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異世界3姉妹の日常と冒険物語  作者: 作 き・そ・あ / 絵 まよままん
第2章 黄昏の悪魔
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6-2 夏の夜、海の夜と言えば??

「ほんとに、やんだわ」

 私たちの前に広がるのは夕焼けに焼ける海原。さっきの嵐が嘘みたいに晴れ、緋く焼ける空。大きな雲が風に乗って動くのが見ていてなぜだか楽しい。

 宿から出ると今度は暑い、湿った空気でジメジメとしていた。

 道路には先ほどは見当たらなかった町人が数人歩いている。ここに住んでいる人は、この時期、天気が悪くなることが多いこと、そしてそれは長く続かないですぐに晴れることを知っているようだった。

 私たち3人はちょうど嵐がこれから来ますよーって時に来てしまったようだ。

「あのおじさん。見た目は何だけど、いい仕事するわね」

 何だけど、って。その妙な含ませた言い方はよしなさいよ。どこに潜んでいるかわからないから。

「でも、これで晩御飯に行けるね!」

 私たちは夕焼けに染まる町を歩き出した。



 まずは、海を見てみたい!ってことで近場にある海に行ってみた。

 浜辺には数人の若い男女がすでに海を見に来ていた。

 砂浜は、お世辞にも広いとは言えなかった。地元の人が遊ぶ程度の広さで、他の地域から来た人まではなかなか遊べないだろう。うちのお屋敷を3つ並べるのよりも砂浜は短そう。

 桟橋にはロープで船が何隻か巻かれていた。遠くには岩場も見える。釣りをする人がいるかもしれないわね。

「意外ときれいじゃない」

 私はしゃがんで足元の砂を触ってみる。

「大きい・・・」

「波、あまり高くなくてよかった」

 そららは海の大きさに感動を。

 アリシアは波の低さに安心をしていた。

 なんせ、背が小さいから・・・。140センチくらいなのかな。まだ子供だしね。波が大きいと可哀想だったけど、これなら安心ね。

 アリシアが砂浜に山を作りだすと、そららも一緒になって山を作っていた。

(見るだけって言ったのに・・・)

 私はその光景を微笑ましく見ていた。波に濡らされないかな・・・。と、淡い期待を込めて。

 私たちが入ってきた入り口以外にも、砂浜へ入り口はあった。私たちが来たのは上から見て街の東側。どうやら街の西側のが栄えているらしい。明かりがちらほらと見える。

「お嬢さん方、どっから来たんですかな?」

 海辺を散歩していたのか、50代くらいの男性が話しかけてきた。

「私たちは、アレクサンドリアからの観光なんですよ」

 まさか、領主なんて言えないので適当に誤魔化す。

「ほうほう。こんな田舎に珍しい。めんこい格好しておったから、どこぞの貴族様や領主様のお付き様かとおもっての」

 いい勘しているわ。この人。

「まさかぁ!そんなわけないですよぉ!今日初めて来たんですけど、この街でどこかご飯食べれるとこ知りませんか?」

「ふぅむ。それなら西の浜辺そばにある料理亭がよかろう。このまま向こうの岩場に進んでいけばすぐにわかるよ。ここの漁師がとった魚介類専門店なんじゃが、ネスタでも人気があるんじゃよ」

「へぇ!それは美味しそうですね、ありがとうございます!今日はそこに行ってみようと思います。」

「待ちなされ。」

「はい?」

 私は二人を迎えに行こうとしたところを呼び止められる

「ここは、初めてなんじゃな?」

「えぇ、そうですけど。」

「何も、知らんかの?」

「なにも・・・と、言われると?」

 神妙な面持ちで男性は

「この海は今、呪われておる。」

「呪われるって、そんな大げさな」

「近頃は難破船も多くてな。最近も一隻沈んだ。海賊も現れるようになり、今はあの岩場に幽霊が住み着いたとの噂も流れている。滿汐の夜に若い連中がこの砂浜で夜遊びをしていて黄色く光る球があの岩場に近づいていったのを見て、面白半分に近づいたら・・・」

「ち、近づいたら??」

「なぁに、単純に洞窟を吹き抜ける音にビビッて飛んで帰ってきたそうじゃ!」

 豪快に笑う男性。

 へんな言い方するから身構えたじゃない。

『海で死んだ生霊がぁ!!』とか来るかと思ったけど、今回はそんなことなさそうね。でも、海賊か。物騒なのね。気をつけなくちゃ。

「ご忠告、ありがとうございます。夜の外出は控えて、海には近づかないようにします!」

「気を付けなされよー」

 私は男性に頭を下げると、砂浜で山を作り続けている二人を迎えに行った。



 ネスタのご飯はみんなに好評だった。

 磯焼、炭火で焼いているものを提供してくれて風情がある。見た目にもおいしく、アリシアは続々と焼き魚を、そららは延々とお刺身を注文していた。

 魚の煮物や海鮮丼もあって、さすがは漁師町って感じだったわね。

 お店を出た後も、お店の印象が強く話題に残っていた。

「意外と、いけるわね。田舎の定食屋も」

「うん、アレクサンドリアにもほしい」

 そんな近所にお店ができたら毎日でもあんたたち行くでしょ。そしたらお金がいくらあっても足りないわよ。しかも定食屋じゃなくて、料理亭だし。確かに田舎にあるから王都の小料理屋とかと比べると質素な感じがすると思うけど・・・。

 でも、味は引けを取らないわね。

「お姉ちゃん、この後どうするの?」

 この後、このあとかぁ。時間はまだそんなに遅くないんだよなぁ。今から宿に戻ってもつまらないし。

 潮風が気持ちいい。

 アレクサンドリアでは感じれない風だ。

「この後ねぇ。散歩。もいいかもしれないけど、早く帰った方がいいのかな?」

『えぇーー!!』

 2人の大ブーイング。

 なによ、言いたいことあるなら先に言えばいいじゃないのよ。

「2人は、どっかいきたいとこあるの?」

 アリシアがニヤッと笑うと

「夏の海といえば・・・お化け・・・」

「きゃー!!そらら、こーわーいー!!」

「慣れないブリっ子してるんじゃないわよ。それに、お化けって言って本当にいたらどうするのよ」

 そららがアリシアを指差す。まぁ、確かに倒せるけど・・・。

「実は、恐怖スポットも聞いてたりするんだよねぇ」

「ねぇねとアリスが調べた」

 そういえば、出かけにフロッグさんと何か話してたな。

 変なところは行動力あるのよね。

「んで?そしたらどこまで行くんの?」

「あの岩場」

 そららが指さすのはさっきの男性が『幽霊が住み着いてる』って噂があるって言ってた岩場そのものだった。

 私は背中がゾクッと寒くなり、身震いをしてしまった。

 暗い闇の中に月明かりと、街の灯りでうっすらと照らされているその姿は不気味な雰囲気を発していた。

「あ、あそこへ行くの?」

「うん。今は街でも『でる』って噂が・・・」

 知ってるわよ!

 だからこそ怖いんじゃない。どうせでてきたらそららなんてすぐに逃げ出す癖に!!

 砂浜に戻ってきた私たちは、引き潮になった海岸をゆっくりと岩場の方へ歩き出す。

 近づいてみると、岩場には穴が開いていて、暗い、『向こうの世界』へ誘われるような重い、生ぬるい空気が漂っていた。


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