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賢者とバニーガールと  作者: ふぉー
1章 冒険の始まりとバニーガールと
7/25

7話 ヴルックス迷宮後3


「生みの親が盗賊で、ナイフの手習いが少しあった。昔は荒れてたけど、育ててくれた神父のおかげで今ではまともになって、それなりになんとかやってる」

「は……はい」


 僕はフルルの細い肩をかなり乱暴にゆすって起こした。

 どうやら随分寝起きが悪いようだ。しばらくというか、かなりの間ぼうっとしていたが、まだ眠気が残っているようで、座ったままどこか遠い目をしている。


「そう言うことで、ダガーの件は他言しないでくれるとありがたいな」


 僕はフルルの向かいに腰を降ろし、応急処置の終わったバニーコートを渡す。フルルは不思議な物を見るような目で僕を見ている。


「聖別して登録も済ませてあるから、ダガーの所有自体は問題ない」


 賢人法典に従うなら命を奪う為に使わなければ問題ないはずなのだが、過大解釈をした教会法により装備自体が禁止にされている。


「道具として持ち込んだと言えば、ダンジョン内ならまぁ通る。道具の使用に制限なんてないからな。それに賢人法典には、迷宮では自分と仲間の命を守ることは何よりも優先すべし。ともある」


 使える道具があるのに、使わずに仲間を危機に晒す方が賢人法典に反している。詭弁だが。

 教会法で厳密に言えば不正なのだろうが、普通の装備違反より少し厳しめに注意されて罰金を払えば済むだろう。ジョブ章に前科が彫られるだけで、冒険者として生きている僕にはあまり関係ないことだ。いい気分ではないが。


「え……えと、なんの話を……きゃっ」


 フルルはもそもそと毛布の内側でバニーコートを着なおしてながら、首を傾げて――前のめりにこけそうになり、毛布が危うくはだけそうになる前に肩を支える。


「ご、ごご、めんなさい」


とりあえずなにも気にしてない素振りで説明を続ける。


「僕達聖職者は、戦闘用の刃物を装備するのは禁止されてるんだ」

「? なんで、です?」

「なんでって……そりゃ聖教会自体が殺生を禁止してるから、聖職者が殺傷能力の高い得物を持つのは禁止なんだよ」


 常識だ。


「え、でも……それ、は……?」


 岩に立て掛けてあるメイスを見ながら。


「まぁ、頭蓋くらいなら粉砕できるな」


 そして頭蓋骨を粉砕すれば大抵の生物は死ぬ。きちんと着終えたのだろう、フルルは益々不思議そうに首を傾げる。


「あー……」


 教会でも特に教会法を絶対として煩い一派が度々殺生の悪徳を説き肉屋と揉めて、賢人法で許可されているという結論を繰り返しているそうな。

 僕も色々と建前見たいなものは教わったし、ジョブ試験でもそう書いた。

 が、結局は。教会法は神の教えなどと言っているが、結局のところは権力者が民衆を都合よく統治するために後から作られたものだ。


「古の時代からあるダンジョンでは、教会法は適応されないことも多いってことだ」


 不良僧侶と呼ばれても仕方がないが、僕が信じているのは父の背中だ。


「ああ、だから遊び人の装束だってもっとちゃんと身を守る為に替えても良かったんだ。本当にすまない、僕の落ち度だ」


 おかしな恰好でダンジョンに挑むことに浮かれてしまっていたのも事実なのだ。もう一度改めて謝罪する。


「あ、あの、神様の話しは……あんまり、わからなくて、その……ごめんなさい」


 確かに少しややこしい話かも知れない。

 古代からある賢人法典はダンジョンを中心とした、漠然としたジョブの区分や生きる上での指針を定めているだけで、支配者のためにその都度都合よく作り替えられる教会法は賢人法典との誤差やそれまでとの矛盾を産み、教会内でも度々静かな論争となっている。 

 まぁ政治の話だ。冒険者はだいたいで知っておけばいい。


「……わたしは、お役に……立てませんでしたか?」

「?」

「あなたを、笑顔に、できなくて……お仕事は……ダンジョン探索も、失敗、ですか?」


 意味が分からず最初は首を捻ってしまった。


(ああ、場を盛り上げて賑やかにする、遊び人の仕事を忘れていなかったのか)


