?いつの間にあんな強くなったの?」

 傭兵ボッツとの戦闘でそららは自分の身長と大差ないような大剣を相手にしたにも関わらず、男の振った剣を受け止め、そのまま薙ぎ払った。昔ならそんなことできなかったのに。

「筋肉少女になったの?」

「なるかっ!!」

 だって、知らないで見ていたらだれでもそう思うわよ。

 てっきり私は妹が隠れて筋トレをしているのかと・・・。

「あれは、剣の力ね。」

「剣の?」

「うん、あの剣、魔力が込められていて、おそらく身体能力UP系なんじゃないかな。すっごく最近は軽いし、戦っている時は相手の攻撃も軽く感じるのよ。」

「非力なそらにはありがたい武器ね」

「余計なお世話よ。」

「だって、レイピア以外は重くて無理!って言ってたのに。でも、使いこなせてるってことは『会話』できたの!?」

「『会話』ねぇ。まったく思い当たるとこないよ?」

「偶然?」

「なのかなぁ。よくわからないけど」

 黄色いフルーツを飲みながら足を組みなおすそらら。この子、スタイルがいいから絵になるわ。

「はい、もうないからあげる」

 そららはチャプチャプ音がする黄色い果物を差し出してくる。

 この子、飽きっぽいから最後まで飲まなかったり食べないとこあるのよね。少食だし。

「あ、ありがと」

 私が受け取ろうとした瞬間に後ろから声がする。

「ねぇ!二人とも!!」

「きゃぁあ!!」

 驚いた私は手を滑らせて砂浜に落としてしまった。

「ご、ごめんね、そら。せっかくくれたのに」

「別にいいけど、ってかなに?あんたたち」

 私がとりあえず落としてしまったフルーツを拾うと、中身はこぼれてしまいほとんど残っていなかった。

 私たちの後ろには明らかに地元臭がしない若い男性が3人。私たちよりも多少年上だろうか。

「なんですか?」

「『なんですか?』。なんてつれないこと言うなよぉ!」

「君たちもこの村出身じゃないんだろ?よそ者はよそ者で仲良くしよーぜ?」

 明らかにバカにしてなめて来る態度。

「はぁ?私たちの相手があんたたちに務まると思ってんの?」

 そららが立ち上がり腕を組む。男どもはそららの胸に釘づけ。

(しょせん、その程度か)

「おいおい、そんなこと言わないでさ、仲良くしようぜ?こう見えても俺たち、アレクサンドリアではチョットした有名人なんだぜ?」

 有名人?こいつらが?

「俺は、宮廷騎士で最強のモロゾフ!あの王宮騎士フランが相手でも引けは取らない剣士様よ!」

 右の短髪金髪頭。

「俺は宮廷魔導士候補の一人!王宮魔導士に一番近い男。6大精霊を使役する!と言われた男だぜ!」

 真ん中の緑の髪ちょい髪が長くて、さらさら系。

「俺は宮廷薬剤師っすー!ども!!めちゃかいいっすね二人とも!!」

 茶髪のツンツン頭。一番軽くて調子よさそう。

『どもー!よろしくっすー!!』 

 一通り自慢の自己紹介は終わったようだ。

 私、こんなやつら初めて聞いたんだけど。フランにもこんなやつら聞いたこともない。前の世界にはいなかったのかしら。

「そ、れ、で?」

 そららの怒りはまだ収まっていない。

 収まっていないどころか、少し怒りメーターが上がったかしら?

「王都の、さらに城に仕える俺たちとさ、仲良くなっても損はないと思うんだけどなぁ?って」

「そーそー!モンスターや怪物から守っちゃうよ~?」

「怪我しても俺が治しちゃうから安心してねぇ!」

 しつこそうなのに絡まれてしまった。

「俺ら明日帰るんだけどさ、ここ、超田舎でなんもすることないから暇でさ。一緒にあそんでくれないかなぁ?」

 ニヤニヤ笑う3人。

 私がそららに意見を聞くよりも早く

「キモッ!さっさと帰れば?めっちゃむかつくんだけどこいつら」

 左手でシッシっと払いのけるような仕草をするそらら。

「あぁ!?下手に出てりゃいい気になりやがって!!」

「はぁ?うちら、そんな安い女じゃないし、お前らみたいな3バカに付き合う暇なんてないから今日、今すぐにアレクサンドリアに帰れば?」

 3人とそららが睨み合う。

 私は特にやることがなく、【あうあう】と慌てることしかできなかった。

「俺ら、最強の剣士と大魔法使いだっつってんだけど、理解してる?」

「だから?」

「おまえ、乳ばっかでかくなって頭ン中空っぽなんじゃねーの?」

 一瞬そららの顔の表情が強張った。

「殺す・・・」

 明らかに今の発言で切れた感じの顔になったわね。珍しく我慢してたのに。

「お前ひとりで勝てると思ってんのか?そんな小せぇ体で何ができんだよ!」

「これだからバカは困るのよ。小さいからあんたに勝てないって誰が決めたのよ?このクズ!」

 あーあーあー。こりゃ、ダメだわ。

 私はゆっくりとその場を後ずさる。

 こんな雰囲気の空気。とても吸ってられない。

「うちは、お前が一番いちばんいちばぁん!!だいっきらい。」

 緑の魔導士らしき人間を指差す。

「誇り高き宮廷魔導士の名を汚す腐れ外道。うちはあんたが一番嫌い。次に」

 金髪短髪を指差す。

「あんたはこの際どうでもいいけど、フランと互角ってのがなんかムカつく」

 残された、茶髪は?

