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第三王子や騎士団長たちも応戦します。
何せ、ドラゴンを三体も倒したのです。国民は希望があると王子たちを戦場へ駆り立たせました。
王子もそれに応えなくては、と勇んで戦場へ行きました。
でも、戦場は一つではなかったのです。
一か所に行くと「どうしてこちらには来てくれない?」「こっちのほうが酷いのに、どうしてそちらに行くの?」と他の場所から言われるようになりました。
仕方なく、その時戦いに赴いた王子たちはバラバラになって、色んな所へ行くことにしました。
「王子がいらっしゃったぞ!」
誰かが嬉しそうに言いました。
ですが、魔獣を退治しようとした王子のそばに誰もいません。
「何故だ!?」
みんな王子に任せようとしていたのです。
ほかの戦場でも同じでした。騎士団長も一人で戦う羽目になりました。勿論、その部下たちもです。
「ドラゴンを倒した英雄がいるのだから、我々は戦わなくて大丈夫」
誰かが言いました。
そんなはずはありません。
だって、沢山の魔獣が襲ってくるのです。
「英雄」という人間を供物に、人々はその戦いから逃れようとし始めたのでした。
多勢に無勢。それは王子たちがドラゴンを倒した時と何ら変わりありません。
ドラゴンが一頭でいるところを狙ったのです。それが返ってきただけのことです。
王子たちは別々の場所で魔獣に殺されました。
そして、王子たちを見捨てた国は魔獣によって滅ぼされました。
それから時は経ち。
はるか昔、魔獣が荒れ狂い滅びた国があるといいます。
その国は今でも人は入ることができません。
時々冒険者が魔獣を狩りますが、すぐに増えてしまいます。
そんなある日、その地に一頭の大きなドラゴンが現れました。
ブレス一つでたくさんの魔獣が滅びていきます。
そしてその地に朽ち果てた何かをドラゴンは見つけたようでした。
それはあの小さなドラゴンの皮で作られた鎧でした。
「やっと見つけたよ」
ドラゴンは呟きました。
「私も守りから離れたよ。やっと一緒に住めると思ったのに」
鎧を持ち、別の場所へと移動したドラゴンが、また別の鎧を見つけて言いました。
そうやって一つ一つ見つけていきます。
そして日も暮れた頃、大きなドラゴンはあの洞穴へ向かいました。
「ただいま。私の可愛い奥さんと子供」
優しく鎧を撫でたドラゴンはそこで眠りにつきました。