 一生懸命ついて来ていただけで、特にフルルがなにかやったことは無かったのだが。

 僕の自責に対してそう思ったのか。


「いや、正直少し面白かったけどな」


 本気で怖がらせて泣かせておいて、笑い事ではなかったはずなのだが、無茶苦茶で笑えてしまう。しかも一階層で撤退なんて笑うしかない。トカゲを竜って。

 いちいち仕草が小動物的で可愛かったし。


「え」

「でも、失敗は失敗だな」


 気取らずに事実だけを告げる。


「……そう……ですか」

「遊び人は常に笑顔が基本だろ? 笑わせる方が暗い顔してちゃ駄目だな」

「……はぃ……」

「だから」


 フルルの悔やむような呟きに被せて、気取らないように努めながら肩を竦めて言う。


「明日も挑もう」

「……え?」


 ローブを回収する必要もある。魔除けの香草が擦り込まれている聖職者のローブだ、運が良ければスライムにも消化されていないはず。


「え、え、で、え?」

「このまま失敗で終わるのは悔しいじゃないか。一度や二度の失敗じゃ諦めない、それが良い冒険者の条件だ」


 冒険者なら誰でも同じことをいうだろう。


「だから明日また酒場の前で、今日と同じ時間に――……」

「……」

「……」

「……」

「そっか」


 ま、そういうこともあるだろう。


「……」

「……」

「あの」

「ん?」


 諦めて帰り支度をはじめようと腰を上げかけたところで、フルルは顔を背けたままだが呟いた。


「あなたは、僧侶さま……なんですよね?」

「そうだが?」


 なんだと思ってたんだ。胸のジョブ章を軽く持ち上げる。

「……だれにも……言わないで、くれます?」

「言わないで欲しいということは、死んでも言わない」


 神様にも言わない。と続けようかと思ったが冒涜が過ぎるか。

 真面目な話のようだし。

 フルルは立ち上がる。合わせて僕も立ち上がる。


「みて……ください……マアちゃんしか、知らない……わたしの……」

「うん?」

「魔法、測定魔法、で……その、観て……」


 ステータスを観て欲しい。そういう話か。


「……観てください」


 身体に巻いた毛布を内側から固く握り締め、顔を背けながら羞恥に耐えるような、悲痛な表情で頬を染められると非常にやりにくいのだが。

 覚悟を決めたようなその横顔に、僕は余計なことは言わず頷いて呪文を唱える。


「――測定魔法――」


 片手に握った魔石が鳴き光る。

 差し向けた手から光の靄が進んで行き、フルルの身体全体を包み吸い込まれて行く。


「んッ」


 魔法にはそれぞれ感触があり、術者の癖や力量で多少の差異が出る。

 僕の場合は性格なのか、羽毛のような感触になぜかなってしまう。光源の間近に触れるとどうしてもかなりくすぐったい。

 フルルが一瞬変な顔になったのを見逃さなかったのはどうでもいいとして。一度体内に吸い込まれた光は額の一点から浮かび上がってくる。


 現在の筋力、俊敏性、体力、精神力、器用さ、賢さ、の六つの状態を表す光が放射状に伸びて、星が瞬くように、額の上に浮かんでいる。

 体力と精神力の項目の光が大きく伸び縮みしているのは、疲労した身体が体力と精神力を最大値まで回復しようとしているから。疲労で俊敏性や筋力も細かく減っているので、回復に向かい小刻みに瞬いている。


「……ふむ」


 僕は平然を装う。

 通常、人は十八歳までが伸び盛りでそれ以降の成長率はどんどん低下して行き、鍛えなければ鈍るし年齢で衰えもする。十代は大切な成長期なので初等、中等、高等専門、と学舎施設が充実しているわけなのだが。

 通常、十代なら一年で平均にして10はステータスが上がるといわれている。

 人並み以上に努力すればそれ以上に数値は上がるし、得意分野に特化して鍛えればその分野だけ数値が上がっていき、本人の体質によって上がり易いステータス、上がり難いステータスというものもある。もちろん怠けていれば平均以下ということもある。


 通常、凡人の平均ステータスが総数200前後。


(怠惰な性格じゃ……ないよな……)


 本人が一生懸命のはよく分かる。


「腕立て何回できる?」

「え、えと……さ……にかい………」


 です。と消え入りそうな声。

 僕は口を押えて、唸りそうになるのを堪える。

 本人の尊厳を守る為ステータス値は他言厳禁なのだが、この体力の減り方も奇妙だ。疲れ易い体質だとしてもこんなに疲弊するものか?


 これでは鍛える前に力尽きてしまうんじゃないか?

 だからなのだろうか?


(全体的に低すぎる)


 通常、14歳なら平均でも合計140はあるべきなのだが。随分低い。


(9歳並ってところか?)


 合計で90あるかないか。

 ステータスの成長が遅い子供もいるが、そういう体質も測定魔法で分かる。

 フルルの額に瞬く光は早熟を示している。ならば140以上あるべきだ。


(つまり16歳前後までにステータスの基礎は完成されてないとおかしいわけだが……)


 通常で18歳前後、晩成では20歳から22歳まで成長期であることもある。


(……これは、どういうことだ?)


