表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

おもに中高生作者に提言したい、就職関連本の活用

作者: 叶エイジャ

 ピロリロリン♪

 クイズです、クイズです!


 敵を知り、己を知れば百戦危うからず


 これは誰の言葉からきているでしょうか。

 正確には「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」でしょうか。


 正解は孫武。「孫子の兵法」で有名な方ですね。「孫子」は彼の尊称です。


 意味は、「敵と味方の情勢を知り、その優劣短所を把握していれば、たとえ百回戦ったとしても敗れることはない」ということ。

 読んだのはだいぶ前なのでうろ覚えですが、敵を知ることと己を知ることのうち、より大事なのは己を知ることと書いてあったように思います。


 タイトルの話に戻ります。

 中高生に就職関連の本を渡すのはまだ早い――そう思う方もおられるでしょう。

 私もそう思う!

 ただ、現在小説なりそのほかの作品なり、何かの作者である人なら、面白い資料になるかもと思いました。


 中学生、高校生、まあ大学生を含めていいかもしれませんが、彼らが小説などを書く場合に、圧倒的に不足しているのが人生経験。

 書くために有効活用できる経験というのは、二本柱として人生経験と、読書経験が存在します。人生経験の足りない部分は基本、読書量でカバーできます。なので、どんどん読みましょう。

 ただしラノベばかりはダメですよ。一般文芸や――例えばですが――科学雑誌といった知識が得られる活字もいいでしょう。文豪の作品、古典、海外作品もマル。字が面倒ならば効能が落ちそうですが、映画やドラマもグッド(ただしストーリー構築関連で。文章技術に貢献するかは不明)。アニメは……うーん、分からない。

 あなたの作る作品は、そうした他作品群から、テーマなどの断片を無意識が得て、集積して作られます。


 元の作品を薄めて、自分の中で集積して、出来上がった混沌とした粘土塊を、自分の感性という道具で像を作り上げていくものだと思ってください。

 ゆえに、元作品は濃い物、重いものがあった方が良さげ。

 その感性を道具として洗練させるには、最終的に、自分が何を作ろうとしているか知ら(探求し)なきゃいけないし、知るためには自分の経験を冷静に突き放し、分析する必要が出てきます。己を知る作業に入るわけです。


 就職関連の話に入りますね(一般的なことしか知らないし、実用的なものは学校とかで詳しい人に聞いてください)。

 就職活動では、まず自己分析を行います。

 自分はどのような人間で、何をやりたいか、自分が理解したうえでそれをどう他者に(言葉で!)伝えるのか考える。そのために自己を客観的に見つめ、独りよがりにならないよう家族や友人といった身近な人に意見も聞いて修正していく。


 これ、小説(文章)書くプロセスと基本は同じですよね。


 自分はどのようなキャラや世界を作り、どんな話を書きたいか、自分がそれを理解したとして、それをどう他者に(言葉で!)伝えるのか考える。そのために文章を客観的に見つめ、独りよがりにならないよう家族や友人といった身近な人に意見も聞いて修正していく。


 書きたいものを、好きなように書く――そうしてできた自己表現物は、制作途中あるいは完成後に、自分が「なにを書きたかったか」を教えてくれることがある。


 それが書き手のテーマ。

 人を感動させる作品には、作品の内包しているテーマに、共感できるなにかが宿っている。それは経験からくる喜びや嬉しかった感情、その反対のドロリとした負の感情、あるいは生物として根源的な恐怖や、愛欲などなど。

 そういったものを、書き手当人の世界の観方で書かれた表現物が、結果として作品になる。


 別に、いつもテーマを意識する必要はないんですよ。

 プロでも、上手い人なら読者のニーズに対するテーマを企画書に書きつつ、自分の色(書き手のテーマを含んだ物や、武器となる文章)を乗せてくる。意識的にする人もいれば、無意識でそれをやってしまう人もいる。

 でも、自分の源泉を知ろうとしないと、いつかは枯渇する。あるいは読者に受け入れられなかったとき、自分の中から次に何をひねり出せばいいのか、分からなくなる。


 まあ、そこまで考えるのは、枯渇したと感じてからでもいいと思います。

 書いてる時に、自分の正や負の感情を冷静に扱い、文章に宿らせる技術の一つ、と思えばよいのではないでしょうか。

 この技術を習熟すれば、「経験を書く」から「経験を使って書く」ができ、そうなれば源泉が途切れることもなくなるのではないでしょうか。


 ちょっと脱線しました。もっと手軽な、小手先の技を書くつもりが……。


 さて、なんで就職本かといえば、本によっては過去の面接での質問や、その模範解答例とかが載っています。業種別の質問というのもあるでしょうか。自分の軸になる考え方の養成や、「あなたの短所は? それをどう克服しましたか?」という定番の質問例、等々。


 興味をもって見れば面白いというのもありますが、これ、キャラを作る時に使えたりすると思いませんか?

 頑固(短所)なキャラクターが、物語を経て、どんな困難にも意志を貫く(長所)人物に成長する。

 あるキャラクターのパーソナリティを構築する際、たとえば短所長所、軸となる考え方、その世界の時事問題に対する考え方など。こういう模範解答例のついた本を読んで利用するというのはどうでしょうか?


 世の中に様々な考え方をする人間がいるというのは、年齢を経ないと見えてこないことが多いですから。

 しかも、こういった本で取り上げられるのはどれも、誰もが持ちうる短所であります。うまく描ければ共感を得やすいと思いませんか?


 上手い人は自分の中に他人を作ります。だから同じ作者が書いてもまったく性質の異なる人物ができあがる。きっと観察力にも優れているのでしょう。

 その他人の目を利用して、自分の文章を客観的に見る。


 自分の中に個性豊かなキャラを多く作る。意識できても、実践は難しい技術です。

 そんな時、簡易にでも就職関連の本を利用するのは、決して損はない。それも若い人であるほど効果は高い……私はそう思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 就職本! そんなものがあるんですね! ぼくが就職するときはバブルは終わってましたが、誰でもどこでも就職できたし、そもそも最初からサラリーマンを続けるつもりがなかったので、「就職活動に備える」…
2016/02/17 17:25 退会済み
管理
[良い点] 中高生諸君、いや、青年諸君に、なんとも有用なプレゼントを与えましたね。 バレンタインの名残りでしょうか? 私は、そこに別の要素を付け加えたいと思います。 というのは、職業人が登場しない話…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