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異世界3姉妹の日常と冒険物語  作者: 作 き・そ・あ / 絵 まよままん
第4章 魔導都市の陰謀
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16-2 魔剣の由来

「しょしょしょしょ、処女といけにねいえ!!!」


 扉から入ってきたのはうちが今一番殺したいランキング首位独走中のやつだ、おそらく、名前はマスカローネ。この名前は当分忘れないわ。


「うるさいぞ、・・・こいつ、もうだめだな」


 壊れた操り人形のように、体が小刻みに揺れ、腕や足、指先などは行ってはいけない方向に折れたりしている。

 その眼球は白目で、頭部には・・・、頭部には!?


「やはははううっふる!!」


 驚きと衝撃で、喋っても誰にも通じないのに叫んでしまったわ。

 そう、矢が刺さっていたのだ。きっと、きららが撃ったのだと思うけど、その矢は頭蓋骨を貫通している。にも関わらずあいつは動いている。


 むしろ、ここまでくればあいつがなんか普通じゃないってのは誰でも分かりそう・・・。

 マスカローネに近づくと、ティグレは指についている指輪を抜き、その体を穴へと蹴り落とす。


「あひあひはいはひひひひい!!」


 ドブン・・・ボチャ。


 最後まで気色の悪い叫びをあげていたが、その声は急に聞こえなくなった。

 まるで、何かに飲み込まれたかのように・・・。

 その最後は、嫌いな奴だったけど無残すぎてあいた口がふさがらない。


「気色悪い。死霊とはこの程度の物か。禁呪。と言われる割には使えないものだな。おい、さっさと運べ」


「痛いわよ!自分で動けるって言ってるでしょ!?いい加減にしなさいよ」


「扉の向こうから数人の男に囲まれ、腕を引っ張られながらこっちへ来るその姿。随分久しぶりにその姿を見た気がする。


「お、おへいはん!!」


「そ、そら!!大丈夫!?無事なの?怪我はない!?」


「動くな!」


 きらら、アメリア、小動物が扉の向こうから入ってくる。

 アメリアと小動物はぐったりしていて、動く様子はない。

 そのまま乱暴に扉から引き離され、小動物はそのへんに捨てられ、アメリアはトキの方へ運ばれていく。

 きららはうちのとなりへ連れてこられた。


「よかった・・・。無事みたいね」


「ふんふん!」


 うちは頷き、涙が流れるのが堪えられないでいた。


「トキ?大丈夫?」


「ははっ・・見たままだ」


「ティグレさんは?」


「お呼びですかな?お嬢さん」


 ティグレさん?

 呼び方的に、きららとティグレ、と呼ばれるこの男は知り合いのようだ。

 でも、なぜ?


「あぁ!そんなところにいたんですか?はやく、助けてくださいよぉ!」


 安心したように笑うきらら。

 この男に対し、何も警戒心を持っていないようだった。


「おぉ!そうですな、これは失礼。」


 バシッ


「・・・ぇえ?」


 きららは何が起きたのか理解できていない様子だった。ティグレはきららに近寄り、その顔を叩いた。

 急な出来事に、言葉を失うきらら。


「気を・・つけろ。そいつは、砂の蠍の首領だ」


「・・・嘘ですよね?ティグレさん?」


 トキの言葉を受け入れられない様子だった。


「・・・」


「一緒に、そらを助けるって。この場所も教えてくれたじゃないですか」


「わかりますか?すべて、ウソだったんですよ。国境を越えた時に、この魔剣ダインブレイブを持ったそこの女を見つけた瞬間から、全ては決まっていたのです。」


「魔剣・・ダインブレイブ?」


「そうです、この魔剣は神殺しの剣。神を滅し、その咎を背負い生き続ける事を選んだ者のみが所持できる咎人の剣。今は亡き大地を司る竜。シルウィア。大地のドラゴンは世界の混沌を、神が創造してきたものの意味を知ったのです!そして、自らの牙、魔力を込めた武器を1つ、この世界に落とした。使うものの魔力を使い、大気から魔力を奪い、神や精霊すら滅することができると言われている意思持つ魔剣!。長い間行方不明だったと記されてたものが、戻ってきたのです。この大地の神殿に。我らが教団のもとに。」


 感極まって涙を流すその姿はもはや不気味、としか例えようがない。

 ここまで自分に酔えるって、最っ高に幸せね。こいつ。


「でも、あれって・・・ローラの」


 うん、あれはこの世界とは違う次元から運んできたもの。もともとの所有者はローラ。うちはローラの形見としてもらってきただけ。

 でも、そんな大層な代物だったとは。


 野菜や肉を切ってる場合じゃなかったぁ!!

 立てかけてて、邪魔だからどいて、とか、海に持って行って錆びなくてよかったよぉ!!

 もう少し、大事にしてあげるべきだった。かな。


『おおぉぉぉおぉぉおお!!』


 急に群衆から歓声が上がった。

 地響きのように、唸るその声は部屋全体を震わせた。


「みな、よく今日まで頑張った!我が同士たち。ドラゴンの瞳に、光が宿ったぞ!!」


 見てみると、石像の目にうっすらと光がある。

 どういうカラクリかわからないけど、確かにそこには眩しい光があった。


「もうすぐだ・・・。もうすぐ、あの両目からの光がこの穴を照らすとき、生贄を捧げることで復活されるのだ・・・。もうすぐ、もうすぐ・・・。」


「復活?・・・復活って、なにを?」


 私の問い掛けにティグレは卑屈そうに笑うと、その口元を歪ませながら言った。


「我らは、この地で魔獣ダリアンドを復活させ、ムーンブルグの民を生贄に魔王腹心が一人、賢王バンディット様を復活させるのだ」


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