 口を押えているのは声を抑えるのと、戸惑いの表情を隠す意味もあった。

 繊細な話だ。


 ステータスで評価されるこの世界、現代では滅多にないことだが、昔は障害を持って生まれる子供も見られた。

 その場合は死産として扱い、ダンジョンへと還しスライム葬にする風習があったという。

 今でも続いているという噂は尽きないが、教会法で取り締まられているしダンジョンの前には番兵が常時いるのでありえないだろう。

 現代では七五三儀礼式の度に測定石で子供の特性を測り、進むべき道を示し伸ばして行く、教育次第だと言う風潮が強いのだが、貧民街で教育を失敗した成れの果てのような連中の中には、歪んだステータスを持つ者も混ざっていたりした。


(それとは……違うな)


 ライブラの輝きも通常を示している。それぞれ真っ直ぐ伸びていて、色も鮮やかなくらいだ。欠陥的なものも見られない。

 ただ全体的に低いだけ。ステータスは全て正常。

 どのステータス値も上がり難い体質。そんなことが有り得るのか?


(……呪われている?)


 ステータスに異常はないのに体調不良を訴える患者に対して使われる、一種の冗句とも畏怖ともつかない俗語。

 そういう患者の大半は精神力の数値が極度に低い。


(だが……)


 フルルの精神力はむしろ一番高い。

 精神力とは、思想や宗教的な、要するに心の強さを表すステータスなので、賢さと比例するのが普通なのだが、精神力が高くて賢さが低いなんて稀有なステータスをしている。


 揃って低いステータスの中、なにかを突き破ろうとするように精神力だけが不自然な尖り方をしている……といって平均より低いのだが。


「あ、あの」

「……あ、ああ、すまん」


 いつの間にかフルルの額へ顔を寄せてライブラの光を凝視していた。あまりじろじろ見るものじゃない。魔法の効果を打ち消す。

 僕は口元を抑えたまま真剣に黙考を続ける。


 体質のことは考えても分からないが、このステータスではどんなジョブの最低基準にも満たないことは確かだ。

 残るのは修道士のジョブに就く道か、遊装人のようなステータス条件が緩いジョブに就くしかない。このステータスでは裏社会にも進めないだろう。

 そして修道士の清貧、禁欲的な決まりに耐え切れず、遊び人に就くような者は大抵が貧民街に流れ着き、そのまま裏社会に流れて行くものなのだが。

 フルルは顔を逸らし、うつむいたまま言う。


「わたしは……こんなだから……」


 冒険者に、なって……。

 言葉が途切れる。

 風が吹いて、綿毛が飛んでいく。

 草原の向こうから、蝶がひらひらと舞い戻って来きて目の前を通り過ぎて行った。

 静かな時間が流れる。

 穏やかな日差しも傾きはじめようとしている空。

 薄雲がゆっくりと流れて。

 蝶はひらひらと舞い。

 賢者の、石が、欲しいんです。

 草原に吹く風が止んだ。


(……賢者の石が欲しい)


 日差しに眠気を覚えてくる頃、小さく呟かれた言葉は寝言のような話だった。


 賢者の石。二代目賢者伝説。

 セフィロード大陸に伝わる昔話であり教会歴以前の伝説だ。

 とある落ちこぼれの魔導士がダンジョンで賢者の石を手に入れた。

 その魔導士はそれまでの魔術を魔導論理として確立、魔法へと格段に進歩させ、魔物の素材から魔道具を作り出す技術の基礎を築いた人物としても名高い。


 最終的にはゼィロルを始祖賢者と定め、自ら二代目賢者を名乗り、セフィロード大陸全土を巻き込んだ戦争へと発展して行き、最終的に今ある国が出来るという伝説なのだが。


 賢者の石とは、究極の補助系魔宝石と言われている。通常の補助系魔宝石は、少し体力が上がったり、肩にじんわり効く程の効果しかないのだが――それでも本物は希少品だ――その真紅の魔宝石は心臓のように慟哭をしていて、柔らかく、発動させれば魔宝石が身体に取り込まれ、この世界の真理とも呼べる膨大な知識を得て二度と忘れることができなくなるという伝説の魔宝石。


