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異世界3姉妹の日常と冒険物語  作者: 作 き・そ・あ / 絵 まよままん
第4章 魔導都市の陰謀
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14-4 大地の神殿

 階段は随分と長かった。

 今、どのくらい降りてきたんだろう。

 いつの間にか入口は閉ざされたようで、月明かりさえ届くことはない。


「ちょっと!押さないでよ!」


「アメリアも、へ、変なとこ触らないでよ!」


「アリス、くらいの好きじゃない」


「おまえたち、うるさいぞ、少しは緊張感を持て」


 トキ、ティグレ、私、アメリア、アリシアの順番で階段を進むも、狭くて、暗くて、先が見えないこの状態にけっこうイライラしてきた。ストレスを感じて仕方ない。

 アメリアは私の胸をたまに揉むし、アリシアは降りる早さが掴めないでアメリアを押してしまう。

 さすがに、この暗い中置いていかれるのは嫌だから仕方ないとは思うけど・・・。


「若・・・。明かりが」


 随分先の方、下の方にうっすらと明かりが漏れている。どのくらい離れているのか分からないが、この下に間違いなく何かがある。


「この先は、砂の蠍の本拠地だ。やつらは本気で俺たちを殺しに来る。お前たちも覚悟して戦うんだ。」


 ・・・。

 私とアリシアは無言で頷く。

 ほかの二人はも何も言葉を発しなかった。


「あの、みんな、バラバラになっちゃったら??」


 考えたくはないが、みんながバラバラになった場合は一番戦力として劣るのは私。それだけは避けたいのだけど、一応考えておかないといけない。


「どこかにそららは捕まっている。見つけたら、なんでもいい。合図を送るんだ」


「そのあとは?」


「各自、サン=ドラゴへもどるか、敵を倒すか・・・。どこかで誰かが戦っている。それぞれフォローしてやってくれ」


「捕まったら?」


「・・・おそらく、死ぬだろうな。相手は狂ってやがる。人間とは思うな」


 そんなむちゃくちゃな。

 どうにか、誰かといないと生きて帰れないかもしんない・・・。

 明かりが、少しづつ近くなってくる。

 小さかった明かりは近づくにつれてどんどん大きくなる。


「なんで、こんなに明るいの?」


「土の輝石が、反応し合っているのでしょう。ここは大地の神殿。土の精霊の力が強くなる地。輝石が反応して光を発してもおかしくはないですよ。」


 階段を下りきると、そこには巨大な遺跡が隠されていた。

 隠されていたのかは不明だけど、人目を遠ざけるよに地中に埋まっていたのは事実。


「これが、土の神殿・・・。」


 トキの言葉にだれも返事をしなかった。

 いや、出来なかった。

 巨大な岩でできた神殿。とてもシルウィアには似ていないけど、巨大なドラゴンの像がいくつも並んでいる。ところどころ壊れているものもあったが、それでも土の精霊を信仰する気持ちはすごく伝わってくる。


「立派なものですなぁ」


「すごい。」


「あまり、感動している場合ではなさそうよ?」


 神殿の入口には白い布を身にまとう浅黒い肌をした男たちが立っている。


「どうやら、隠れても無駄らしかったな」


「そうね、誰かさんの闇に紛れて作戦は大外れ」


「うるさいぞ!いちいち今日は突っかかるな!?」


「ふふっ、そうかしら?案外、この旅が楽しいのかもね?」


 いたずらっぽく笑うとアメリアは宣戦布告の攻撃を放った。



氷魔弾アイシクル・ボム!!」


 アメリアの魔法で氷塊が四方へ飛び散る。

 それは当然、目の前の男達にも確実にダメージを与えるが、神殿にも多大なダメージを与えていた。


「あぁ!!貴重な我国の神殿が!!」


「うっさいわね!そんなの気にしてたら殺されちゃうでしょうが!!文句はこいつらに言って、全部終わっ

 たら修復させないさよ!!」


 敵よりも、アメリアよりも、氷の塊が遺跡にぶつかり岩を砕き、傷つけている方が気になり手がワナワナと震えているトキ。


「ク、崩れたらどうするんだ?もう少し大事に・・・」


「こいつら勝手に住み着いてるなら、こいつらに責任取らせて!私はしらないわ!ねぇ?アリシア?」


「えっ!?・・まぁ、うん。」


 一瞬戸惑っていたが、たしかに、責任は取りたくない。と判断したのか慌ててうなずく。

 その姿を見てトキは吹っ切れたのか、砂の蠍に向かって一撃を放つ。


「お・・お前ら・・。こんな破壊するしか能がない連中の仲間を拉致って、この落とし前、ぜってぇに許さねぇからなぁ!!誘拐する奴は相手を選べ相手を!!巌撃波ヴァン・ロック!!」


 大小の石の礫が敵をおそう。

 そして、当たらなかった石は神殿をおそう。

 神殿の壁が崩れ、ガラガラと音を立てその場に崩れる。


「あぁ!!神殿がァ!!」


「はい、これであんたも同罪ー」


「どうざいー」


「・・う、うるせぇ!!こんなもの、俺は見ていない!地下にあるんだ、壊れて埋もれたことにしてこいつ

 ら捕まえて発掘、修復させればいいんだ!!」


「おぉー!!トキ、男らしい」


 いや、アリシアよ。それは別に男らしいわけではないのだが


「おーっ!それじゃもう一発!!凍氷矢フリーズランス!!」


 アメリアが指先で円を描くと、たくさんの氷の槍が敵をおそう。

 すでに・・・神殿の入口は瓦礫と死体と、血液、崩れた神殿で最初に見た厳想な雰囲気はなくなっていた。


「あ、アリスはまだ何もしてないから・・。無罪だよね?」


「私も、一応、まだ何もしてないし」


「言うな・・・もういい。貴重な神殿はなかった。後日発掘されることになるだけだ。今は、悪い夢を見て

 いるんだ。大丈夫。粉々にならなければ再建できる。だから、粉砕しなければ・・・」


 ダメだ。こりゃ。

 そららを守ってアリシアから国を守るか。

 神殿を守ってアリシアの逆鱗に触れ国が滅ぶか・・・。

 どっちにしても、大切なものを失うのね・・。私、トキのお兄さんにもう会いたくないなぁ。

 今度こそ、ほんとに文化財破壊の罪とかで牢獄に入れられそう・・・。

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