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異世界3姉妹の日常と冒険物語  作者: 作 き・そ・あ / 絵 まよままん
第1章 異世界3姉妹の日常と冒険物語
34/126

4-14 命を賭して守る世界(もの)

「いのち?」

 アリシアは意味が解らず聞き返した。

 フレイアが命をくれ?つまりは死ねってこと?

「フレイアまで、そんなこと言うのね・・・」

 すでに絶望の淵にまで叩き落された彼女は、思考がまともではなかった。

 目の前の悪魔が動き出せば、次は確実に自分の番。

 唯一の仲間だと思ったフレイアにまで裏切られたか。と。

「僕が、アリシアを助ける。僕と融合してほしい」

「アリスが、・・・融合?。フレイアと?」

 意味が解らなかった。

 精霊と融合、それがどのような行為なのか。何が起きるのか。全く想像ができない。

「そう、二人であいつを倒すんだ。でも、二度とアリシアは元に戻れない。それに・・・」

「それに?この世界にはいられない。」

「どうゆうこと?アリスは死ぬの?」

「死ぬわけじゃないんだ。ただ、精霊の力・知識を持った人間をこの世界に放っては置けない。僕と一緒に精霊界に行ってもらうようになる。そのためには、肉体を捨てないといけないんだ・・・。」

 肉体を捨てる=死ぬ。

 力が手に入る代わりに、この世界にはいられない。

 なんとなく意味は理解できた。

 このまま待ってても死ぬ。100回戦っても1回も勝てないだろうと思う。

 フレイアは、どうせ死ぬなら。と言う気持ちで言ったのかもしれない。

「あいつは・・・倒せるの?」

「多分。これ以上何も隠していなければ。の話だけど。」

 アリシアには迷いはなかった。

「やる。あいつが倒せるなら」

 涙を拭って、小さな体は邪竜王への復讐で再び生きる力を取り戻す。

「みんなの敵を取るんだ。この世界は嫌いだけど、アリスまで死んだら、アリスたちはあいつに負たことになる。悔しい」

 小さな手で握るこぶしが震える。

 恐怖ではなく、憎き悪魔に対して。

「わかった。・・・」

 アリシアが両手を出すとフレイアは両手の上に乗る。

「短い間だったね。アリシア。」

「そうだね。いきなり見たときはびっくりしたよ。」

「僕も、いきなりアリシアの人格が乗り移ったときは驚いた!」

 ささやかな別れの時間を楽しむ二人の姿があった。

「ゴブリンに襲われたり・・・」

「アリスはゴブチンの王様だったし」

「きららやそららと会って、面白い人間だった。」

「お姉ちゃんはかわらなかったなぁ。ねぇねは、きっともっと一緒にいたらすごく気の合う姉妹になったと思う!」

「料理したり、働いてたねぇ」

「お買い物、楽しかったなぁ。あれが最後だって知ってたら、もっといろいろ食べとけばよかった!」

「アリスは食いしん坊だからね・・・」

「精霊界にも、食べ物はあるのかな」

「精霊は人間の活力。魔力が源だから何かを食べる。って習慣はないんだ。」

「そっか。残念・・・」

 残念そうに下を向くアリシア。

「でも、フレイアと一緒なら、まぁいっか!」

「無理してるのバレバレだよ」

 ひきつった笑顔には、涙がこぼれる。

「バカ、こーゆー時に気付かない振りするのが男の子だよ!」

 むぎゅっとフレイアを手で挟みつぶす。

「ごーゆ゛-ごどじないで・・・」

「あははは!!」

 笑いながら、ゆっくりとテンポを落とし、最後に大きなため息を吐く。

「・・・んじゃ、お願い。フレイア。どうすればいい?」

 フレイアの身体が紅く輝く。

 邪竜王が光り輝くフレイアに気が付いた。

「んだぁ?ありゃあ」

「アリスの耳飾り。僕の魔力を溜めておいた。それを飲み込んで」

「耳飾り?」

「僕は先に待ってる。アリシア、君に精霊の加護があらんことを」

 そう言いながら、フレイアはアリシアの身体の中へ溶けるように消えていった。

「ひゃひゃひゃひゃ!!おい小娘!精霊にまで逃げられたようだな!待ってろ!今お前の血を飲みにいってやるからよぉ!!」

 邪竜王は再び、マッシュの元へ歩き出す。

「フレイア・・・」

 耳に飾ってある二つの輝石。紅く、意思があるかのように輝いている。

 イヤリングから二つの輝石を取り外し、手のひらで転がす。

 もし、これを飲んだら、きっと戻ってこれない。

 ここにいることできない。


 死―


 少女に見えない壁が、見えない手が絡みつく。

 心臓の音が高鳴る。

 劇薬を飲んで自殺するものはこのような心境なのだろうか。

 自殺とは、これほど心臓が飛び出そうな緊張が走るのだろうか。

 死に直面したときに、動物的本能で逃げたいと感じるものなのだろうか。

 小さな少女は、瞳を閉じ、大きく深呼吸をする。

 心臓の鼓動が、耳の中で聞こえるような感覚。

 足の感覚がない。

 手に、力が入らない。

 身体が、フラフラしてまっすぐ立てない。

 気持ち悪くて、今すぐに悪夢なら覚めてほしい・・・。

「アリシア!!」

 ふと、アリシア背後に聞きなれた、大好きな声が聞こえた。


 遠くに、手を振る二人の女の子。


 ダークゴールドの髪が印象的で、いつも笑っているきらら。

 薄い紫色の髪、いつもきららを迷惑そうにして今も不機嫌そうなそらら。

「大丈夫!?アリシア!!」

 自分は傷だらけで、服もアリシアよりボロボロで、血もついて汚い格好なのに、いつも心配してくれるそらら。

 大きく手を振り、うん。うん。と頷くアリシア。

「あんのクソ親父!絶対にぶっ殺す!!」

「はいはい、そららはまず魔力回復しないとね~。」

「誰のせいよ!!誰の!?あんたがいきなり空から降ってくるからうちの魔力全部使い果たして助けてやったんでしょうが!!」


 あの時、空高く打ち上げられた私は城の方へ飛ばされた。それは偶然にそららが飛ばされた場所のすぐ近くだった。

 天高く飛ばされた私を見つけたそららは、急いで近くに走って城の方に向かってくれた。

「風の精霊シルフ。我は汝の加護を受けし者。我が魔力と引き換えに、彼の者を捕らえる戒めの鎖を」

 そららを中心に風が集まる。

 私はその時まだ気づかず目を閉じたままだった。

「全力で行くよ!!風縛捕蛇バーグ・ハンド!!」

 そららの伸ばした左腕から見えない空気の大蛇がきららに迫る。

 地上まであと少し。

 過去にゴブリンを捕縛した時とは比べ物にならないくらいの大蛇。それは私を下から一気に押し戻し、無重力状態を経験させてくれたあとに、ゆっくりと地上に戻してくれた。


 と、まぁ。私が原因なのは間違いない。

「そうでした。ごめんなさい。」

「うちのかわいいアリシアに手を出したら絶対殺す。100回殺す!」

 ぶつくさ言いながら歩くその目には、絶対不可能なのに、なぜかこの子なら可能にできるのではないか。と思ってしまう何かを感じてしまう。


 ・・・ふふっ


(なんだ。簡単なことだったんだ。)

 アリシアは小さな石を二つ口の中に流し込む。

「アリスは、あの二人のいる世界を守りたい!」

 私の目の前で、アリシアが紅い光に包まれていく。


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