「中等学舎で……りゅ、りゅうねん…して」


 フルルは語る。

 中等学舎の勉強が……分からなくて……。

 留年しても、また学級の、みんなの……足を、引っ張って。

 もう、なにもするなって、言われて……。

 ……叩かれて。

 学舎に、行けなく……なっちゃって……。

 ほかの学舎に、転入する試験も……受からなくて。

 就けるジョブが……これしかなくて……。


「……修道士は駄目だったのか?」


 修道士の条件は清貧禁欲を尊び、神を信じるだけでいい。給与は食べるに困らない程度だが、仕事の内容は簡単な社会奉仕だけいい。

 寄付と公的補助で成り立っている教会は世の中の安定の為、社会福祉を担う役割もある。こんな特殊な子供を救済、保護するのは教会の役目だろう。


「神様は……どれだけ、お祈りしても……お姿を、見せてくれなくて……」


 信じられなくて。と、どこか諦観を感じさせる声色で呟くフルル。


「……」


 神様の存在なんて、子供になんて説明していただろう。もっとちゃんと学んでおけばよかった。

 見習い時代に習ったはずだが、あまりにも子供騙しで、育ちの悪かった僕は斜に構えていた記憶しかない。

 神様なんて信じてなくても、教会の制度だけ利用している連中は山ほどいる。言ってしまえば僕だってそうだ。


 こんな僕を信じてくれた父を信じているだけで、制度利用の為に決まりを守っているだけに過ぎない。とは言い過ぎだが、そんな面もある。

 怠惰な己にあれこれ理屈をつけて、弱者救済の制度を利用している連中はいくらでもいるぞ。喉まで出かかった言葉を呑み込む。


(そういうことじゃない)


 そうじゃない。

 目の前の遊び人は努力を放棄したいわけじゃない。

 修道士にもなれず、盗賊にもなれないから、遊び人で冒険者を目指しているのか。


「賢さがあがる……賢者の石が、欲しいん……です」


 お伽話のような、伝説の魔宝石を求めるため、冒険者になるため、今のステータスで就けるジョブの中から、冒険者をやれるジョブを選んだ。そういうことなのだ。

 不器用で無謀で無鉄砲で、それこそ賢さの低い9歳児並の発想なのだが。


「……こんな、でも……いいですか?」


 聖職者ならば、本来の意味での宣教士の仕事を果たすなら、神の素晴らしさを説いて教会の門は誰にでも開かれている的な話をして修道士へと転職するように、改宗を促すべきなのは分かっている。


「こんな、わたしでも……諦めないで、がんばれば……」


 父でもこのステータスでダンジョンに潜ることは反対するだろう。僕でも最初は渋い顔をされたくらいだ。

 5階層までなら滅多なことで危険はないが――今回は滅多にある特例だ――それを過ぎれば本格的に魔物も増えて来る。魔宝石が確認されているのは最低でも10階層からだ。


(無理だろ。保護者はなにしてるんだ)


 そう改めて思うが、そこまで僕が踏み込んでいいものか。

 通常なら家族で話し合うか教区の教会で神父に相談するような、深刻な懸案だ。

 街の神父へ相談を促すのが正しいのだろうが、神父なら普通に修道士を薦めるだけか。

 僕は一通り考えてから、口元から手を放して問う。


「ご家族はなんて言ってるんだ?」

「おねえちゃんはっ……」


 顔を上げたフルルは一度言葉を区切り、口を尖らせながら再度うつむいた。


「おねえちゃんは……わたしが、なにをしても……反対するし……マアちゃんは……なにも言ってくれません……」


 姉と妹でもいるのか。そうじゃなくて。


「ご両親は?」

「二人とも宮廷のお仕事で……帰って、こないです……」


 宮廷ということはヴルックス城のある城壁区で公務職か聖教職か。まさか組合いの上に立つ、貴族職だったりするのか?

 本当に地位のある家柄だったりするのだろうか。


(いや……)


 それはこの際重要ではない。僕は続く言葉を待つ。


「おねえちゃんも、マアちゃんも、お父さんも、お母さんも……忙しくて、家にはあんまりいないし……だから、じぶんで……考えて……決めて……」


 自分で考えて決めた。

 ならば、なにも言うことはない。頷く。


「うん。分かった」


 僕の言葉に、不安そうな顔を上げるフルル。

 僕はあくまで冒険者になりたいという相談を受けたのだ。

 自分の意思で冒険者を目指している、その確認ができたなら十分だ。


「明日、いや、そうだな明後日。明日は一日休んで体調を準備して万全にして、明後日ダンジョンの10階層まで目指そう。それでもう一度考えて見る。それでどうだろう」


 10階層の日帰り探索くらい出来なければ冒険者とは呼べない。

 相談を受け、問題が予想外に重く、真剣に笑い事ではなかったからといって放り出すのはあまりに無責任だ。


「……いいん、ですか?」

「冒険者になりたいんだろ?」


 だから他人に見せたくもない自分のステータスを僕に晒して、こんな自分でもいいのかと問いかけたのだ。

 諦めるならそのまま諦めているだろう。

 その覚悟を無下にするのはちょっと考えられない。


 最終的に修道士を薦めることになるとしても、焦ることでもない。もう一度くらい試して、自分で決められるよう手を貸したいと思う。


「は、はいっ」


 ただし。


「今日みたいな観光気分じゃない、本気で準備して挑むから。そのつもりでな」


 真剣に告げれば、言葉に詰まるフルル。


「おまえにも出来る限り働いてもらうからな」

「は……はい……」


 既に怯えて涙目だ。

 ……よく考えて決めて貰おう。

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