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森での戦闘

 走り込んでくる賊の先頭の者が、シグナに向かって大きく剣を振り上げる。


 シグナは間合いの目印にしていた草を踏んだのを目の端で確認すると、地を蹴りその者の右脇をすり抜ける。

 剣を虚空に向かい振り下ろす結果となってしまった賊は、シグナに横腹を切り裂かれその場に伏した。


「はひゃ!」


 続いて迫っていた賊達の1人がシグナに向かい両手でしっかりと握った剣で渾身の突きを繰り出した。

 その賊の突きは、魔竜長剣を右から左に振り抜いた状態であったシグナの胸元に迫る。

 シグナは咄嗟に右手を魔竜長剣から外し右腕を体に引き寄せると、その微かな反動を利用して上体を僅かに時計回りに回転させ仰け反る形でその突きを躱す。そしてそのまま右脇を締めながら重心を右足に移動させると、左足の裏で思いっきり賊の胸を蹴り飛ばし一度間合いを空けた。


 そこにシグナの左から回り込んでいた賊が、振り上げていた剣をシグナに振り下ろす。

 シグナは魔竜長剣を両手で持ちなおすと足に風を纏い、地面を踏みしめると同時に風を開放。そしてその力強い踏みこみから繰り出される殴打面での振り上げで、賊の振り下ろされる剣に激突させる。その衝突の威力で賊の剣が空中に舞った。

 そしてシグナは無防備になった賊の肩口に、殴打面を力の限り振り下ろした。


 崩れ落ちる賊からシャルルの方に目をやると、賊の1人と戦い始めたシャルルに別の賊が迫っているのが見えた。


 その光景を目の当たりにして、頭に血が上がり口が渇いていく。


 体を落としながら風を纏い開放させると、その迫っている手前の賊に襲いかかる。

 賊は応戦しようと足を止めこちらに向きなおし剣を突き出す、がシグナはそれを突撃しながら殴打面でいなしそのまま殴打面で胴を一閃、吹き飛ばした。


 シャルルはと言うと、賊の攻撃を後退しながら剣で受け止めたりいなしたりして防いでいっていた。そしてシャルルは、左腕に固定している盾から2つの黒い鉄球を飛び出させる。

 空中で旋回を始める黒球に、剣を交えていた賊は驚きのあまり声を失いキョロキョロ目でその黒球を追いかける。

 そしてその黒球はそれぞれ賊の顔面と背中にめり込んだ。

 意識が遠のく賊の体から剥がれ落ちる黒球は、再度自らの意思があるかのようにシャルルの盾に吸い込まれていった。


「なんだ、ありゃ」


 それを見た賊の1人が驚きの声を漏らす。


「おい、魔竜殺しがいるぞ!」


 そしてシグナの近くにいた賊の張り上げた一言で、一気に浮き足立つ賊達。


「くそっ、ここは引き上げるぞ」


 その言葉で賊達は、負傷者の肩を持つなどして退却を始めるのであった。

 辺りはまばらな木々と同じように、動かなくなった人間が点々としている。


「やっと敵さん、退却を始めたか」


 うんざりした調子でガオウが漏らす。

 そしてこちらに来たジリウスが、パラディン達の方に目を向けた。


「あとはあいつか」


 駆けるパラディンと併走するように駆ける先導者は、弓に薄っすらと発光する矢をつがえていた。

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