「あんたはどうでもいい」

 視線を送り文句も興味もないようで眼中にいようだった。

 宮廷魔導士。エルドロールの事が気に障ったのかしら。多分・・・。

 いや、絶対そうね。最近は静かなものだったのに。

「おい!見せてやれよ?」

 金髪が緑の髪のやつになにか意味ありげな言葉を送る。

「お前ひとりに何ができるってんだよ?後でケツ振っても許してやんねーからなぁ!」

 緑の奴が流れから先手の様だ。

 え?こいつら結局何なのよ?ケンカ売りに来たの?

「ねぇね、何やってるんですか?」

 両手にお肉をもってアリシアが不思議そうに見ていた。

「あんだ?このガキは」

「遠くから見てましたけど、新しいお友達ですか?」

 お肉を大事そうにシートへ置いて私に聞いてくる。

(どーすれば友達に見えるのかなぁ)

 まぁた厄介なのが増えたわ。

「い、いや、・・・ねぇ?そらら」

「敵よ」

 あぁ、またそういう事言って。

「敵ですか?」

 いや、まだどっちがどうとか言ってないじゃない。

 縄張り争いの不良じゃないんだから、出会って早々ケンカする?普通。

「そう、こいつら、宮廷魔導士の候補と仲間らしいわ。あの金色頭はフランと同じくらい強いらしいけど」

「宮廷魔導士・・・。それじゃ、将来的にアリスの敵ですか」

「おいおい、ガキはいらねぇぜ?俺たちゃロリコンじゃねーからな!!」

 3バカの高笑いが響き渡る。

『ガキ』の一言に、アリシアの顔色が変わるのが見える。

 ・・・こっちも、ですか。

「2人とも、ここは一つ、大人な対応を・・・」

 私がそららとアリシアにそっと小声で促してみる。

『えぇ??』

「いえ、何でもないです」

 目つきの悪い2人に心が折れて一人後ろに下り、一応、そららの剣を持っておく。

 私が持つと、そこそこ重いんだけどな。

「なんだぁ?一人でママのトコにかえれまちぇんか~?」

 小柄だけどその子、12歳だからなぁ。中身は。

 アリシアは引きつった笑いを浮かべると、左手を前に差し出した。

獄炎障滅陣デモンズ・ウォール

 その左手から左右に大きく円を描き、3バカを閉じ込めるように広がっていく。

「なんだ!?」

「どうなってんだよ!」

 いきなりの魔法に慌てる3バカ。

「これで、逃げられない・・・」

 二へっと笑うその表情には『殺意』を感じる。

「ばかやろう、こうゆうときは術者を倒せば魔法は消えるんだよ!」

 緑の髪の奴が先頭に立ち、なにか行動をしようとした時だった。

火炎矢フレアランス!」

 アリシアの前に炎の槍が複数出て来る。その数は5本程度。

「お、おい!!どうにかしろよ!!」

 茶髪頭が緑頭に駆け寄る。が、もう遅い。

「いけ」

 アリシアの無情な掛け声により、炎の鎗はそのまま3バカに放たれる。

「あんたはこっちよ!!風縛捕蛇バーグ・ハンド!!」

 そららの左手から見えない大蛇が緑の髪の奴に迫る。

「むぎぃっ!!」

 つぶれそうな声でそららの見えない腕に身体を捕まえられて宙に浮く。

 他の2人はアリシアの放った炎の鎗を避けるのに精いっぱいのようだ。

「つっかまっえたー!!」

 そららはそのまま緑頭を頭から砂浜に叩きつけた。

 砂が舞い上がる中、伸びて白目をむいている。

「あ、アルビド!!」

 金髪が緑に駆け寄る。モロゾフだったか。緑の髪の奴、アルビドね。

「女、ガキィ!覚悟しろ!!」

 気を失って動かない仲間を見て逆上したのか、ありもしない剣を抜刀しようとする。

「し、しまった!剣がない!!」

 頭も悪いようね・・・。騎士のくせに武器を携帯しないなんて。

爆裂球バースト・ロンド

 アリシアの放ったオレンジ色の球がモロゾフに直撃し、モロゾフはアリシアの作った壁に叩きつけられてグッタリとする。

(弱い・・・)

 遠巻きに一瞬でやられる王宮の戦士を見て思うことは、この2人がいればアレクサンドリアは乗っ取れるんじゃないか。と考えてしまう。こんなのに守られてる王国って、大丈夫なのかしら。

「残るは、あんただけね。」

「す、すいませんした!!」

 砂浜にスライディング土下座で二人に頭を下げる茶髪。

「降参?」

「はい!お強く、美しい二人の女神様!本当にすいません!」

 2人の強さにビビったのだろう。顔も上げようとしない。

「ほら、謝ってるし、2人とも、もういいんじゃない?」

「お、お優しい女神さま!どうか、どうかご慈悲を!!」

 そらとアリシアも初めから茶髪は相手にしてなかった事もあり、顔を見合わせてどうしようか悩んでいるようだ。

「あんた、名前は?」

「宮廷薬剤師の、トロイヤと言います!」

「トロイヤ。覚えたわ、アレクサンダー城に近いうちに行くわ。覚悟してなさい。今日はもう下がりなさい。このゴミ連れてきなさいよ」

 名前覚えて、この人どうするつもりなんだろ。

「はい!ありがとうございます!」

 トロイヤと言った人は二人の足を引っ張って砂浜を走って遠ざかる。

「今すぐにこの町を出なさいよ!!もし見かけたら今度は海に沈めるから!!」

「もぉうしわけございませんでしたぁー!!」

 海辺に情けない男の悲鳴が響く。

 あんな3バカ。フラン知ってるのかな戻ったら聞いてみようかしら。


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